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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第四十三章 突然クライマックスにする

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第177話 ここらあたりで決戦

 傷だらけのランはよたよたとお約束である採石場を歩いた。その足取りは重いものだった。


 わき腹を押さえる左手が光っているのは治療魔法を使っているからのように見えた。それでもぽたぽたと開いた傷口から血が流れ続けた。傷ついた身体では十分な魔力を発生させることが出来ないらしく誠もはらはらしながら見つめていた。


『でもやっぱり決戦と言えば採石場か。ここは僕の意見を入れてくれて戦隊モノのお約束シーンを用意してくれたんだな。ここだけはアメリアさんに感謝しよう』 


 自分の案の戦隊モノチックな展開に誠は手に汗握った。ランの周りにはすぐに不気味な黒いタイツに骨をかたどるような扮装の手下が現れた。恐らく島田の非協力体制も解けて整備班員達が雑魚キャラとして登場してくれているらしかった。


『ちょっとー!アメリアさんベタ過ぎ!ちょっとベタ過ぎ!これじゃあ魔法少女の要素一気に忘れ去られるから!もっとゴーレムとか魔物とか出して!これじゃあ戦隊モノそのもの!僕もそこまでは頼んでないですよ!』 


 そんな誠の声も届かず手下達はなぜか肉弾戦をランに挑んだ。小さいとはいえランも教導隊の隊長をしていただけのことはあり、得意の剣を使うまでもなくあっという間に追い散らされた。この時点で誠はあまりのアメリアの誠への配慮に呆れを通り越して何かしらの作為を感じた。


 しかし、採石場を降りきったところでまた次々と手下が現れた。そして同じく肉弾戦を挑んだ。それに対してランもまた魔法を使うことなく肉弾戦で応じた。元々、法術師同士の戦いなら『身体強化』の法術で肉弾戦において最強を誇るランなので、ランを知っている人ならば肉弾戦になっても不自然では無かったが、ランを知らない人からすれば魔法が使えるのになぜ肉弾戦にこれほどまでにこだわるのか理解しかねる展開だと誠は思っていた。


「きりがないな。これがアタシの運命と言う奴か」 


 そう言いながらランは剣を抜いた。傷ついた体は明らかに切れがなく、振り下ろされるたびに剣は空を切った。手下達は今度は一撃、一撃と致命傷にならない打撃をランに繰り出す。全身に切り傷が増え、剣の切っ先もさらに鈍ってきた。


「そこまでよ!」 


 突然の叫び声に手下達は採石場の反対側に目を向けた。


 そこには二人の少女と一人の女性の姿があった。


「行くわよ!」 


 そう言うと石の上に立っていた三人が飛び降りた。


 まずは小夏。瞬時にピンク色に画面が占められ、すぐに手にした杖のミニチュアが巨大化した。


「友情、愛、そして真実の為に!私は誓う!」 


『あのー、また変身呪文が違うんですけど』 


 脳内で突っ込みを入れる誠の視界の中一杯に回転を始めた小夏の服がはじけとび、白と青の魔法少女のコスチュームが現れた。すぐにサラの変身シーンに切り替わる画面。同じように今度はオレンジの光の中、くるくる回り黒とオレンジの魔法少女のコスチュームがサラを包んだ。


『まさか……』 


 誠がそう思ったときは遅かった。


 かなめのぴちぴちのレザースーツが黄色い光の中ではじけとび、魔法使いと言うより魔女と言うような胸をわずかに覆う金属製のブラジャーとぎりぎりのパンツ。そしてきらびやかな金色のマントを翻すキャプテンシルバーの姿が現れた。


『違うよ!シルバーじゃないよゴールドだよ!それ』 


 そんな誠の心の声を無視して三人がランを襲う手下の前に現れた。手下達は突然現れた新手に混乱して敵を認識できないでいた。


「こいつ等の処理速度では私達の技の特定はできないはずだ!行くぞ!」 


 そう叫ぶかなめが先頭を切って敵に切り込んだ。彼女の振るう鞭で手下達は次々と倒された。小夏も手にした鎌で次々と手下を倒していった。予想したとおり、どう見ても銃器を使えばかなめ達を倒せるだろうという状況なのに手下達はただひたすら肉弾戦を仕掛けて吹き飛ばされた。


 ここでも不自然に魔法少女が魔法を使わず肉弾戦を行うと言う奇妙な映像が出来上がっていた。


『肉弾戦の割に血は出ないんだな。やっぱり血を見るとまずいだろうからな。その辺の配慮はアメリアさんでもできるんだ』 


 そう安心してみていた誠の視界をピンク色の爆発が多い尽くした。



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