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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第六章 まあ、実際リアルに魔法少女はうちにいるので

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第32話 ハンガーとひよこ

 身を切るような冷たい風が四人を包んだ。


「ねー!ひよこちゃん!」 


 いつもは整備班員が行き来するハンガーには人気が無かった。


 アメリアは階段の上から一人で誠の機体を見上げている司法局実働部隊付き看護師であり法術担当の神前ひよこ軍曹に声をかけた。


 そのかわいらしいカーリーヘアーがアメリアの方を振り向いた。


「ああ、これの件ですか?映画を作ろうって奴。私は長い物語とか憧れるんですけど、短いポエムしか描けないんですよ。凄いですね、アメリアさん」 


 ひよこはそう言うと左腕の携帯端末を指差した。


「そう、それ!台本は私がしっかりした奴を描くから楽しみにしていてね」 


 そのままアメリアは誠を引っ張って階段を下りていった。整備員の影が見えないのを不審に思いながら誠は引っ張られるままアメリアに続いて階段を下りた。


「珍しいじゃないの。ひよこちゃんがハンガーに一人でいるなんて……他の連中は?」 


 アメリアに笑いかけられてひよこは苦笑いを浮かべた。そしてすぐに一階の奥の資材置き場を指差した。


「他の人は射撃訓練の残弾消化が済んでなくて射撃場で銃を撃ってます。それに私だって法術担当の技官でもあるんですよ!誠さんの05式乙の法術増幅システムの調整とかは私の仕事です!」 


 そう言うとひよこは軽く両手を広げた。


「そうなんだ……本当にそれだけ?」 


 アメリアが食いつくようにひよこを見つめた。


「それだけですよ……ってそれに書くんですか?さっきのアンケート。紙がもったいないじゃないですか」 


 そう言うとひよこは誠の手からアンケート用紙を受け取った。


「そうは言っても叔父貴の野郎がせっかく用意したんだ。無駄にしたら泣くだろ?一応、技術部の面々の分預けとくから。そいつを頼んだぞ。足りなかったらコピーして使え」 


 かなめの言葉に空で頷きながらひよこは用紙を見つめた。その顔には苦笑いが浮かんでいた。その隣でひよこの弱りようが分かったというようにカウラが頷いた。アメリアの視線がカウラの平坦な胸を見つめていたことに誠はすぐに気づいた。


「アメリア。私の胸が無いのがそんなに珍しいのか?」 


 こぶしを握り締めながらカウラの鋭い視線がアメリアを射抜いた。


「誰もそんなこと言ってないわよ」 


「下らねえこと言ってないでいくぞ!」 


 そう言うとかなめはひよこに半分近くのアンケート用紙を渡してアメリアにヘッドロックをかけた。


「わかった!わかったわよ。それじゃあ」 


 かなめに引きずられながらアメリアは手を振った。誠とカウラは呆れながら二人に続いて一階の資材置き場の隣の廊下を進んだ。駐車場のはるか向こうの森の手前では島田が旧車のバイクを前にたたずんでいるのが見えた。


「島田の奴。またバイクかよ。そんなに自分のバイクレースに出る映画が採用されなかったのがショックなのか?」 


 そう言いながらかなめは残ったアンケートを誠に返した。咳き込みながらも笑顔で先頭を歩くアメリアが資材置き場の隣の法術特捜豊川支部のドアをノックした。



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