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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第三項 森林の街
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鍛冶師 ドガン

「し、死ぬかと思った~」


「生きてるから大丈夫だろ」


「そういうことじゃないんだけどね!」


 あれから2時間ほどラピに走ってもらい鉱山の街に戻ってきた。そして今の時間は18時過ぎだ。アルは今から教会に行って転職を済ませてくるので私は先に生産職ギルドに向かう。

 この街に来る途中、ドガンさんにフレンドメールでミスリルの加工をできないか連絡したがどうやら向こうも私がミスリルを持っていることをゴルジアナさんから聞いていたようで是非加工をやらせてくれと逆に頼まれてしまった。


 それにゴルジアナさんに渡していた分のミスリルは彼女が加工をするからドガンさんは触らせても貰えなかったみたいで私のミスリルを加工させてもらえないかと連絡しようか悩んでいたそうだ。

 と言うわけで生産職ギルドまで全力で向かっているわけだがまさか二度と来るもんかと思っていたこの街に戻ってくることになるとはな。早いとこ用事を済まして森林の街に戻りたいものだ。

 

「ほいっと......シールド」


 シールドってかなり便利なんだよな。物理攻撃を防ぐから壁として配置できる。なので目の前に召喚し、足場として使うことで楽に屋上に上がれるのだ。

 バフも全開でかけているのでAGIもそれなりに高い方だろう。歩けば時間がかかる道のりも走れば意外と早く着くものだ。


 パルクールの要領で屋上を進めばすぐにギルドが見えた。ギルドの近くには飛び移れる場所がないので屋上から飛び降り普通の道を通りギルドに向かう。

 ギルド内はどこもかしこも人だらけだ。時間帯的にもプレイヤーがログインしてくる頃合いだろうし仕方がない。ドガンさんはギルドの施設内にいると連絡が来たので受付嬢に事情を話して案内してもらう。


「待っておったぞ、ゼロ。早くワシにミスリル加工させてくれ」


 扉を開けてそうそう大柄な筋肉マッチョの男が詰め寄ってくる。今日も光を反射する頭が鬱陶しくてしょうがない。太〇拳かな。

 男に詰めよられる筋合いはないのでとりあえずミスリルを渡す。ミスリルを受け取ったドガンさんはまるで赤子でも抱き上げるかのように優しく受け取り、まじまじとそれを見つめる。


「どれだけ楽しみにしていたんですか。それで、加工はできますか?」


「加工なら問題ないぞ。なにせワシは無事に二次職の〈熟練鍛冶師〉になれたからな」 


 おや? またもや運営の手抜きを見つけてしまった。今回の標的は職業の名称か。戦闘職は私や一刀たちの転職の時が大丈夫だったので、多分生産職だけだろう。確かに生産職の職業はそんなに種類があるわけではないので仕方ない面もあるのかね。

 まあ、名称が手抜きでも二次職としての内容はしっかりしていると思われるので問題ないだろう。


「そんで、こいつを鉄芯の代わりに使うんだろ。どれくらいの長さに加工すりゃあいいんだ?」


「全体としては大体90cmの木刀を想定しているので仕込むミスリルもそれくらいの長さになるでしょうね」


「90センチだとすると変にミスリルが余ることになるぞ。ゼロが許可してくれればミスリルと鉄の合金を作らせてもらいたい」


「合金、ですか。それも悪くはないですが合金にするメリットを教えてくください」


 ドガンさんが提案したミスリルと鉄の合金のメリットは第一に合金にすれば硬度が上昇することだ。硬度についてはミスリル自体が純銀と同等程度には柔らかかったのでそのままでは使えないと感じていた。なので硬度が上がってくれるなら合金にすることに反対する理由がない。

 中に仕込むミスリルが柔らかいと鉄芯の意味をなさないし、たとえ魔力伝導性が高かったとしてもそれじゃあ使えるものが作れない。


 次に合金にするメリットが武器の製作に使える量が増えることだな。これはミスリルに鉄を混ぜるのだし当たり前だ。ちょうど木刀を2本作ってもらいたかったのでこれは助かる。ミスリルが足りなかったら普通に鋼か鉄を使おうと考えていたので余計に反対する理由がなくなった。

 逆に合金にするデメリットが魔力伝導性が下がることだと言われた。ミスリルと言う魔力の通りが良い金属に魔力の通りが悪い金属を混ぜるため相対的に魔力の通りが悪くなると言うことだ。


 別にそこまで魔力伝導性を求めているわけではないのでこのデメリットも大して気にはならない。もともと木刀にミスリルを仕込もうと考えたのも魔力流したら霊系の魔物にもダメージを与えられかもと思っただけだし。

 そういう訳なのでドガンさんには合金を作る許可を出すと合金を作ることがそんなに嬉しいのかずっと高笑いをしている。生産狂いの思考は分からん。ドガンさんのような生産職がいるから装備の性能がどんどん向上していくのだな。


「ワシは今からミスリル鋼を作るから少し集中させてもらうぞ。それと余っているミスリルはないか? 合金を作る練習に使わせてもらいたいのだが」


 余ってると言うわけではないが〈魔銀の粒〉があったのでそれを渡す。これは完全に練習として使うようでいい値段で買い取ってくれた。しかし、これでロードに渡す予定だったミスリルも全部使ってしまった。

 すまんな、ロード。合金が余ったら渡すよ。多分余んないだろうけど。ロードにはミスリルが落ちる場所については教えているので欲しくなったら私たちに言ってくるだろう。


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