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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第四十二章 場面も押し迫ってきて

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第174話 復活する人

「宣伝?ならねえよ!ただ痛い映画が一つ増えるだけだ。それに変な奴が変なことしてアタシを気持ちよくするからアタシが変な方向に目覚めちゃったじゃねえか。あんなの公衆の面前で見せる気か?規制がかかるぞ」 


 吐き捨てるようにそう言うとかなめが稲荷寿司に手を伸ばそうとする。アメリアはすぐにそれを取り上げた。


「なんだよ!」 


「だって宣伝にならないってことはこれは仕事じゃないんでしょ?働かざるもの食うべからずよ」 


 そう言ってアメリアはかなめから取り上げた重箱の中の稲荷寿司を口に放り込んだ。勝ち誇ったようにかなめを見ながらおいしそうに頬張った。


「屁理屈言うんじゃねえよ!返せ!」 


「いつからかなめちゃんの稲荷寿司になったの?名前も書いてなかったし」 


 アメリアの言葉にかなめは頭にきたとでも言うように立ち上がって重箱を奪おうとした。アメリアもさるものでひょいひょいとかなめをかわした。


「暴れんじゃねーよ!」 


 ランの一喝で二人ははしゃぐのを止めた。誠はどう見ても小学校一、二年生にしか見えないながらも貫禄のあるランに目を見張った。やっていることは小学校だが、明らかに大人のかなめとアメリアを生徒にしか見えないランが注意した。その奇妙な光景に誠は噴出しそうになった。


「でもかなり修正するんだろ?新藤」 


 そんなランの一言で話の中心に戻された新藤は口にとんかつをくわえながら頷いた。


「それなら最初からアタシ等のデータを打ち込んでお前が動かしゃいいじゃん。今の技術ならそのくらい簡単に出来るんだろ?どうせアメリアがわがまま言って役者の演技じゃないと映画は映画じゃないとか下らねえこと抜かしたんだろうな。付き合うこっちの身にもなれってんだ」 


 かなめはようやくアメリアから取り上げた重箱の中の稲荷寿司を独占して食べ始めた。


「確かに技術的には可能だけどそんな面倒なこと俺に全部任せようってのか?そんなに給料もらってないぞ俺は。今回だって俺は釣りが出来るからここまで出張って来たんだぞ。そんな無給で働く俺を酷使してそんなに楽しいか?」 


 そう言った新藤は今度は嵯峨を見つめた。


「なに、俺の方見てるんだよ。それにしてもこの蕪の煮付け良い出汁が聞いてますね。かつおですか?」 


「ええ、確か嵯峨さんはかつお出汁の煮物が好きだったと思って……」 


 そう言って今度は春子がこんにゃくの似たものを取り出した。


「ああ、クバルカさんもどうですか?こんにゃくは嫌いだったかしら?」 


 春子にそう言われてランは複雑な表情でそのそばまで紙皿を手に歩いた。


「すみません……気を使わせて、いただきます」 


 殊勝な表情でランでは箸を伸ばす。彼女をニヤニヤ笑いながら見つめているのはかなめだった。


「やっぱり料理ができる女が良いよな、叔父貴も。叔父貴の自炊生活は長いからな……まあ、前のかみさんも家事なんかせずに間男を作るのに一生懸命だったからな」 


 かなめはそう言って場を和ませた。誠は状況が分からないでランと春子を見つめていたが、ランが殺意すら感じるような鋭い視線でかなめを見つめたところから、深くは突っ込まない方が身のためだと思って皿の上のとんかつにかぶりついた。



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