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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第十三章 それでもやってくる日常

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第67話 飲み過ぎた朝の風景

 耳をつんざく叫び声、誠は意識を取り戻したが、それと同時に腹部に蹴りを受けて痛みのあまり悶絶した。


「大丈夫?誠ちゃん」 


 目を開けると目の前に寝巻き姿のアメリアが居た。ハッとして誠は起き上がった。まず自分が全裸であること、そして二回目の蹴りを繰り出そうとしている半裸のかなめの姿を見て誠はそのまま部屋から飛び出した。


 廊下で鉢合わせたのは菰田だった。菰田は呆れたように口をあけたまま全裸の誠を見つめる。誠は股間を隠しながら部屋を確認した。確かに自分の部屋である。だが、そこには寝巻き姿のアメリアと胸をはだけたかなめが居た。


「あのなあ、神前。野郎ばかりの男子寮だけどな、今じゃ貴様の護衛ってことでクラウゼ少佐や西園寺大尉、そしてあのカウラ・ベルガーさんまで……」 


「呼んだか?」 


 そう言って誠の部屋から顔を出したのはいつも寝巻き代わりにジャージを着ているカウラだった。


「オメエが騒ぐからだろ?」 


「なによ!誠ちゃん思い切り蹴飛ばしてたのはかなめちゃんでしょ!」 


 アメリアは胸を隠すそぶりも見せないかなめに向ってそう叫んだ。


「馬鹿野郎!こいつの手が……胸を揉むようなことをするからだ!そんなことは金払ってからにしろってんだ!」 


 誠の部屋の中からは暴れているアメリアとかなめの声が響いていた。その声を聴いて姿を現したのは副寮長である嫌われ者の菰田だった。


「おい、全裸王子。ちょっと面貸せ!」 


 そのまま誠を引っ張って行こうとする副寮長の菰田をカウラが押しとどめた。


「すまない、菰田!これは……その……私が……」 


 そう言ってカウラが菰田に向けて手を合わせる。カウラのファンクラブ『ヒンヌー教』の教祖である菰田がカウラに手まで合わせられて言うことを聞かないわけが無い。


「そ、そうですね。神前!全裸で廊下を歩くのは感心しないぞ!では!」 


 菰田はさわやかな笑顔を残して去っていった。ただその変身の早さに呆然とする誠も、すぐに自分が全裸であることを思い出して前を隠した。


「神前……貴様は酒が入るとすぐ脱ぐくせに……とりあえず入るぞ」 


 そう言ってカウラは誠の手を引いて部屋に入った。中に入るとさらなる混乱が待ち構えていた。じりじりと間合いを縮めるピンク色のネグリジェ姿のアメリアと半裸でファイティングポーズをとるかなめがいた。


「いい加減にしろ!人の部屋で暴れるんじゃない!それと西園寺、胸を隠せ!」 


 カウラの言葉にアメリアとかなめはようやく手を下ろした。


「ああーかったりい。まあいいや、アタシは部屋に戻るわ」 


 そう言うとかなめはそのまま半裸の自分の姿を気にしないで部屋を出て行った。


「良いんですか?」 


 箪笥から取り出したパンツをすばやく履いて一息ついた誠がカウラに尋ねた。


「ああ、あいつはいつも朝起きるとあの格好でシャワーに行くからな」 


 カウラの言葉に誠は言葉を失った。この寮には50人以上の男性隊員が暮らしている。そこに裸の美女が現れたら……しかし、考えてみればこの寮に軍用義体のサイボーグであるかなめをどうこうできる度胸のある隊員はいるわけも無いわけで、できる限り彼女を避けて動いている諸先輩の苦労に誠は心の中で謝罪した。


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