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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第二十三章 いよいよ撮影開始

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第105話 その道のプロの集まる『釣り部』からの助っ人

「バーチャルでやるんですか……脳に電極刺したりしないんでしょうね?まあ、いいですよ。それとバーチャル酔いとか変な効果は無いんでしょうね」


 誠は自分の乗り物酔い体質に慣れているのでバーチャル酔いが最初の恐怖と感じら

れた。 

「おい、神前。プロの技術に文句をつける気か?今時バーチャル酔いなんて時代遅れだぞ。何百年前の話をしてるつもりだ?地球じゃこれが常識だ。東和が遅れてるだけなんだ」 


 そう言うのは奥にモニターをにらみつけながら座っているおそらく釣り部の隊員の見慣れない男が座っていた。さすがに誠は悟って小夏達の様子を観察した。アイマスクのようなものをつける彼女達の口元が笑っているように見えたので誠は覚悟を決めるとアメリアが指し示すカプセルに寝転んだ。


「この人は新藤中尉……艦船運航部の警備担当よ……元傭兵で平時には映像作家をしてたのよ。傭兵と言うことで地球関連の企業からの依頼儲ける事が有って地球の最新鋭の映像関連技術にも精通しているのよ。さすが、釣り部には『その道のプロ』が集まっているのね」


 アメリアは得意げにひげ面の新藤を紹介した。


「元傭兵……」


 静かに頷く新藤を見て誠は正直恐怖を感じた。元傭兵と言うだけあって迫力のあるひげ面にはそれ相応のすごみが感じられた。


「はいこれ」 


 そう言ってアメリアがヘルメットを差し出した。徹夜明けと言うことでいつもより明らかに疲れているようで、笑顔がどこと無くぎこちない。


「分かりましたよ」 


 誠はそのまま体をカプセルの中で安定させるとヘルメットをかぶった。それに付属した視界を確保するためのバイザーをおろすとそこはどこかで見たような部屋だった。


『これ僕の部屋じゃないか!』 


 確かにこれは実家の誠の部屋だった。夏にコミケの前線基地としてアメリア達を呼んだ時にアメリアが撮った部屋の内装なのは間違いなかった。きっちり本棚には誠が作った美少女キャラのフィギュアと大量の漫画が並んでいた。


「始動するわよ!」 


 アメリアの声が響くとカプセルのふたが閉まった。そして誠の意識はバイザー越しの見慣れた部屋に吸い込まれていった。


 誠の着ている服が寝巻きに変わった。


『このまま開始5分で着替えて食堂に下りる』 


 目の前にに指示が入った。昨日の渡された台本を思い出し、カウラの幼馴染で大学に通うために下宿していると言う後付設定が加筆されたのを思い出しながら頭を掻いて見せた。


「凝りすぎでしょ、アメリアさん」 


 誠はそう言いながら東都の実家と同じ間取りの部屋のベッドから起き上がり、かつてのように箪笥から服を取り出した。


『誠ちゃん。ちゃんと着替えるのよ』 


 天の声のように響くのはアメリアの声だった。誠は急かされるようにジーンズをはいてTシャツを着込んだ。そしてそのまま誠の実家と同じ間取りの階段を下りて出番に向けて食堂の入り口で待機した。


 視界に入る台本にはすでに小夏、そして嵯峨が食堂で食事をしていると言う設定が見えた。カウラは炊飯器からご飯を盛っているということで誠の視界の外にいた。誠はそのままカウントが0になったのを確認して食堂に入った。



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