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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第三十七章 撮影は延々と続く

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第157話 縦割り行政のおかげの『他人事』

「お仕事お疲れ様。それにしても皆さんお忙しいことですわね」 


 上品に笑う茜だが、そりの合わないかなめは鼻で笑うとそのまま会議室へ消えていった。


「しかし、よくあれだけのデータを東和警察から持って来られましたね。去年私が北豊川トンネルの落盤事故の資料を探しに言ったときは体よく断られましたから……何かコツでもあるんですか?」 


 カウラの言葉に茜は他意がないと言うようににっこりと笑った。その物腰はあの司法局実働部隊隊長の娘であるということを忘れさせるような優雅なものでいつも誠は不思議な気分になった。


「まあそれだけ法術と言う存在を明らかにする必要性が高まっていたと言うことが原因かも知れないですわね。もしお父様が『近藤事件』で神前さんの力を引き出して見せなくても、誰かが表ざたにすることは東和警察も覚悟をしていたんだと思いますわ」


 そう言って相変わらずかえでの毎日自分のアレを飲んでいる事実に呆然としている誠は褒められたと言う自覚も無くただ照れ笑いを浮かべていた。


「でも、神前曹長のおかげで私達法術特捜はこの人数でも十分活動可能な状況を作り出すことができましたし。そこだけは幸運と言っても良いんじゃないかしら。それにしても神前曹長。顔色が悪いですわよ。昨日も飲み過ぎですか?お酒は飲まれるものではありませんよ」


 茜はそう言って誠の額に手を当てて熱を測った。誠の二日酔いはかえでの衝撃的な犯罪自白で醒めていたので茜の何も知らない態度に驚いたように飛びのいて見せた。


「どうなさったのかしら?急に飛びのくなんて……(わたくし)なにか誠さんを驚かすようなことをしました?」


 何も知らない茜は不思議そうな顔で誠を見つめた。


「いや、たぶん神前は別の事でショックを受けて立ち直れない状況にあるのだと思う。確かにあのような扱いを受けてすぐ立ち直る人間はうちの隊では島田くらいのものだ。寝ているところをかえでの命を受けたリンにいきなり侵入されて強制的に夢精させられたなどと言うことはあまり褒められたものでは無いからな」


 先ほどのかなめとかえでのやり取りをすべて聞いていたカウラはそう言って誠の代わりに茜に事情を説明した。


「まあ、あの姉妹のすることに一々目くじらを立てていたらここでは生きていけませんわね。すべて忘れる事ですわ。犬に噛まれたとでも思いなさいな」 


 そう言うと茜はラーナをつれて司法局実働部隊の隊長室に向かった。


「まあ、西園寺は日野少佐が来てからさらに異常な方向に向いてきているからな。神前。気を許すんじゃないぞ」 


 カウラがそう言うと歩き出した。誠も吐き気を抑えながらその後に続いた。


「早くしなさいよ!ダッシュ!」 


 会議室のドアから顔を出すアメリアの声が廊下一杯に響いた。



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