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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第四十六章 武者装束の準備

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第198話 『特殊な部隊』の将校の必須科目

「武将は将校だけなんですよね。じゃあ西園寺さんも馬に乗るんですか?」 


 逆襲のつもりで誠が話をそちらに向けるがかなめは平然としていた。


「アタシは一応甲武の公家の出なんだよ。当然乗馬なんざ必須科目だね。そして……」 


 にやけたかなめのタレ目がカウラに向かった。カウラは思い出したように顔を赤らめるとうつむいてしまった。


「馬と相性の悪い将校さんもいるからさ、ちゃんと二人で歩いてついて来いよ」 


 嫌味たっぷりにかなめが言うとカウラはそのままじっと話題が変わるのを待つことにしたように黙り込んだ。


「なんだ、馬?簡単だよあんなの」 


 そう言うと目をきらきらさせてランがカウラの手を握った。


「そうは行かないんだな。カウラの場合本当に不思議なくらい馬に嫌われてるからな」 


 嵯峨にそう言われてカウラが困ったような顔をしていた。そう言われてランは腕組みをして考え込んだ。


「普通なら馬なんて(くつわ)を取る人さえいればじっとしていれば済むんだけどな」 


「俺もあんなに馬に嫌われる奴は見たことが無いな」 


 嵯峨の言葉が止めを刺したようにカウラは深刻な顔をした。


「おい、追い詰めてどーすんだよ!」 


 自分の言葉で部下が落ち込むのを見て慌ててランが全員に顔を向けた。


「確か去年はアメリアが乗馬クラブに通ってたわよね。まったく仕事に関係の無いことに関してはアメリアは徹底的に情熱を注ぐんだから」 


 サラが首をひねりながら答えた。こういうイベントには異常な情熱を注ぐアメリアが乗馬の特訓くらいならやりかねないと思って誠は笑みを浮かべた。


「じゃあやっぱりアイツが必要に……」 


 そう言った時にドアのロックが開いて入ってきたのはアメリア本人だった。かなめの顔を見ると逃げようとするアメリアだが、素早く飛びついたランがアメリアを押さえ込んだ。


「ごめんなさい!」 


「おい、そっちの話は終わりだ。それよりこいつに乗馬を教えるところはねえのか?」 


 ころころ機嫌の変わるかなめを知っているアメリアがおびえた表情から素に戻った。話題がかなめが何をしていたか言うことから変わっていると知るとそのまま部屋に入ってきた。


「三つあるけど……節分の時代行列で乗るためでしょ?そうするとここかしらね」 


 そう言うとアメリアはすぐに端末を操作して豊川市の企業情報のサイトを検索した。そこには小さな牧場の写真が映っていた。


「おい、これは誰だ?」 


 左端に鎧兜の女武者の写真が見て取れた。



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