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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第九章 遊びに夢中で仕事をしない人々

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第53話 ここはあえてベタネタで

「でもすげーよな。本当によく考えてるよこれ。でもまあ……アタシはもうちょっとかわいいのがいいけどな」 


「違います!」 


 ランの言葉にかなめから離れたアメリアが叫んだ。突然のことにランは驚いたように目を剥いた。


「かわいいは正義。これは昔からよく言われる格言ですが、本当にそうでしょうか?かわいい萌え一辺倒の世の中。それでいいのかと私は非常に疑問です!かわいさ。これはキャラクターの個性として重要なファクターであることは間違いないです。私も認めます。ですが、すべてのキャラがかわいければよいか?その意見に私はあえてノー!!と言いたいんです!」 


 こぶしを振りかざし熱く語ろうとするアメリアに部屋中の隊員が『またか』と言う顔をしていた。


「なんとなくお前の哲学はわかったけどよー、なんでアタシはへそ出しなんだ?小夏の格好はどう見てもドレスだって言うのに。それと……」 


 ランが自分が書かれているアメリア直筆の設定画を手に取っていた。だが、アメリアは首を振りながらランの肩に手を伸ばし、中腰になって同じ目線で彼女を認めながらこう言った。


「これはセクシーな小悪魔と言うキャラだからですよ。わかりますよね?」 


 思い切りためながらつぶやいたアメリアの言葉にランは頬を赤らめた。


「……セクシーなら仕方が無いな。うん」 


 ランのその反応にかなめは机を叩いて笑い出した。さすがのランも今度はただ口を尖らせてすねて見せる程度のことしかできなかった。


「あの、アメリアさん。この女性怪人、名前がローズクイーンってベタじゃないですか?」 


 誠がそう言いながら差し出したのは両手が刺付きの蔓になっている女性怪人の設定画だった。


「そのキャラはあえてベタで行ったのよ。その落差が良い感じなの!」 


 ついていけないというようにカウラは静かに自分の分のお茶をすすった。かなめとランはとりあえず席に座ってお茶を飲みながら誠とアメリアの会話を聞くことにした。


「でも良いんですか?月島屋にはお世話になっているのは認めますけど……これって春子さんですよね、演じる人は」 


 誠は涼やかな表情と胸などを刺付きの薔薇の蔓で覆っただけの胸のあたりまで露出した姿の女性の描かれた紙をアメリアに差し出した。


「すげー!本当にオメーが描いてるんだなこれ」 


 感心したように声を上げたのはランだった。だが、アメリアはすぐにそれを手に取り真剣な目で絵を見つめていた。カウラの隣で黙っているのに飽きてアメリアの後ろに来たかなめがイラストを見てにやりと笑った。


「これはいいのか?胸とか露出が多すぎだろ?これじゃあ春子さん受けないんじゃねえの?」 


 そう言ってかなめは誠の頭を叩いた。その手を振り払って誠は次のキャラを描き始めた。


「確かにこれはやりすぎだな……」 


「これで行きましょう!あの人も元風俗嬢。男に裸を見られることくらいなんでも無いわよ」 


 カウラの言葉をさえぎってアメリアが叫んだ。すぐさまその絵はパーラとサラに手渡された。


「かなめちゃんの言うとおりとりあえず軍にはこれを流して宣伝材料にすれば結構票が稼げそうね。サラは女性キャラが苦手だから男ばかりでむさくるしい東和の各部隊の票はこちらが稼げるはずよ!あとは……」 


 アメリアはかなめに向き直った。そしてそのまままじまじとかなめを見つめた。その雰囲気にいたたまれないようにかなめは周りを見回した。だが、かなめの周りには彼女を見るものはほとんどいなかった。それどころか一部の彼女の視線に気がついたものは『がんばれ!』と言うような熱い視線を送ってきた。



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