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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第二十五章 娯楽の無い『修羅の国』出身者

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第115話 リアル『魔法少女』登場 

 しばらく暗転していた画面が再び点灯した。場面は同じ場面。アメリアに説教されたらしく、かえでとリンは大人しく初めの場所に立っていた。


『へえ、そんなことが簡単にできるってのか?捕虜に逃げられた上にわざわざすっとんで帰ってきたオメーなんかによ』 


 突然の乱暴に響く少女の声。陰から現れたのは8才くらいの少女。赤いビキニだか鎧だか分からないコスチュームを着て、手にはライフルなのか槍なのかよく分からない得物を手にした少女に光が差した。そのどう見ても小学生低学年の背格好。そんな人物は隊には一人しか居なかった。


「クバルカ中佐……なんてかわいらしく……」 


 アンは変わり果てたランの姿を見て感動したようにそうつぶやいていた。ただ誠はランの強さをイメージした衣装だったのでアンとはデザインの感覚が理解しあえないことをこの言葉から分かった。


「おい、これがかわいいのか?アン、お前の神経、やっぱりどうかしてるぞ」 


 画面の中ではさっきまでこの部屋で文句をたれていたランが不敵な笑みを浮かべながら現れた。誠は耳には届かないとは思いながらすっかり自分の脇にへばりついて画面をのぞき込んでいるアンにそう言ってみた。


『ほう、亡国の姫君の言葉はずいぶんと遠慮が無いものだな。美しく愛し合う二人の間に入り込むとは時も読めない無粋な存在だと言うのに……まあ、私は心が広い。今回は許してやろう』 


 そう言ってそれまで悪の首領っぱい影に下げていた頭を上げると、機械魔女メイリーンは皮肉をたっぷり浮かべた笑いでランを迎えた。


「おっ!ここでも見れるのか?」 


 誠は突然後ろから声をかけられてあわてて振り向く。そこには隊長の嵯峨がいつもの眠そうな表情で立っていた。


「ええ、まあ一応……西園寺さんが設定をしてくれましたから」 


 誠は照れながら頭を掻いた。嵯峨はそのままロナルドの開いている机に寄りかかると誠達の後ろに陣取ることを決めたように画面を見つめていた。


「なんだかなあ。かえでとリンの格好、なんとかならんかったの?これじゃあ市役所の連中からまた文句言われるよ。文句を言われるのは俺だよ。アメリアの奴、少しは俺にも配慮してくれよ」 


 嵯峨はかえでとリンの際どい衣装を見て思わずそう愚痴をこぼした。誠はそのまま画面の中でお互いににらみ合うリンとランの姿を見ていた。



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