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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第三十七章 撮影は延々と続く

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第154話 いつものふりして出勤

「大丈夫か?神前曹長。貴様はいつも西園寺の罠にあっさりとかかるんだな。昨日もビールにラム酒を仕込まれて……何度同じことを繰り返せば気が済むんだ?味で分かるだろ?それとも西園寺の罠にわざとかかっているのか?」 


 カウラがそう言ったのが当然だと誠も自分で思っていた。頭痛と吐き気は、今朝、かなめにたたき起こされたときから止まることを知らない。こうしてモニターを見ていてもただ呆然と文字が流れていくようにしか見えなかった。


「おい、医務室行った方がいいんじゃねえの?それにしてもオメエの学習能力の無さは島田並みだな。毎度同じ手に引っかかって……まあ、その度にオメエご自慢の立派なアレが見たいからアタシもやってるんだけどな」 


 昨日も誠のビールにラム酒を加えて誠を潰した張本人であるかなめは他人事のようにそう言った。


「誰のせいでこうなったと思って……」 


 とぼけた顔のかなめに恨み言を言おうとして吐き気に襲われて誠は口を覆った。


「すまないな、昨日飲みすぎちゃって……」 


 そう言って誠はとりあえずトイレで一回胃の中の物を吐き出そうと思った。


「お疲れ様です!」 


 元気良くそう彼等に良いながら部屋に入ってきたのはアンだった。18歳らしく烏龍茶だけを飲み続けていたアンは元気そのものだった。そしてその手にはなぜか誠の痛い絵のマグカップが握られていた。


「神前先輩。これを飲んでください。昨日は先輩の立派なモノを見ることが出来て僕もうれしかったです。僕の彼氏はあれほど大きくないので少し不満なんです。どうすればアレがあんなに大きくなるんですか?」 


 アンが差し出すのは渋そうな色の緑茶だった。普段ならアンの怪しい瞳と言葉の内容が気になって手を伸ばさないところだったが、今の誠にはそんな判断能力は無かった。


「ありがとうな、しかし渋いな」 


 そう言いながら誠は一口茶を啜るとため息をついた。


「おい、これじゃあ仕事にならねえな。寮で寝てた方が良いんじゃねえのか?」


 明らかに足元がふらついている誠に向けてかなめがそう言った。 


「だから西園寺。こうなったのは誰のせいだとさっきから聞いてるんだ私は!貴様のような下心満載で神前を潰すような奴と一緒に飲みに行った私が馬鹿だった!これからは西園寺が飲みに行くときはひとりで行け!神前をこれ以上巻き込むんじゃない!」 


 カウラは無視されてさすがに頭にきて怒鳴った。それがきっかけで二人はにらみ合った。女性上司の対立も、今の誠には些細なことに過ぎない。絶え間ない吐き気と頭痛にただ情けない笑いを浮かべることしかできなかった。


「みんないるわね!」 


 元気良く部屋に飛び込んできたのはアメリアだった。今朝、同じように二日酔い状態でカウラの車に乗り込んだはずのアメリアがやたら元気良くしていた。その姿を見て誠はうらやましいと言う表情で見上げた。



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