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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第四十章 一応の決着はついて

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第164話 すべてが終わったのか、それとも……

 誠の体が光り、シルクハット全身タイツと言う変態ユニフォームから散歩をしていたときの私服に戻った。


「誠二さん……置いていくなんて言わないでね……なんだか今の誠二さんを見ているとどこかに行ってしまいそうで……」 


 カウラはそう言うとそのまま誠の手を握った。そこにはなぜかカウラの本心のようなものが有るように誠には感じられた。


「すまない。すべて僕が一人でケリを付ければよかった話なんだ。僕にはやるべき事が有った。僕一人ではできないから君の妹やサラさんの力を借りた。その為に君の母さんを殺してしまった。それは許されることではない……謝って済むはずもない……僕にここに居る権利は無いのかもしれない」


 誠は自分で台詞を言っていてこんな自分勝手な男はこちらからお断りだと思って苦笑いを浮かべそうになった。


「いいえ、違うわ!誠二さんは母さんを救ってくれたのよ。あれは母さんの意志。誰も悪くは無いわ。小夏やサラさんを魔法少女にしたのも誠二さんを助けるために自分の意志で選んだことなんでしょ?それならその責任は誠二さんには無いわ。悪いのは機械帝国。私も戦うわ……確かに私には魔法の力は無いけれど……出来る限りのことはする!教えて!私のできることを!」 


 誠の言葉にカウラは首を振った。そして次の瞬間にはカウラは誠の胸の中で泣き崩れていた。


「母さん……お母さん……私に力が有れば……誠二さんや小夏達みたいな力が有れば……きっと助けられたのに……でも……私は負けない……そして小夏も負けないわ。だから安心して眠ってね……」 


 肩を震わせて腕の中で泣いているカウラの緑色のポニーテールを誠はなだめるようにして撫でた。だがシーンはすぐに別のところに切り替わった。


 小夏とサラは爆発したリンのいた場所を調べていた。その表情には母を失った悲壮感よりも機械帝国に対する怒りからくる激しい憤りのようなものが見て取れた。


「これ……もしかしてお母さんの一部……お母さんの心……」 


 そう言って小夏が取り上げたのは一輪の真っ赤な薔薇の付いた小枝だった。それまで厳しかった小夏の顔が崩れ、自然と涙がこぼれ始めた。


『おい!なんであの爆発でバラの声だが平気なの?ちょっとおかしくない?物理的にあり得ないだろ!上級者過ぎるだろ!』 


 誠は引きつりそうになる頬を震わせてカウラを抱きしめていた。だが、一抹の不安を感じて振り向くとブーツが目の前にあった。


 顔面にめり込んだロングブーツの甲に跳ね飛ばされてカウラを置いたまま誠はぶっ飛ばされた。蹴り飛ばしたのはレザースーツに身を包んだキャプテンシルバーこと私立探偵西川要子役のかなめだった。


『なんで……こんな……』 


 バーチャルシステムでなければ完全に首が折れていた蹴りに誠は顔と首を押さえながら立ち上がった。


「こいつはすまねえな。感傷に浸っている暇の無いはずの王子様が怠けてるんで、つい修正を加えちまった。当然の話だな。戦士に涙は無用だ」 


 そう言ってかなめはにんまりと笑いながら泣き崩れていたカウラをにらみつけた。役を忘れてカウラはかなめをにらみ返した。


「お姉さん……これ」 


 そう言って小夏とサラがカウラに先ほどの薔薇の小枝を渡した。カウラはしっかりと枝を手に取り涙した。


「機械帝国の鬼将軍と呼ばれたメイリーン将軍。あっけない最期だったな。自分の作った魔人に裏切られるとは。まあ魔人なんぞの下級生物を使う奴らしい最後と言えるか……劣った有機生命体を利用しようとした奴の自業自得と言えるか」 


 そう言ったかなめにカウラは平手を食らわした。 


「それだけ?あなたはそれだけなの?お母さんは殺されたのよ!それに下級生物?あなたは所詮機械なのね!人の心なんて分かりもしないくせに……あなたにそんなことを言う権利なんてないわ!あなたに誠二さんを責める権利は無い!あなたは所詮機械よ!」 


『おいおい、なんでかなめさんが機械帝国とつながってること知ってるんだよ!おかしいだろ?さっきまで小夏とサラさんが魔法が使えるのも知らなかったのに!それにそんなに機械機械言ってるとサイボーグ扱いされるとすぐキレる西園寺さんの自が出て本当にキレますよ、カウラさん!その言葉は西園寺さんには禁句ですから!』 


 だがそんなツッコミをするまでも無くかなめの表情が明らかに本心から出てくる怒りで満たされているのが誠にも分かった。本物のサイボーグであるかなめ。彼女を機械呼ばわりする台詞は初めからあった。カウラはそれを正確に読んだだけだった。それでもかなめの逆鱗に触れたことだけは誠も分かる。そのまま誠は引きつった笑いを浮かべながら二人の合間に立った。



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