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AWO〜ゼロと愉快な5人の仲間たち〜  作者: 深山モグラ
第一章 中央大陸編 第一節 中央王国 第三項 森林の街
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魔の森の麓

「すごい立派だね。こんなに大きいとちょっと怖いかも。ゼロ、リードしてくれるよね?」


「もちろんだ。初めてがこれだけデカいと確かに恐怖心があるのは仕方がない。だが、安心しろ。慣れればすぐに気持ちよくなるぞ」


「う、うん」


 諸君。何を想像したのかな? もちろんやましいことなど何もない。ただ、アルがラピに乗るのが怖いと言ってるだけだ。たったそれだけだぞ。それ以上のこと考えた人はいないよな? もしいるならお巡りさんを呼びましょうかね。

 そんな冗談はさておき。ギルドで依頼の受理を完了させた後、魔の森の麓までラピに乗って移動することにしたため宿までラピを迎えに行ってきた。


 さっきこの街に着いたばかりで休めた時間も少ないのにラピは元気満タンのようだ。街に出ると直ぐに荒ぶりだし、すぐにでも走りたそうにしている。その様子が一段とアルを怖がらせているのだがラピはまったく気にした様子がない。

 一度全力で走る快感を覚えたらそう簡単には忘れられないよな。それは私も同じだ。なのできっとアルもすぐに慣れるだろう。


「うわぁ、結構高いよこれ。落ちたりしないよね?」


「そんなに心配だったら私にしっかり掴まっておけ。それじゃあ、行くぞ!」


 アルの手を取りラピに乗せれば思ったより目線が高くなって驚いている。それもそのはず、アルとラピが普通に並んでもラピの方が大きいのでその上に座ったら目線がいつもより高くなるのは当たり前だ。

 一応振り落とされないよにアルには忠告をしラピを走らせる。待ってましたとでも言うかのように一瞬にして高速になり森林の街のフィールドを駆け回る。

 

「速いよ。ねえ! 速いって。このままじゃ飛ばされちゃうよ!!」


「仕方がない。ラピ、もっと速度を上げてやれ。アルにお前の素晴らしさを教えるチャンスだぞ」


 私の言葉にラピは鼻息をすることで返しさらにその速度を上げる。四肢が地面を強く蹴りどんどんと加速する。やはりうちのラピは優秀だ。すぐに最高速度に達することができるしそれに私を楽しませてくれる。これからもいい相棒になるだろう。


「ゼロ! 話が違うよ。速くするんじゃなくて遅くしてって言ってるの!!」


「つれないことを言うな。お前にもこの気持ちよさを体感させてやろうと言う私の優しさだぞ?」


「そんな優しさなんていらないからー!!」


 そろそろ揶揄うのもやめにしよう。さすがにこれ以上は可哀そうだ。ラピに指示をだし減速してもらう。減速するときに少し悲しそうな鳴き声をしていた。すまんな。お前と二人っきりの時はいつでも全力で走らせてやるから今は我慢してくれ。


「これでどうだ? さっきよりはだいぶマシになっただろ」


「うん。ありがとう。これくらいのスピードだったら問題ないよ」


 アルも減速した今の速度なら大丈夫みたいだ。魔の森の麓につくまでの残り数分はこのままでいこう。たまには景色を眺めながら移動するのも悪くはないしな。


・・・


・・



「見えてきたよ。あれが魔の森の麓だね」


「あれがそうか。結構樹が多いのだな。もっと開けている場所を想像していたがこれではまるで林みたいだ」


 周りの風景を眺めていたら目的の場所に近づいていたようで私たちの目の前には木々が無造作に生えるエリアが見えてきた。森林の街が魔の森の麓に建てられていると言ってもそれなりに距離があるのでここに来るまでは徒歩だと時間がかかりそうだ。

 それにしてもかなり樹が多い。時折動いている樹もあるし、どうせあの中にトレントンが混じっているのだろう。


「近くで見るとさらにデカいな。これだけの大きさがあるなら木材は豊富にあるんじゃないのか?」


 ラピからアルを降ろしながら問いかける。ここの木々は高木に分類されるのではないだろうか。低いものでも5メートルはあるし奥に目を向ければ15メートル以上ありそうな樹が生えている。


「確かにこの街は木材が豊富だから家具を作るうえでは問題ないよ。でも武器とかを製作するとなるとやっぱ、トレントン系の方が耐久値とか高いから装備依頼ではトレントンの素材の方が人気なんだよね」


 魔物が落とす素材の方が耐久値が上がるのか。それだとここにある樹を伐採する必要はあるのか? いや、なにも木材の需要は武器だけではないな。武器よりも建築物や家具といったものの方が作られているに決まってる。

 物事の解釈が争い事を基準に考えるようになってしまったじゃないか。これだから〈狂想の体現者〉などと呼ばれてしまうのか。......いかんな、システムが言ったことを一瞬信じてしまいそうになってしまった。私は至って平凡な一般人だ。決して常識外れではない。


「トレントンにはプルル・デッド・アイビー・エルダーの四種類が見つかっているけど、どれから行くつもりなの?」


「そんなのエルダートレントンに決まっている。私たちが狙っているのはエルダートレントンの枝だろ?他のやつらには興味などない」


 何を聞くかと思えば討伐対象のことだったか。エルダートレントンの枝は他のトレントンからはドロップしないのでエルダートレントン、長いからエルダーと呼ぶことにするがエルダー以外は狩る意味がない。それにエルダーの討伐依頼しか受けてないので金にもならん。

 魔石を集めるわけでもないので今回は無視しても問題ないだろう。


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