表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第四十二章 場面も押し迫ってきて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

170/201

第170話 煮詰まって小休止

 目の前に以前、誠も見た実家の台所と寸分たがわぬ部屋のテーブルに座らせられていた。思わず吐き気を催したのは以前ここに乗っていたカブトムシの幼虫を思い出したからだった。


「……そうか。これが……春子なのか……もう帰ってこないものとばかり思っていたが……この姿とは言え帰ってきてくれたか……」 


 嵯峨は先ほどまでの間抜け面から真剣な表情へと見事な切り替えを見せて花瓶に刺された一枝の薔薇の花を見つめていた。


「そうです。春子さんはカウラさんのことを思って洗脳に打ち勝って我々を救ってくれたんです。もしそれが無ければ我々は負けていました。そうなればこの世界もきっと機械帝国の物になっていたことでしょう」 


 誠はそう言うとテーブルに着く人々を見つめた。カウラは泣きつかれたように呆然とした顔で座っていた。小夏とサラは黙って嵯峨の父親の南條新三郎を見つめていた。


「春子さん……」 


 嵯峨の後妻南條ルカ役のルカはハンカチで目元をぬぐっていた。


「生き物はすべて死ぬものだ。嘆くなんざナンセンスだな。有機生命体の思考と言うものは今一つ理解に苦しむ……実に詰まらん」 


 かなめは非情にそう言い放つとニヒルを気取る笑みを作って見せた。


「あなた!機械人形に人の気持ちの何が分かると言うの!そうよ!人は悲しむものよ!悲しむから喜びもあるのよ!機械のあなたにはそんな簡単なことも分からないのね!なんてかわいそうな人なんでしょう」 


 廊下に出る戸口に寄りかかって立っていたキャプテンシルバーの世を忍ぶ仮の姿、探偵西川要子役のかなめがハードボイルドを気取って吐き捨てたのに地に戻ったカウラが怒鳴りつけた。


「つまらない意見の相違だな。そんな事は世界の危機に比べれば些細なことだ。それよりマジックプリンス。本題に入ったらどうだ?」 


 かなめはカウラの目つきをいつものように無視して誠と明石にそう言った。


「娘さんたちの協力がなければ同じ悲劇がまた繰り返されます。幸い小夏さんには魔法の素質があります!協力を……お願いしたいんです!」 


 そう言って下座の明石が頭を下げていた。無茶な設定に苦笑いを浮かべる誠だが、突然思うところがあった。


『あれ、明石中佐は来てなかったよな?きっとあの時にこのシーンも別撮りしてたんだな……アメリアさんも何も考えていないようで考えてるな』 


 そう思う誠だったが台本どおりちゃんと嵯峨に目を向けた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ