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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第八章 不毛なる戦いの記録

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第42話 ついにキレちゃった人

「ふっふっふはっはっはー!まんまと罠にかかったわね!サラ!アンタが間抜けだったということよ!」 


 大爆笑を始めたアメリアに誠もかなめもカウラも何が起きたのかと戸惑いの視線を小夏に向けた。サラが両手を大きく広げて威嚇するようにアメリアを見つめていた。その様はあまりに滑稽で誠は危うく噴出すところだった。


「だって同盟司法局本局とか東和陸軍とかから次々魔法少女支持の連絡が届いてるのよ!確かにうちだけしか投票できないって隊長が言ってたわけじゃ無いけど!最初に投票範囲に他の部隊も含めて良いなんて言ってなかったじゃないよ!卑怯よ!そんなの!」 


 サラの言葉に誠は高笑いを続けるアメリアを覗き込んだ。


「この馬鹿ついに他の部隊まで巻き込みやがった。事を大事にして何が楽しいのやら。後でどうせ面倒ごとを押し付けられるのが関の山だぞ。そこまで魔法少女に拘る意味が分かんねえよ。まあ、アメリアは艦長会議とかで本局に出向くことも多いから本局の他の部隊にも顔が広いからな……さて、火の手はどこまで燃え広がるかな。まあ、島田の馬鹿がこの状況を黙って見てるとはとても思えねえがな。アイツは喧嘩となったら絶対勝つ主義だ。今回もこんなこと位じゃ終わりそうにねえだろうな」 


 かなめは呆れて立ち尽くした。カウラはその言葉を聞かなかったことにしようとそのまま奥の更衣室へ早足で向かった。


「だってあのアンケートの範囲の指定は無かったじゃないの。そうよ、勝てばいいのよ要するに!私の階級と顔の広さは伊達では無いのよ!これからもどんどん応援部隊を増やしていく予定よ。同盟機構と東和国内の軍と警察のほぼ全組織に声をかけているんだもの。サラと島田君がいくら頑張っても私に追いつくことなんて考えられないわね」 


 アメリアはそう言うとそのまま誠の右手を引っ張ってカウラに続いて歩き続けた。


「何で僕の手を握ってるんですか?」 


 突然の状況の変化に誠はついていけない。だが、そんな誠にアメリアは向き直ると鋭く人差し指で彼の顔を指差した。


「それは!誠ちゃんが魔法少女デビューを果たすからよ!前言撤回で行くわ!やっぱりキモイ魔法少女を作りたいの、私は。だってその方が面白そうじゃない!勝てば官軍よ!戦争も勝った方が負けた方を裁くもの。だから勝者は何をしてもかまわない。だから私は勝者としてのわがままを通させてもらうだけよ!」 


 先に更衣室の前で振り返ったカウラが凍りついた。かなめが完全に呆れた生き物でも見るような視線を送ってきた。小夏は手を打って納得したような表情を浮かべた。


 誠はなにが起きたのかまったくわからないと言うようにぽかんと口を開けていた。



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