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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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パーティ VS フォレストスパイダー その3

 バフとデバフをばら撒いていたからだろうか、フォレストスパイダーの全ての眼が私の事を直視している。

 ヘイト管理には気を配ったがそれでも足りなかったらしい。これは困ったことになってしまった。


「ヘイトアップ......ハイヘイトアップ......パワースタン。ヤバい。こっちにヘイトが向かないぞ!!」


 不知火が直ぐに駆けつけて私のヘイトを奪おうとしているがそれでも高まったヘイトを全て奪うことは出来なかった。

 私もなんとか時間を稼ごうと詠唱による強化を施したホーリープリズンを行使するが、フォレストスパイダーを囲うように展開した光の柱はヤツが前足を1度、2度と振るだけで破壊されてしまう。


「仕方ない。私は回避を優先するからその間にヘイトを奪ってくれ」


 本来だったらこうも簡単に私にヘイトが向くことは無いのだが、今回は私とロードのレベル差が影響していたのだろう。

 基本的に高火力な魔術でもヤツには殆ど効いた様子はなかったからな。それに対して本来は掛かりづらいデバフがヤツに入っていた。

 まあ、起こってしまったものはしょうがない。不知火がヘイトを奪うまでの間は回避に専念しておけばいいだけの話だ。

 詠唱による魔術行使ができないため白黒の成長率は悪いだろうが、1つずつならば動いていても魔術は発動できる。


「すまんな。俺の管理ミスだ」

「気にすんな!! 俺も参加するぜ!!」

「それでしたら吾輩もやりましょう。今度は最大火力で放つのも悪くはありませんな」


 ヤツに近づく私に向かってレオたちが参戦を表明するのを聞きながら闇魔術のアーツであるアブソープを発動させる。すると私の両手に真っ黒な靄が纏わり付いた。

 ちなみに今の装備は聖書と魔書だ。

 ヤツの攻撃を見ているとどうしても導魔で攻撃を受けたくはないと思えてしまう。

 一撃で大樹を切断してしまうような鋭利な脚なのだ。下手に受け止めてしまえば一気に耐久値が減少するのは目に見えている。

 そして、アルにまた文句を言われるところまでがセットだ。


 歩之術理 縮地


 彼我の距離を一瞬で詰めてヤツの眼前に辿り着く。

 チャンスがあればそのままヤツの顔面に攻撃を叩きこんでしまおうと思ったのだが流石はフロアボスだ。直ぐに口元にある鋏角を伸ばして対処してきた。


 守之術理 舞風


 しかし、反撃されることも考慮しているので次の術理を使い、上向きの風に乗るかのようにヤツの頭を支点に跳び上がって回避する。

 そして、慣性を殺さずに硬糸によって守られている胴体を見据える。

 時間が引き延ばされたような感覚の中、遂に私とヤツの胴体が交差し、待機させていたシールドを発動させる。

 それを足場にすることで力を余すことなくヤツの弱点とも言われる胴に回し蹴りを直撃させた。


 攻之術理 震撃


 回し蹴りは一寸の狂いなく命中するが大した攻撃にはならなかった。

 何せ、フォレストスパイダーはかなり硬度の高い糸を鎧のように纏っているからだ。しかし、私の場合は少々訳が違う。

 双心流の術の1つである震撃の性質故に最初の攻撃は大した効力を見せなかったのだ。

 では、その性質とは何か。それはヤツに回し蹴りを喰らわせてから一拍置いた後に明らかとなる。

 突如、ヤツの腹から鈍い衝撃音が響いた。

 これこそが震撃の性質。防御不可能の内部攻撃だ。


「ムーンスラッシュ!! マジでチートじゃねぇかよ!!」


 ちょうど追撃となる形でアーツを放ったレオは震撃で与えたダメージ量を見て私にチート疑惑を掛けてきた。

 レオが言っていることは分からないでもない。

 何故なら、先のレオが放ったムーンスラッシュはヤツのHPを2、3%削ったのに対して私が放った震撃は5%近くのダメージを与えたからだ。

 アーツも何も使っていないただの蹴りでだ。

 これはもうチートと言われても仕方がないかもしれない。ただ、私としてはもう少し削れると思っていた分、この結果には納得がいかない。

 それに、今の攻撃で私に対するヘイトがまた一段と高まったことだろう。

 不知火には申し訳ないと思いながらもどうしても攻撃したくなってしまったのだ。

 欲望に忠実に生きるのも悪くはないな。と、考えながら次からは攻撃をしないでひたすら回避に努め白黒を成長させようと不知火の顔を見て心に誓った。


「想像以上に硬い。これは装備も見直さないといけなさそうだ」


 体術のアーツにより、まるで滑るように移動してきた一刀は短剣術Ⅱのハイスラッシュを使いヤツに攻撃を仕掛けたが、レオとは違い得物が短剣であるため威力が出せずにヤツの脚を斬りつけるも甲高い音を立てて弾かれてしまう。

 そればかりか、その隙を狙うように他の脚で攻撃されることになった。しかし、一刀の体からオーラが漏れ出すとヌルりと真横に移動してそれを回避した。


 それから一刀たちがひたすらに攻撃を続け、私が迫りくる攻撃を避けながらバフとデバフを行使すること数分でやっとヤツのヘイトが不知火に向いた。

 最初の回し蹴り以外はヤツに触れていないのにこれ程までにヘイトが移るのに時間が掛かったのは不知火たちとのレベル差が30以上あるからだろう。

 だが、それも白黒で不知火たちのステータスが底上げさたことによってヘイトアップなどの効果が高まり、こうしてヘイトが外れたわけだ。


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