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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第五項 王都
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デミワイバーン・ドクトゥス その5

「行け、行け、行けぇえ!」

「素材ゲットのチャンスだ!!」

「よくやった!! 後は俺たちに任せろ」

「弱ってんなら俺らでもやれるぞ!」


 撤退した後、様子を窺っていたプレイヤーたちが土が落ちた場所に群がって行く。デミワイバーン・ドクトゥスは地面に落とされてもなお死んではいないようで近づいて来たプレイヤーを次々に返り討ちにしていく。しかし、ヤツも今までの戦闘で飛ぶ力が残っていない。

 尻尾の振り払いでプレイヤーが飛んで行き、鉤爪の一撃で四等分にされる。今でも魔力を無効化する特性は続いているようでアーツは発動していないが勇猛果敢に攻めるプレイヤーの群れは徐々にヤツのHPバーを減らしていた。


 歩之術理 死点取


 私はプレイヤーの間を縫うように移動し、ヤツの死角に回る。


 攻之術理 降龍


 まずはヤツの尻尾から。歩幅を調整しながら近づき、尻尾の付け根目指して樹王を振る。


「ゼロに合わせろ」

「てめぇの相手は俺らだろう!」


 尻尾の半ばまで刀が入るがそれ以上進まない。さらに一歩踏み込もうとした時、ヤツがこちらに振り向き、鉤爪をこちらに向ける。だが、それを周囲にいたプレイヤーたちが身をもって守ってくれた。


「おりゃぁああ!!」


 足を踏み込め、樹王にさらに力を込める。砂地故に足場が不安定だがそれでも先にヤツの尻尾が切り離された。ヤツの口から絶叫が木霊する。


 ヤツの叫び声を聞きながら次の行動に移り、今度はヤツの残っている翼に攻撃を入れる。ここで足を狙わないのはもし、足を落としても最後の足掻きで空中に戻られれば振り出しに戻りかねないからだ。


 樹王がヤツに触れ、尻尾の時よりも抵抗を感じさせずにヤツの飛膜を切り裂く。ここに来てヤツの反撃が決まる。後ろ蹴りの要領で放たれた鉤爪の攻撃を私は喰らった。だが、万象夢幻が発動する。

 これにより私は無傷でありながらヤツは最大の隙を晒してしまう。そこにプレイヤーたちが押し寄せる。多くがオリジナルスキルを使っているようで彼らの攻撃を受けたデミワイバーン・ドクトゥスのHPの減りが大きい。


 私は機会を窺いながらヤツの顔近くに移動する。このまま倒せるなら良いのだがHPバーの残量からして決め手にはなっていない。殺し切るにはまだ火力が足りていないのだ。


「ピュテェエエエラァア!!」


 デミワイバーン・ドクトゥスが片足を軸に回転する。回転に巻き込まれたプレイヤーは死に戻りを喰らっていき、その攻撃を耐えたプレイヤーは二度目の回転攻撃の餌食になって教会に送還されてしまった。

 私は攻撃の予兆を察して退避していた。なので被害は受けていないため速攻を仕掛ける。ヤツの周囲に人がいなくなった現状、次に起こる攻撃は大方予想が出来てしまう。


「ヤツを飛ばすな!」


 最初の姿かからは想像もつかない程ボロボロになった翼を広げてヤツが飛び立とうとする。今逃げられては堪ったものでは無いためヤツに近づきながら周囲のプレイヤーに声を掛ける。誰か有効なオリジナルスキルを持っていればいいが...。


「よっしゃ、任せとけ俺の出番だな。捕縛鎖」


 プレイヤーの一人がデミワイバーン・ドクトゥスを対象にオリジナルスキルを放った。ヤツに向けた腕から10本ほどの鎖が飛び出てヤツに絡みつく。鎖は消えることなく絡まってヤツを完全に包み込んだ。

 だが、翼を拘束することは出来ていないのでヤツは翼をはためかせて飛ぼうとする。そして鎖を生み出しているプレイヤーの身体が浮く。連れて行かれそうになったのを見て周囲のプレイヤーが鎖のプレイヤーを掴む。


「死ぬ死ぬ死ぬ。腕千切れるって!!」


 ヤツは逃げようと羽ばたき、プレイヤーたちは逃がさないように引っ張る。まるで綱引きのような構図だがその中心となっている鎖を生み出したプレイヤーは両者から引っ張られ拷問を受けているようにも見えてしまう。

 お前の犠牲は無駄にしない、心の中で鎖のプレイヤーに感謝を告げながら跳躍、デミワイバーン・ドクトゥスに攻撃を加える。しかし、金属同士が擦れるような音が響いただけで切り裂くことは出来ていない。脚の踏み場が無いと力が乗らないからだ。


 どうするべきか。頭をフル回転しながら対策を考える。ヤツから一度離れて再度上空から攻撃すべきか、それとも天命のサポートに期待するか。それは難しいか。天命を見れば助力は出来ないと首を振られた。

 そうこうするうちにヤツの高度は徐々に上昇している。迷っている暇は無い。一度離脱すべきか。


「ピュラァラアアア!」


 ヤツから反転し、魔術が無効化される場所から逃げようとした時、ヤツが悲鳴を上げた。何事かと視線を送ればどういう訳かヤツの目から一本の矢が生えていた。さらに瞬きをするような僅かな時間を置いて雷光が空を駆ける。プラズマ化した空気だけが視界に映り、その先を見ると二本目の矢がデミワイバーン・ドクトゥスの目を穿っていた。長距離からの狙撃、放電する矢、間違いなく聖だろう。


「ピュラァ、ピュラアアア!」


 二度目の咆哮が響き渡り、態勢を崩したデミワイバーン・ドクトゥスが落下を始めた。魔術を無効化する特性は聖の矢にも有効だったようだが速度までは消せなかったようで矢が眼球の奥深くまで刺さっている。


 攻之術理 昇龍


 落下するデミワイバーン・ドクトゥスにタイミングを合わせて全力で樹王を振り上げる。重くのしかかるような抵抗を感じた後、肉を斬る感触が伝わり、骨にぶつかる。さらに力を込めればヤツの自重も合わさって首が刎ねた。


 ズドンとヤツの亡骸は地に落ち、砂が舞う。砂埃が晴れ出した時、同時にヤツの身体も粒子となって消滅を始めるのだった。


現在新作の執筆が楽し過ぎて止められない状況。AWOもちょっとずつ執筆します。はい

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