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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第三章 第二ラウンド始まる

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14/201

第14話 人造人間とお祭り

「カウラちゃん。こんなのもう別に珍しくないでしょ。私達ももう慣れてきても良い頃よ。ラスト・バタリオンと言えども普通の人間よ。戦うためだけに存在するわけでも、子供を産むためだけに存在するわけでもない。もっと人生楽しみましょうよ。お店が一杯ある。みんな笑顔。それがお祭りってもの。そのくらいもう慣れてくれても良いと思うんだけど」 


 そう言うアメリアに追いついた誠は少し心が動いた。アメリア、カウラ。二人とも普通にこの世に生を受けた存在では無かった。


 全地球圏とかかわりを持つ国家が争った第二次遼州大戦。その中で国力に劣る遼州星系外惑星の国家ゲルパルト帝国が発動した人工兵士製造計画。それがアメリア達、『ラスト・バタリオン』を生み出した。戦うため、人を殺す兵器、そして兵士を産むための機械として開発された彼女達だが、結局大戦には間に合わず戦勝国の戦利品として捕獲されることになった。


 この誠が生まれ育った国、東和はその戦争では中立を守ったがそれゆえに大戦で疲弊しなかった国力を見込まれて彼等の引き受けを提案されてもそれを拒むことができなかった。そしてそれ以上に疲弊した国家の内乱状態を押さえつけることで発言権を拡大しようとする東和政府は即戦力の兵士を必要としていた。


 そんな経歴の二人のことを考えていた誠だが、ゲルパルトで戦時中にロールアウトして実戦を帯剣している割に、今ではすっかり東和色に染められたアメリアはいつの間にかニヤニヤ笑いながらお面屋の前に立っていた。


「ねえ、誠君。これなんて似合うかしら。面白いと思わない?どう?」 


 そう言ってアメリアは戦隊モノの仮面をかぶった。妙齢の女性がお面を手にしてはしゃいでいるのが珍しいのか、お面を売っているおじさんも少しばかり苦笑いを浮かべていた。


「あのなあ、クラウゼ。一応お前も佐官なんだからそんなもので喜ぶのは考えものだぞ。私もこういう店には慣れてきた。そう言う物は子供の買うものだと言うことも分かっている。ふざけるのもいい加減にしろ」 


 説教を始めようとするカウラの唇に指をかざすとアメリアは大きく首を横に振った。


「違うわよ……市民とのふれあい、協力、そして奉仕。これが新しい遼州同盟司法局の取るべき道なのよ。そんな対象年齢層とかを考えて屋台でお買い物なんてしてたらつまらないでしょ?もう少しカウラちゃんも羽目を外すことを覚えなきゃ」 


 アメリアがそこまで言ったところで飛んできた水風船が顔面にさく裂した。その投げた先には両手に水風船を買い込んだ小夏が大笑いしている姿があった。



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