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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第四十二章 場面も押し迫ってきて

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第172話 嵯峨によるアドリブ展開

「それならお願いがあるんですけど」 


 また嵯峨がアメリアの台本にはまるで無いアドリブを飛ばした。冷や汗混じりに誠が目をやった。


「この子達って変身するんでしょ?見せてくださいよ。できれば誠二とか言う居候やそこのグラマーなお姉さんのやつも」 


 嵯峨はニヤニヤ笑う。明石が再び監督の修正でこのアドリブに対応する会話を展開しようとしていた。


「それくらい簡単なことですよ。誠二君と要子さんもよろしいですよね?」 


 いかにも自然に明石が笑顔を向けてくる。かなめが頷くのを見ると誠も嵯峨の方を見た。


「良いですよ、その程度なら」 


 そこで椅子から一番早く飛び降りたのは小夏だった。そのまま応接間のソファーの上に立つと彼女はジーパンのポケットから小さな杖を取り出した。


「宇宙を統べる力よ!正義を求める人々の心よ!その力を私に!勇気を私に!」 


『また違う!このお話では変身呪文は無いはずだぞ!忘れてるよ』 


 誠の魂の叫びもむなしく再び変身画面に切り替わった。来ていたボーイッシュなスタイルの服がはじけとび、白と青とピンクの印象的な魔法少女のコスチュームに切り替わった。


「キャラットなっちゃん!ここに参上!」 


『決め台詞要らないし!』 


 また誠の心を無視して立ち上がった小夏は首のイヤリングの飾りを手にした。同じように着ていた服がはじけとび、黒を基調とした魔法の服に切り替わった。


「あの、質問!」 


 再び嵯峨のアドリブである。これはと思い誠も覚悟を決めた。


「なんでしょうか?」 


「服が飛び散ってくるくる回るのはなぜですか?」 


『ストップ!』 


 またアメリアがシーンを止めた。


『隊長!これはお約束なんで!魔法少女は裸になって変身してくるくる回るものと決まってるんで』


 アメリアは語気を強めて明らかにふざけ半分の嵯峨に向ってそう言った。


「いやあ、知ってはいたけどさ。いつもなんでだろうなーって思ってたんだよ。これまで質問する相手がいなかったからさ。魔法少女とか変身なんたらとかいろいろ知ってそうな神前に答えてもらおうと……アメリアはいい。お前さんは結構しつこく説明してきそうだから」 


 誠はどうせ嵯峨はそんな話を聞くつもりなど無くただ話の腰を折りたいだけだと確信していた。


『隊長。こんどじっくり三日ほど私のアニメ講座を受けますか?私が厳選した上級者向け魔法少女アニメを一々私が解説してさしあげてもよろしいんですけど』 


 甘い口調ででアメリアがそう言うと青ざめた嵯峨が首を振った。



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