第161話 正体がバレる瞬間
「小夏……でもあなた、その姿は……教えてちょうだい!いったいあなた達は何者なの?どうしてそんなことが出来るの!お姉ちゃんにも分かるように説明してちょうだい!」
魔法少女のコスチュームに身を包んだ小夏に驚いたように抱きかかえられながらカウラは驚いた表情を浮かべていた。そして彼女の視線の前ではぴっちりタイツ姿のマジックプリンスに変身していた誠の姿があった。
カウラは誠のシルクハットに全身タイツと言う罰ゲームのような姿を見て明らかに噴出しそううになるのをこらえていた。とりあえず誠から目を逸らすと彼女の前に立つ二人の妹役、小夏と上空での戦いをを切り上げて姉を守るべく降り立ったサラに目をやった。
「あなた達……」
「そう!私とお姉ちゃんは選ばれたんだよ!あの、機械帝国の手先を倒すために!その為に魔法の力を手に入れたの!そしてその魔法を使ってこの世界を守らないといけないの!分かって!おねえちゃん!」
そう言って小夏は杖でリンを指し示した。カウラは驚きながら後ずさった。
「嘘でしょ?なんであなた達なの……ほかにいくらでもその素質が居る人が居そうじゃないの……そして誠二さん……その姿は何?そしてさっき『マジックプリンス』って呼ばれてたけど……あなたは何者なの?教えて……教えてちょうだいよ!」
カウラは噴出す危険を避けるために伏せ目がちに誠の手の中に飛び込んだ。
「これも運命なんだ。僕はそう言う星の下に生まれ、そして君と出会ってしまった。すまない、相談もできなくて……本当は君を巻き込みたくなかった。ずっと平和な日々が続くと信じていた……それは僕の甘さだ。僕は君に甘えていたんだ」
そんな二人の光景に微笑を浮かべた小夏とサラはそのまま視線をメイリーン将軍と怪人姿の春子に向けた。
「ふっ!所詮はあの餓鬼では時間稼ぎもつとまらんかったわけだ。良いだろう!行け!ローズクイーン!」
リンが小夏達を指差すと、地面から蔓を抜き取った春子はそのまま鞭のようにしなる蔓で二人を襲った。
「舐めてもらっては困るわね!私にそんな攻撃が効くものですか!」
そう言うとサラは蔓に向かって鎌を振り下ろした。だが、それは完全に読まれていた。サラはそのまま死角から延びてきた蔓の一撃で空中から投げ落とされた。
「お姉ちゃん!」
空中でもう一方の蔓と間合いの取り合いをしていた小夏の視線がサラに向いた一瞬。今度は小夏に蔓が絡みつき、そのまま堤防に叩きつけられた。
「小夏!サラさん!負けないで!」
妹達の劣勢を見つめてカウラは叫んだ。
「ふっ。たわいも無いな!この程度の敵にてこずるとは!あの亡国の姫君の程度が知れるわ!このまま何度となく地表に叩きつけてその身体を木っ端みじんに粉砕してくれるわ!」
リンが高らかにそう叫んだとき、叩きつけたはずの小夏がリンの前に現れその頭に杖の一撃を加えた。




