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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第三十一章 場面転換

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第136話 意外なる再会

「もしや……あなた様は……」 


 驚いた表情の小熊の姿があまりに滑稽に見えたので誠は吹き出しそうになるのを必死にこらえた。特にそれがアンの声なだけに余計に誠のツボに入るものだった。


「久しぶりだね、グリン。元気そうじゃないか。あの戦いを切り抜けることが出来たとは聞いていたが、ここまで回復しているとは僕もうれしいよ」 


 誠がそう言うとグリンは平身低頭した。その様に小夏とサラが驚いているのがわかった。


「お兄ちゃん……もしかして知っているんですか?グリンのこと。でも何で?」 


 小夏が神前寺誠二役の誠とグリンを不思議そうに見比べていた。


「小夏ちゃん。この人が魔法の森の王子『マジックプリンス』様だよ!」 


 グリンの言葉に小夏は一瞬素に戻った。その目は明らかに誠を見下しているような色を湛えていた。だが隣に師匠と仰ぐ小夏の演技と言うよりただ単に楽しんでいる姿を見て役に戻った。


「それじゃあこのおじさんも……」 


 小夏はそう言って無理のある作り笑いを浮かべる明石に目をやった。


「彼はこの世界の人間だが、僕の秘密を守ってくれることとこの世界に僕を導いた恩人だ。彼が僕をこの世界にかくまってくれていてね。君の家にお世話になるのにもいろいろ手を尽くしてくれたんだ。そして今では機械帝国の脅威を知って協力をしてくれている」 


 誠の言葉に時々呆れている地を見せながらサラが明石を見上げた。


「お二方、飲み物は何にする?」 


 相変わらず明石は変なイントネーションでしゃべった。


「じゃあ私はオレンジジュース!」 


「小夏ったら遠慮くらいしなさいよ!」 


 小夏がうれしそうに叫ぶのをサラは止めようとした。いつもの光景が展開されて誠は噴出しそうになった。


「いいんだ、気にしないでくれたまえ。これからは一緒に戦う仲間になるんだから」 


「神前寺さん、いや殿下の言うとおりだ。僕もいずれは連絡を取らないといけないと思っていたんだ……しかし殿下がこんな身近に……」 


 グリンの言葉に不信感をぬぐいきれないもののこれ以上意地を張れないと思ったようにサラがカウンターに座った。


「じゃあお嬢さんは……」 


「ホットミルクで」 


 つっけんどんに答えたサラに笑みをこぼすと明石は飲み物の準備を始めた。


「でもカウラお姉ちゃんは知ってるの?」 


 明石がテーブルに二つのグラスを置いた。小夏は目の前に出されたオレンジジュースを飲みながら誠を見つめた。


「知らないだろう。多分教えない方が良い。その方が良いに決まっている。この戦いは厳しいものになる。無用な心配はかけたくない」 


 その言葉に思わず誠は口を開く。そんな彼を明石が抑えた。



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