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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第三十五章 他人事と思っていると自分が

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第148話 急展開する戦い

「小夏!なんで私に助けを求めなかったの?せっかく捕まえられるチャンスだったのに!」 


 すでに戦いは引き分けに終わりランが逃げ去った後だった。サラは小夏のところまで降下すると責め立てた。でも口を真一文字に結んだ小夏は謝るつもりはないというようにサラをにらみつけた。


「良いじゃねえか!このくらいの気迫が無けりゃあ戦いなんてできないもんだ。それにアレとの戦いはこれからのこいつの魔法少女としての成長には必要不可欠なものだ。再び相まみえる事が有ればこいつも後れを取らないだろう」 


 相変わらずどう見ても敵の魔女と言うか機械人間のように見えるかなめが良い顔で小夏の頭を撫でた。


「そんなスポーツじゃないんだよ!いつかは決着をつけなきゃいけない……」 


 そう叫ぶグリンの口にかなめは手をやった。


「それよりこのままにしておくつもりか?機械帝国は決して貴様を許すことは無いだろうよ」 


 かなめはそう言うと下の光景を見下ろした。グリンだけでなく小夏もサラも眼下の光景を眺めた。神社と中学校の木々の頭の部分が焼け焦げ煙を揚げていた。一方ランが突風を吹かせた影響で小学校のガラスがすべて砕けて無残な姿を晒していた。


「分かりましたよ!後で明石司令に報告します!」 


 そう言うとグリンは両手を広げた。彼の手からあふれ出た光の粒が中学校と隣の鎮守の森を包む。木々は再び生き生きと茂り始め、中学校の砕けた窓ガラスが元に戻っていった。


『これは凄いな。法術でもこんなことは出来ない。これを魔法と言うのだな。私も読んでいるファンタジー小説では『修復魔法』とかが出てくるのだが、こうして画像にしてみるとイメージ出来て良いな』


 カウラは本気で感心したようにきらきら光りながら修復されていく学校の姿を眺めていた。 


『カウラさん。これは魔法ですから。法術はそんなに便利な物じゃあありませんよ。それにファンタジーなら何でもありですから。どんなこともできるからファンタジーなんですから』 


 突然後ろから掛けられたカウラの声に少しばかり誠は驚いた。しかし、いつまでたってもかなめを迎えに行ったまま戻らない誠の様子を見に来ることはカウラの性格からすれば十分あり得る話だった。


 画面では中学校の屋上に舞い降りてもとの制服姿に戻る小夏が映されていた。


『しかし、ころころ場面が展開するんだな。アメリアの見せてくれたアニメはそんなに場面転換は無かったぞ』


 カウラはそう言ってアメリアの台本の欠点を指摘した。


『あの人はゲームもそうですけど、あまり長い場面を作りたがらないんですよ。同じ場面が続くと自分が退屈するからみんな退屈だろうって言う理屈らしいんですが、僕としてはもっと長尺のシーンが有った方が興奮……いや!なんでもないです!』


 誠はアメリアの同人エロゲームの原画を担当させられていたので何度となくその手の話はアメリアとはした事が有った。そして自分が説明しているのがカウラのあまり好きではないエロゲームの話だったことを思い出して口を濁した。


『そうなのか?私は戦いが延々と続く方が楽しいと思うのだが。実戦でもそうだが、長い戦いは体力と精神力が試される。そのギリギリを見るのが楽しいと思うのだが』


 カウラはそう言いながら不思議そうにしていた。誠はそれはラスト・バタリオンの本能として戦闘を欲しているからなのだろうと思いながら、それだけは黙っておこうと沈黙を守った。



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