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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第二十四章 魔法少女始まる

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111/201

第111話 魔法の呪文とお約束

『カラード、サラード、イラード……力よ!集え!』 


「呪文か……法術はその点呪文なんていらねえから便利だよな。それより、神前。さっきのアタシの質問を無視しやがったな。生意気に」


 小夏の叫び声に誠は視線を画面にさらに顔を突き出した。そしてさすがに無視するのも限界に来た誠はかなめの質問にはそのままの格好で答えた。


「それは視聴者サービスって言うか……なんとなくかわいらしいと言うか……」 


 これ以上かなめを無視し続けると何をされるか分からないので、誠はかなめに対する恐怖からそう答えた。


「少女の裸が見たいとは……このロリコンめ!オメエは毎週かえでが送ってくる動画であの屋敷に住んでる女共の裸を嫌って言うほど見てるだろうが!それとも二十代より性犯罪対象になる年齢の裸が見たいのか?それでも警察官か?この変態!」 


 かなめがそう言って誠をはたいた目の前で、今度は白いニーソックスとメタリックな靴が小夏のか細い足を包んだ。そしてそのまま腰に広がった白い布のようなものは光を振りまきながら小夏の下半身を覆い、赤い飾りの入ったロングスカートに変わった。


「あれ?神前の絵と比べるとかなり飾りが少なくないか?」 


 そんなかなめの突っ込みを無視して誠は画面をじっと見つめていた。そのまま上半身を光が包むと胸のあたりでリボンのようなものが浮かび、それを中心にぴっちりと体を包むアンダーウェアに小夏が覆われた。そして次の瞬間には目の前に浮かんだ杖を手にした小夏がくるくるとバトンの要領でこれを回すと、清潔感のある白に赤い刺繍に飾られたワンピースをまとってポーズをとっていた。


「いい加減無視すんなよな……このポーズの意味はなんなんだ?」 


 かなめの我慢が限界に来たのを察知した誠は仕方なく答えることにした。


「お約束です!昔からそうなってるんです!これは上級者向けも一般少女向けも変わりません!」 


 力強くこぶしを掲げてそう叫ぶ誠にかなめは思わず一歩引いた。続いて画面の中では今度はサラの変身が行われていた。同じように服がはじけて代わりに青を基調としたドレスとカマのような先を持った杖を振ってサラは同じくポーズをとった。


「なんだよ、サラには変身呪文は無しか?」 


 カット替わりの度にかなめは一々誠に質問してきた。


「おかしいですね、アメリアさんの台本では変身呪文は二人とも無かったはずですが……」 


「アタシの聞きてえのはそっちじゃねえ!オメエのツッコミどころはわけわかんねえよ!」 


 呆れたようにそう言うとかなめも画面を見つめた。魔方陣が消え、それぞれのコスチュームを身にまとった二人がその自分の姿を確認するように見つめていた。



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