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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第四項 迷宮の街
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パーティ攻略 その3

 レオを前戦から引かせた後に私も元の位置に戻り、詠唱を始めたロードにバフをかける。私だけの場合だと集まったゴブリンたちを倒すには一体ずつ近接戦で処理しなければいけないのだがロードのような魔術士がいれば雑魚相手にはそのような手間をかけなくていい。

 何故なら、MMOで人気が高い魔術士と言う職業は広範囲に強力な魔術を発動することができるからだ。それはAWOでも例に漏れず、まさにMMOの花形職ともいえる。多分AWOでも職業別プレイ人口が一番多いのではないだろうか。


「【我が眼前でひれ伏すがいい デュオマジック ストーム赤・緑】」


 詠唱により思考補助が作用した魔術が発動する。ロードが行使した2種類のストームは最初は火の粉と鎌鼬を内部で発生させながらゴブリンたちにそれぞれ進行するが途中からまるで合体したかのように巨大な火災旋風に生まれ変わる。

 なぜかデジャヴを覚えるがいつかのゴブリンたちが発動させたファイヤーストームよりも今ロードが行使している魔術の方がよっぽど凶悪だ。大きさはこっちの方が小さめだが2種類の魔術を使っているからなのか変な副作用のようなものも出ている。


 火災旋風は進行するたびにゴブリンたちを飲み込み、竜巻の内部で炎の鎌鼬によって追撃を加えられてさらにダメージを負わされている。

 そして、火災旋風は仲間を助けるためにこちらに増援に来たゴブリンをも巻き込み全てのゴブリンにダメージを加えている。中には大してダメージを負っていないゴブリンもいたがそのほとんどがかなりの痛手を負っているように見える。


「新しいテクニックか? 多重詠唱に似ているが2種類の魔術を同時に発動させて相乗効果を得ているようだし複合詠唱と言ったところか」


「複合詠唱。いい響きですな。このテクニックの名称を複合詠唱としますぞ。ゼロ殿、ナイスアドバイスですな」


 名称は複合詠唱にしたようだ。それにしても今の魔術の感じからして相性が良い属性同士でないと発動しないのかもしれない。『もしかしたら光魔術と闇魔術でも使えるかも』と思考を巡らせるがどうにも難しい。

 そもそも光魔術は味方に、闇魔術は敵に効果を及ぼすのだから相乗効果を得るのは無理だろう。それにロードが使っているのを見ると完全に二つのアーツを同時発動していたから私が同じことをすれば〈白黒〉を解除してしまう可能性が高い。


「ふむ、バフが付いていると威力が格段に上がりますな。これならMP効率も悪くないですぞ。セクステットマジック サークル六属」


 そう言いながらロードが魔術を行使すると通路を埋め尽くすように六つの魔術陣が出現する。その魔術陣は半径5メートル程あるので目の前の通路は完全に魔術陣で染まってしまった。

 それから、赤色の魔術陣からは炎、風の魔術陣からは鎌鼬と属性に対応した攻撃が魔術陣の上で展開され、生き残ったゴブリンたちのHPを確実に削っていく。


 しかし、最初の火災旋風で大したダメージを受けなかったゴブリンは今の攻撃を受けてもまだHPが残っている。だが、そのゴブリンも聖による正確無慈悲な矢の一撃により崩れ落ちてしまった。


〈戦闘が終了しました〉


「確かにどれほどゴブリンが来ようと問題なさそうだな。私はこいつらを処理するのにかなり時間を取られていたが範囲魔術があれば一瞬か」


「いやいや、なんで落ち込んでるのさ。ゼロは神官なんだからそこで落ち込むのはおかしいって。普通はこの数のゴブリンに囲まれたら死に戻り確定だよ」


「聖、お前は勘違いしている!!」


「勘違いって何が?」


「ゼロはゴブリンと戦えないから落ち込んでいるに違いない!!」


「流石にそれはお前の思い違いだぞ、レオ。いくら戦闘狂だからと言ってそんなことを思っているはずがないだろ......ないよな?」


 不知火よ。何故そこで疑問形になるのだ。そこは確信をもってくれても構わないのだが。

 

 その後、言い争いを始めた三人を一刀が仲裁し探索を再開する。今度はさっきの失敗を生かし、不知火と一刀がレオを完璧にマークしているので一人で先行できないようになった。

 その背中に哀愁が漂っていてロードと一緒に笑っていたら、レオの大剣が飛んでくると言うハプニングはあったものの今のところ順調に探索を進められている。


「そういえばゼロは今、何階層まで攻略が進んでいるんだ?」


「私か? 私は41階層まで進んだぞ。この二日間は本気で攻略したからな。だが、明日は攻略速度を落とすつもりだ」


「41階層ってマジか? しかもソロでか?」


「昨日は護とパーティを組んでいたが今日はソロで攻略したな。ただ、戦闘は避けて攻略重視で動いたから成せたことがだな」


「いや、それでもありえんくらい速いがまあ、ソロなら魔物にバレずに行けるものなのか」


「不知火、ソロでもありえないからな。そんなことができるのはβの奴でも片手で足りるレベルで頭おかしいことだから参考にしない方が良いぞ。それよりこれ以上は無理だ。ゴブリンとの戦闘になる」


 不知火との会話をやめて気配察知の強度を上げていけば確かにどの道を進んでもゴブリンとの戦闘は避けられない状況になっているのを確認できた。

 まあ、ゴブリンの処理をするのはロードなので私は最低限のバフを更新してから多少のサポートをするだけで良さそうだ。ソロの時とは違い全てに気を使わなくてもよいので楽だ。ただ、もう少し戦闘を楽しみたいと思う気持ちがないと言ったら嘘になるが。


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