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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第二十五章 娯楽の無い『修羅の国』出身者

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第114話 魔法少女に造詣の深い青年

「なるほど……そうなんですか。さすが先輩は詳しいですね」 


 アンはストーリーについていくのがやっとと言う感じで興奮した表情を浮かべながら誠にそう言った。


「詳しいというか……なんと言うか……趣味のフィギュアを作ってるうちに原作にも凝り始めて見るようになっちゃって……それにこの部隊に来てからアメリアさんに変な魔法少女モノのアニメを山と見せられたから上級者向けのアニメの知識が身に着いちゃったんだ」 


 アンはそう言って胸の前で手を合わせて上目遣いに誠を見上げてきた。脂汗を流しながらそんなアンを一瞥した後、画面が切り替わるのを感じて誠は目を自分の端末のモニターに戻した。


 場面が変わった。画面は漆黒に支配されていた。両手を握り締めて、まじめに画面を見つめるかえでとリンに圧倒されながら誠はのんびりと画面を見つめた。誠の背中に張り付こうとしたアンだが、きついカウラの視線を確認して少し離れて画面を覗き見ていた。


 画面に突然明かりがともされた。それは蝋燭の明かり。


「機械帝国なのに蝋燭って何時の時代なんですか?アメリアさんやりすぎですよ」 


 さすがに飽きてきた誠だが、背後のアンに押し付けられて椅子から立ち上がることができないでいた。


『メイリーン!機械魔女メイリーン!』 


 その声はかえでの声だった。誠はアンを無視することに決めて画面に目を映した。


 黒い人影の前でごてごてした甲冑と赤いマントを翻して頭を下げる凛々しい女性の姿が目に入った。胸のあたりはギリギリふくらみを感じさせる部分まで露出していて、腹の鍛えられて割れた腹筋と引き締まったウェストがかえでが女性であることを見るものに印象付けた。


『は!太子。いかがなされました』 


 声の主は明らかにかえでの副官、渡辺リン大尉のものだった。そして画面が切り替わり、青い筋がいくつも描かれた典型的な特撮モノの悪者メイクをしてほくそえむリンの顔がアップで映った。こちらの衣装はさらに際どかった。ほとんど乳首を隠しているだけのブラジャーとも呼べないような胸当てに、下半身も大事な部分を隠しているだけと言うようなパンティーとも呼べない代物を着用していた。そして、刺青の様に刻印された機械をイメージしたタトゥーがリンの裸体を裸体に感じさせないようにデザインされていた。


 誠の元デザインではタトゥーはもう少し薄目で素肌が露出するもう少しエロティックにデザインしたはずなのだが、さすがにそれは新藤が空気を呼んだらしいと誠は安心して変態二人の演技を見ることが出来た。


『余の覇道を妨げるものがまた生まれた。それも貴様が取り逃がした小熊のいる世界でだ……この始末、どうつける?』 


 誠はそんなかえでの声を聞きながら隣で画面を注視しているかえでに目を移した。言葉遣いやしぐさはいつものかえでのような中性的な印象を感じてそこにもまた誠は萌えていた。


『確かにこの人なら女子高とかじゃ王子様扱いされるよな。さすがアメリアさんは目ざとい』 


 そんな妄想をしている誠に気づかずかえではただひたすら画面にかじりついていた。


『は!なんとしてもあの小熊を捕らえ、いずれは……』


 機械魔女メイリーンこと渡辺リン大尉は必死に頭を下げた。かえでの声の影だけの王子頷いていた。


「それにしてもメイリーンよ、やはり貴様は美しいな」


 かえではそう言うとさわやかなほほえみをリンに向けた。


「いえ、黒太子様ほどでは……」


 そう言うと二人はゆっくりと近づいて行った。かえではリンの胸に手を乗せた。


「メイリーンよ、やはり美しい。さすがは余の最高傑作……その甘美な唇を味合わせてもらおうか……」


 そう言うとかえではリンを抱き寄せディープキスをしながらリンの股間をまさぐり始めた。


『ストップ!かえでちゃん!何する気!公衆の面前で!』


 アメリアの叫び声が響いたが、かえではその言葉をまるで聞く様子も無く自分の秘部にリンの手を導いた。


「ああっ」


 かえでが快感から思わず声を漏らした。その表情は次第に赤みを帯びたものに変わる。


『新藤さん!強制終了!これ以上は子供に見せられないわよ!』


 アメリアの叫び声とともに画面が暗転した。


「予想通りの展開だな。日野少佐と渡辺大尉がキャスティングされた時からこうなることは見えてたんだ」


 誠は納得したようにそう頷くとアンに視線を向けた。


 とろけるような瞳を誠に向けて来るアンがそこに立っていた。


「僕達もあの二人みたいなキスをしてみませんか?僕達ならもっと素敵なものが出来るような気がするんです」


 アンのそんな提案を誠は断固として無視することを決意した。



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