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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第三十七章 撮影は延々と続く

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第155話 復活の早い人

「なに?誠ちゃんまだ潰れてるの?私みたいにすぐに元気になる体質じゃないとこの『特殊な部隊』では生きていけないわよ。いくら自分のモノがでかいからってあんなにみんなに見せびらかしてたら、そのうちそちらに自信の無い整備班の誰かに刺されるわよ」 


 昨日の帰りにはカウラにおんぶされていたほど酔いつぶれていたはずのアメリアの元気さに誠はあっけにとられた。


「アメリアさん。なんで平気なんですか?昨日の帰りは僕と大して変わらない状況だったじゃないですか」 


 そう言うのが精一杯と言う調子で言葉を吐き出す誠の背中をアメリアは景気よく叩いた。思わず吐きそうになりながら再び誠が口を手で覆った。


「はい!病は気からよ!気合があれば病気なんてすぐ治るわ!私には今やるべき事が有る!そのことを完遂するまでは倒れてなんて居られないわ!」 


 ハイテンションにそう言うとアメリアは高らかに笑った。


「オメエは一年中病気だろ?テンション的にも性的嗜好にも」 


 そうつぶやいたかなめをアメリアはにらみつけた。だが、アメリアの手に台本のようなものが握られているのを見てかなめは露骨に嫌な顔をした。


「オメエが元気ってことは、昨日の続きをはじめるとか言うことか?また面倒なことになりそうだ」 


 そう言うかなめに顔を近づけていくアメリア。かなめはその迫力に思わずたじろいだ。


「あたりまえじゃないの!監督としてクランクアップまで見届けて編集作業も締め切りまでに終わらせる。当然の話じゃない」 


 アメリアはそう言うと再び第一小隊のカウラ、かなめ、誠の顔を見回した。


「さあ!今日も張り切っていくわよ!移動、開始!」 


 誠はそんな元気がどこから出てくるのだろうと不思議に思いながら部屋を出て行こうとするアメリアを見つめていた。


「本当にやるんですか?僕は体調が悪いから辞退するって訳にはいかないですかね?」 


 力なく誠は立ち上がった。世界がぐるぐる回っていた。


「諦めろ。ああなったアメリアは誰も止められねえよ」 


 そう言ってかなめは立ち上がって開いたドアを支えていた。カウラは心配そうに誠の肩に手を当てた。


「大丈夫か?なんなら無理しなくても良いんだぞ。まずは体調が大事だ。次に仕事が大事だ。映画の撮影などと言うものの優先順位はその下も下の最下位と言って良い」 


 そう言ってカウラはエメラルドグリーンの瞳を向けた。思わず自分の頬が染まると同時に、かなめとアンから殺気を帯びた視線が来るのを感じてそのまま部屋を出た。



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