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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第十二章 誠に眠っていた欲望

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第65話 ついに現れたモテない宇宙人の本性

「さいおんじしゃん!」 


 突然目の前に立つふらふらの誠に魅入られてかなめはむきになって睨み返した。


「は?なんだよ。アレを見せるのか?しっかり見てやるから安心しろ」 


 そして突然誠の手はかなめの胸をわしづかみにした。かなめはその出来事に言葉を失う。


「このおっぱい、僕を誘惑するらめにおっきくらったってアメリアらんが……」 


 誠の言葉に自分の胸を揉む誠よりも先にかなめは視線を隣のアメリアに向けた。明らかに心当たりがあると言うようにアメリアは目を逸らした。


「らから!今!あの……」 


「煮え切らねえ奴だな……脱ぐなら早く脱げよ。アタシとしてはそっちに興味が有るんだから……でも簡単に見る方法はオメエを気絶させて脱がせた方が!」 


 そう言って延髄斬りを繰り出すかなめだが、いつものパターンに誠はすでに対処の方法を覚えていた。加減したかなめの左足の蹴りを受け流すと、今度はアメリアの方に歩み寄った。


「おお、今度はアメリアか……」 


 かなめは先ほどまで自分の胸を触っていた誠の手の感触を確かめるように一度触れてみた後、アメリアに近づいていくねじのとんだ誠を見つめていた。


「何かしら?私はかまわないわよ、かなめちゃんみたいに心が狭くないから」 


 アメリアの発言に部屋中の男性隊員が期待を寄せたぎらぎらとしたまなざしを向ける。それに心震えたと言うようにアメリアは誠の前に座った。


「あめりあらん!」 


 完全にアルコールに支配された誠を余裕を持った表情でアメリアは見つめた。だが、誠は手を伸ばすこともせず、途中でもんどりうって仰向けに倒れこんだ。


「大丈夫?誠ちゃん。私の前で脱ぎたいの。じゃあ脱いでいいわよ。見てあげる。自慢のアレを」 


 拍子抜けしたアメリアが手を貸した。だが、その光景を見ている隊員達はわざとアメリアが誠の手を自分の胸のところに当てようとしているのを見て呆れていた。


「らいりょうぶれす!僕はへいきらのれす!」 


 そう言うとアメリアを振りほどいて誠は立ち上がった。だが、アメリアは名残惜しそうに誠の手を握り締めていた。全男性隊員の視線に殺意がこもっているのを見てランですらはらはらしながら状況を見守っていた。


「ぜんぜん大丈夫に見えないんだけど……部屋で休んだほうがいいんじゃないの?そして部屋でじっくり見せてね、アレを」 


 アメリアは嬉しそうにそう言うと誠の手を取った。


「こいつ……部屋に連れ込むつもりだよ。そのまま寝技に持ち込むつもりか?なんて言う奴だ」 


 かなめに図星を指されてアメリアが怯んだ。だが、誠はふらふらと部屋を出て行こうとした。


「どこ行くのよ!誠ちゃん」 


「ああ、カウラひゃんにあいさつしないと……こうへいらないれひょ」


 かなめとアメリアは顔を見合わせた。こんなに泥酔していても三人の上官に気を使っている誠に、それまで敵意に染められていた周りから一斉に同情の視線が注がれることとなった。


「なんだ、『許婚』である僕の事は放置か……今日こそ神前曹長の童貞が奪えると期待していたのに」


 かえでは自分が誠に無視されたことに不服そうにそう愚痴を言った。


「かえで様。誠様は素面の時に真剣な表情でかえで様に迫りたいと深層心理で思っているのです。その辺は医師資格を持つ私が言うのですから間違いありません。酔った勢いで記憶も残さないような行為など意味が有りません。お二人にはその場の雰囲気にふさわしい交わりが必要かと思います」


 リンはそう言ってかえでを慰めた。


「なるほど、そうなのか。良く気が付くな……かわいいよ、リン……」


 かえではそう言うとリンを強く抱きしめた。


「かえで様……」


 リンはかえでの手を自分のスカートの下へ導こうとする。


「ここで発情するんじゃねー!」


 そんな二人の頭を叩いたのは純情なクバルカ・ラン中佐だった。



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