第131話 サイボーグを借りに
「じゃあ西園寺さんに設定を戻してもらいに行ってきます」
そう言って誠は詰め所を後にした。
廊下に出ると冷たい風がおはぎの食べ過ぎで火照った身体に堪えた。
「寒いな……しかし、西園寺さん。マゾにも目覚めちゃって……この部隊だんだん本当に『特殊な部隊』になっちゃってるな」
誠は独り言を言いながら相変わらずあの撮影をしている第四会議室の前にたどり着いた。そこでは運行部の女性士官達が雑談をしていた。
「ああ、アメリア呼びに行かなくてもいいわよ!誠ちゃんは自分から来たから!」
その中で明らかに一回り小さい小夏が誠に手招きをしていた。
「小夏ちゃん、一体……」
誠はそのまま急に歓迎ムードになった女性士官達の前を小夏に引っ張られて部屋に入った。
「おう、来たか」
そう言って首の周りにいくつもの配線をまわした首輪のようなものをつけた新藤がキーボードを叩く手を止めて誠を見つめた。
「あれ?昼休みじゃないんですか?」
「なに間抜けなこといってるんだよ。こう言う人様にあまり顔向けできない仕事はさっさと片付けるに限るだろ」
そう言いながら新藤がキーボードを叩くと再び目の前のカプセルのふたが開いた。先ほど誠が入ったカプセル。それを指差しながら新藤はニヤニヤ笑った。
「またやるんですか?僕は締め切りの決まってる仕事がしたいのに……」
誠は恨みがましい目を新藤に向けた。
「どうせあっちで見てたんだろ?この中に入って見てても同じじゃないか」
新藤と目配せをした小夏が誠にヘルメットをかぶせた。仕方なく誠は顔まで覆うヘルメットを再びかぶるとカプセルの中に寝転がった。
誠の被ったバイザーの中に先ほどかなめが鞭打たれていた洞窟が見えた。
『かなめちゃん!準備できた?』
アメリアの声が響いた。誠はサブモニターで自分の姿が黒いマントにシルクハットを被る変な仮面をした魔法使いになっていることに気づいた。




