表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第三章 第二ラウンド始まる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/201

第17話 怒れるサイボーグと穏やかな青年

「それにしても、アタシとアメリアはセットで雑に扱われてねえか?特にあの餓鬼!いくら副隊長で上司だからって威張るんじゃねえよ。何が34歳だ!どう見ても8歳じゃねえか!餓鬼は餓鬼らしく大人しくしてろってんだ」 


 そこまで言ったところでランのことを思い出して、かなめは右手を思い切り握り締めた。


「まあ良いじゃないの。あのおちびちゃんもその銃が怖くて隊では誰も逆らえないかなめちゃんを上から目線で注意することでなんとか威厳を保っているんだから。あの姿のおかげで司法局の偉いさんに舐められっぱなしでストレス溜まってるのよ。それより誠ちゃん。さっきので制服の袖、油臭くなってない?」 


 そう言いながらアメリアは誠の腕を持ち上げた。


「油ってなんだよ?アタシはロボか?」 


 いつもなら食って掛かるところだが、かなめは黙ってカウラのスポーツカーの後部座席に乗り込んだ。


「殴らないのか?」 


 カウラはそう言いながら誠とアメリアが乗り込んだのを確認するとエンジンをかけた。


「餓鬼とは違うからな。それより時間がねえんだろ?急げよ」 


 そう言いながらかなめはシートベルトを締めた。確かにランが正式配属になった去年の晩秋から、かなめが誠を殴る回数は確実に減っていた。車は駐車場から出て、石畳の境内をしばらく走った後、駅に続く大通りに行き着いた。


「いつもの市民駐車場でいいでしょ?あそこはいつでも空いてるし」 


 そう言うアメリアにカウラは頷いた。


「市民会館か。そう言えば場所は知ってるけど入ったことないな……どんなだ?」 


 かなめはそう言って後部座席の隣に座っている誠を見つめた。


「普通ですよね、アメリアさん。典型的な市が作った箱もの施設って感じの建物」 


 誠の言葉にアメリアは黙って頷いた。それを見てカウラが怪訝そうな顔をした。


「カウラ誤解すんなよ。こいつ等のアイドル声優のコンサートチケットをアタシが確保しておいたことがあっただけだ。それに当然小夏も一緒だったからな」 


 ハンドルをカウラが握っていると言う事実がかなめを正直にした。節分の祭りを見に来た観光客でごった返す駅から続く道を進み、銀座通り商店街を目指した。


「そう言えば今日は歩行者天国じゃないの、市民会館前の道。じゃあ、国道から直接市民駐車場と言うわけにはいかないわよね。となると車じゃ回り道しないと行けないわね」 


 そう言うアメリアにカウラはにやりと笑みを浮かべた。いつもの道の手前で車を右折させ路地裏に車を進めた。


「このルートなら大丈夫だ。市民会館から少し離れた市民駐車場で道も狭いが通行止めではない。普段は高校の通学路で自転車が多いから使わないんだがな」 


 車がすれ違うのが無理なのに一方通行の標識の無い路地裏を進んだ。アメリアとかなめはこれから起きることが予想できた。


 軽トラックが目の前に現れた。今乗っているのが西の軽自動車なら楽にすれ違えただろう。あいにくカウラの車は幅のある普通自動車の『スカイラインGTR』である。カウラはため息をつくとそのまま車をバックさせた。軽トラックのおじいさんはそのまま車を近づけて来た。


 結局、もとの大通りまで出たところで軽トラックをやり過ごした。


「大回りすればいいじゃないの……その方がきっと早いわよ」 


 呆れたように言うアメリアだが、意地になったカウラは再び車を路地へと進めた。


「ああって私達いつ着くのかしら」


 目を血走らせるカウラを横目にアメリアが大きなため息をついた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ