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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』  作者: 橋本 直
第二十一章 慣れない酔っ払いと

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第100話 かなめとの夕べ

「まあ、いいや。実は飲み足りなくてな……付き合えよ」 


 そう言うとかなめは立ち上がった。誠も穏やかな寝顔のカウラを見て安心するとかなめの後に続いた。カウラの部屋の隣。さらに奥のアメリアの部屋はしんと静まり返っていた。かなめも鍵を取り出すとそのまま自分の部屋に入った。


 こちらも質素な部屋だった。机といくつかの情報端末と野球のスコアーをつけているノートに筆文字で何やら誠の読めないものが書かれていた。あえて違いをあげるとすれば、この部屋に普通に転がる酒瓶はカウラの部屋には無かった。


「実はスコッチの良いのが手に入ったんだぜ。アイラのシングルモルトの12年ものだ」 


 そう言ってかなめは笑った。そのまま彼女は机の脇に手を伸ばし、何本も並んだ酒の入った瓶から高級そうな瓶を取り出した。そしてなぜか机の引き出しを開け、そこからこの寮の厨房からちょろまかしただろう湯飲みを二つ取り出した。


「まあ、夜はまだまだあるからな」 


 そう言ってかなめはタレ目で誠を見つめた。彼女の肩に届かない長さで切りそろえられた黒髪をなびかせながらウィスキーをそれぞれ湯飲みに注ぎ、誠に差し出した。


「良い夜に乾杯!」 


 そう言ってかなめは笑顔で酒をあおった。誠は彼女のそう言う飲み方が好きだった。


「お前も配属になってもう半年か。どうだ?女関係の話はやめろよ……それはクバルカの姐御から止められてるんだからな」 


 珍しくかなめが仕事の話を振ってくるのに違和感を感じながら誠は頭をひねった。


「そうですね、とりあえず仕事にも慣れてきましたし……と言うかうちってこんなに遊んでばかりで良いんですかね?仕事と偽って野球の試合に出たり、農作業を理由に県警の交通課の応援を断ったり……仕事をしたような記憶があまり無いんですけど」 


 誠の皮肉ににやりと笑いながらかなめは二口目のウィスキーを口に運んだ。


「まあ、それは叔父貴の心配するところなんじゃねえの?でもまあこれまでよりは仕事はしてるんだぜ。『近藤事件』や『バルキスタン三日戦争』、『厚生局違法法術研究事件』なんかはようやく隊が軌道に乗ったからできる仕事ではあるけどな」 


 そう言って笑うかなめが革ジャンを脱ぎ捨てた。その下にはいつものように黒いぴっちりと体に張り付くようなタンクトップを着ていた。張りのある背中のラインに下着の線は見えなかった。



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