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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第三項 森林の街
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迷宮の街 その2

「これをリアちゃんに渡せばいいんだよね?」


「そう言うことだ。頼んだぞ。ああ、それとお前はいつ頃に迷宮の街に来るのだ?」


「迷宮の街か~。僕はいつでも行けるけど行くならみんな揃って行くことになると思うよ。なんで?」


 私は無言でインベントリから〈銀樹刀 導魔〉を出し、アルに渡す。


「ちょっと、ゼロ!? 使い方が雑じゃない? どうしたらここまで耐久値が減るのさ」


「お前が驚くのは分かるが雑に使ったわけじゃなくて敵の数が多かったんだ。そこは安心してくれ」


 夜通しでウッドアニマル、ゴブリンと戦っていたので気づけば耐久値が半分まで減ってしまっていた。アルのオリジナルスキルで耐久値を上げてもらっているのでまだ修繕をしてもらわなくても使えるがアルが早めに迷宮の街まで来れるのなら先に預けて向こうで受け取る流れにしたい。

 もう片方の硬魔も戦闘で使ったが導魔に比べれば使用回数も少ないのでまだ耐久値には余裕がある。最悪これ一本でも戦うことはできるが長さが短いので攻撃に用いることはあまりないだろう。それにアルが早めに迷宮の街まで来ることができるならダンジョン攻略もそこまで進んでいないだろうし、本格的に攻略に移る前に装備が戻ってくるという寸法だ。


「耐久値が減った経緯はそこまで求めてないけど今修繕しちゃう?」


「そうしたいのは山々だが私も限界が近づいているのでな。修繕にも時間がかかるだろうからアルが次の街に早めにこれるのなら預けてしまいたいのだが」


「修繕には大体一時間くらい掛かっちゃうかな。アシストをつけたら1分もかからないだろうけどそれだと耐久値の最大値も減少しちゃうから私はアシストなしでやらせてもらうよ。

 でも、ゼロは一時間も待てないって顔してるから修繕は向こうについてからの方が良いかもね。私たちが迷宮の街に行くのは最低でも2日は先の話だろうしさ」


 二日も先になるとその頃には一刀たちと迷宮に潜っているだろうし、今回の修繕は見送りにするか。パーティーで動くなら聖書だけを持てばいいのだが、困ったことにすっかり刀が馴染んでしまい近接戦なしの戦闘じゃあ満足できない体になってしまったのだ。

 その後もアルと情報交換をしたり、少ししゃべった後に別れ馬車乗り場へと向かう。馬車乗り場は門の近くにあるので門に向かって歩いているのだが、ついに迷宮の街だ。ここに来るまでは長いけど短かったという感想が一番最初に来る。


 中央王国も残すところ次の迷宮の街と王都なのでもうゴールが見え始めてきている。そしてこの国が終われば宗教国に行くことができるのだ。そして、そこからが私の物語(ゲーム)の始まりと言っても過言ではない。

 ダンジョンも楽しみだがその後も面白さが尽きることがないのは良いことだ。と思いながら歩いていると段々と馬車乗り場が見えてきた。


「予約していたゼロだ。乗れるか?」


「はいよ。ゼロさんね。もうすぐ発車するからもう乗ってもらっても構わないよ」


 乗り場まで着き、客を捌いていた住民に近づき予約していたことを伝えると馬車に案内される。定期馬車は一度に何十人と人を運ぶため10台ほどが同時に出発する。それでも住民だけなら足りるだろうが我々訪問者が大量に乗り込むため本来だったら馬車が10台あっても足りない。

 しかし、乗って気づいたのだが馬車の中はインスタンスエリアになっているようで人一人が入れるほどの空間が広がっていた。


 これで馬車には乗れたので数時間後には迷宮の街に着くことになる。ラピも金を払って御者に預けているし向こうに着くまでは何も心配することはない。

 向こうに着いたら早くダンジョンに行きたいのでそろそろ仮眠をとることにするか。


 私はメニューの欄からログアウトの項目を選択する。すると本当にログアウトするかと聞かれるのでYESを選択すると私の視界が暗転していくのであった。


〈ログアウトしました〉


・・・


・・



「皆さん、そろそろ着きますので下車の準備をお願いします」


 御者の声で馬車の窓から外を覗けば迷宮の街が見えてきた。街の見た目は鉱山の街と特に変わっていない。だが、街の中央には天高く聳える巨塔が建っている。


 世界に七つしか見つかっていない塔型のダンジョンの一つ『大地の塔』。これまでに数多の冒険者が挑んできたが未だ制覇されておらず、その頂の景色を見たものは誰一人としていない。だが、ダンジョンからもたらされる恩恵は絶大で一攫千金を夢見た冒険者が後を絶たず、世界各地から強者がやってくるようだ。

 そのため、昼夜問わず祭りの如く賑わっており巷では眠らない街と呼ばれ、喧騒が途切れることはない。そしてダンジョンでしか手に入らない物もあるようでこの国では王都の次に賑わっている。


 森林の街で冒険者ギルドの受付嬢から聞いた簡単なあの街の説明だ。


 定期馬車が門を潜り、街の中に入って近くの広場に停車する。どうやらここで下車するようだ。

 御者に礼を言い馬車から降りると、突如吹いた風が私の高揚感を静める。危うくこのまま大地の塔に向かうところだった。まずはラピを宿に預けて教会で今回の修行内容を聞かないとだ。


 ダンジョンは逃げないのだから落ち着かなければ。たかが数十分の辛抱じゃないか。クソ、腕が痙攣してきやがった。まだダンジョンに入っていないのに攻撃を仕掛けてきてるだと!

 なんて恐ろしい所だ。今までの魔物は軟弱者がほとんどだったのだ。苦戦する魔物を期待しているぞ。


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