No.13「正論≠ベストアンサー」
「お兄さん?」
ティアに兄がいた事自体が初耳だった夜斗は、まだ半信半疑だった。それに、彼女とは名字が違う。しかしどことなく雰囲気が似ており、目の色は同じ紫で、違うのは髪の色が藍色な事だった。美男美女兄妹とは、この二人のためにある言葉なのではないだろうかと思ってしまう程の眉目秀麗さだ。
「……会うのは、六年ぶりだけどね」
そう言いながら悲しそうに視線を落とす。おもむろにティアの頬に手を添え、額辺りの髪にキスをした。驚きで唖然とする夜斗を見て、顔を上げた見舞い人は腹を抱えて笑う。
「ははっ、ごめんごめん。これは挨拶なんだよ」
「そ、そうなんですか」
挨拶へ過剰反応した事に恥ずかしくなり、思わず顔を逸らす。
「まあ、こんな形での再会の挨拶はしたくなかったんだけどね……。元気な姿を見たかったよ」
急にしんみりとした空気が病室を満たす。なんと返せばいいのかと夜斗の困惑している表情を視界に捉え、次の話題を振る八雲。
「そうだ。僕とした事が、君の名前をまだ訊いていなかったね」
「あ、俺は……」
「蔦森夜斗君。ティアと同じ、仮編成右京隊の訓練生だよね?」
「そ、そうです」
なぜ知っているのかとまたも警戒を強める夜斗に、にっこりと笑って無害さをアピールする。
「訊いていなかったとは言ったけど、知らないとは言ってないよ。それに、君は自分が特別な人間だという事を忘れてはいけない。全世界にその名前と顔が知れ渡っているんだからね」
少し意地悪だったかなと反省もしつつ、八雲は横目で話しを続ける。本人も今まで忘れかけていたが、夜斗はあのテロ事件を制圧した内の一人なのである。
「じゃあ、なんで所属する隊の名前まで知ってるんですか? それは公表されていないはずです」
「今年の五月までの八年間、右京と僕は同じ隊だったんだよ。まあ、少し前にあった事件で解隊されちゃって今は別だけどね。零崎隊では、実子とも一緒で四人の隊だったんだ」
八雲の言う事件について引っかかる。実子と右京が顔を合わせた時の空気から察するに、相当な事件だったに違いない。
「事件って、何があったんですか?」
「そうだね……君達が集められる一ヶ月前」
八雲は椅子に座ってからそう切り出し、真剣な眼差しを膝に置いた手に移す。
「五月の初め頃だったね。ある人外が、突然基地内で暴れだしたんだよ。しかしその人外は、僕達の隊長と契約していた人外だったんだ。人外の使役が許されない事は知っているね? 但し例外がある。局に申請をして許可を得たら、人外と契約する事ができるんだ。最近右京もしたらしいね。契約をすると姿は完璧な人間になる事が可能になり、一般人にも視えるようになる。戦いにおいても人外の有益さは認められているから、契約をすれば使役する事を許されるんだ」
「じゃあ、その契約した隊長さんが悪用したって事ですか……?」
「最初はそう疑われたんだけどね。隊長はその人外に真っ先に殺されていたんだ」
「じゃあ何故……」
「自我の喪失による、暴走だよ」
「自我の喪失? 暴走……?」
聞きなれない単語に、思わず復唱してしまう。
「悪さをする人外は二種類。自我を保ちながらも自分の意思で悪さをする人外。もう一つは、自我を失って悪さをする人外だ」
「人外が自我を失うのは何故ですか?」
「それがまだ解明されていないんだ。AMS日本本部基地の中に人外や制御装置、通信機能等を専門に開発や研究をする研究所がある。そこで徹底的に調べられたのに解らず終い」
「AMS?」
「人外対策局の略称、または隠語だよ。Aprition Measures Stationsの頭文字をとって、AMS。それで、判明した事といえば契約している人外でも自我を失い、暴走するリスクがつきまとうという事くらいだね。だから契約していても暴走してしまった場合は、即刻処分しろという義務が最近になって契約内容に追加されたんだ」
その言葉に真っ先に天が頭に思い浮かぶ。もしも、天が自我を喪失してしまったら。よくない考えが夜斗を襲った。
「そして、その暴走した人外の討伐を命じられたのが僕達の隊だったんだ。隊長の不始末を隊内で片付けろという事だね」
――天の契約主は右京さんだ。右京さんはもし天が暴走してしまった時、躊躇わずに殺してしまうだろうか。
「その人外はどうなったんですか」
「殺処分だよ。でも殺したのは右京じゃない。心配しなくて大丈夫。右京は普段ゆるくて適当な感じが多いけど、実はいろいろとしっかり考えている人だから」
「……じゃあ、実子さんですか?」
八雲が浅くため息をつく。それがもう答えだった。
「分かっていてほしいんだけど、上からの命令以外の面でも様々な理由があったんだ。命令に背いて人外を擁護した右京は、契約主である零崎隊長とその人外がどれだけ仲が良かったのかを知っていた。そしてその人外と隊長を心から慕っていたんだ。だからせめても人外をどうにか救えないかと言っていた。……自我が戻るかもしれないと。実子が命令以外に人外を殺した理由は、姉を人外に殺された過去があるから、きっとその時と重なったんだろう。そして実子もまた、自分をどん底時代から救ってくれた零崎隊長を心から慕っていた。だから、隊長を殺したその人外を許せなかったんだ」
険しい表情の中に、諦めが見え隠れしていた。「もう過ぎた事だ」。そう言いたげに、しかし清算しきれていないようだった。
「君は、どっちの行動が正解だったと思う?」
「それは……どちらにも正義はあると思います。その正義が違っただけで、実子さんも右京さんも間違っていなくて……きっとどちらも、正しくもない」
「……ティアもそんな風に言うんだろうな。自分の価値観以外のものを、すんなり受け入れられるのがすごいと思う。そして右京も実子も優しいからね。命を思う気持ちは、きっと二人共変わらないんだ」
笑顔のち曇り。そして、嵐の前の静けさ。
「でも、僕は違う。そんな事なんて考えず、ただ人外を殺そうと思ったんだ。命令が有っても無くてもね。ただ人外が憎い。それだけの感情でしかなかった。だから僕は二人の気持ちを理解しながらも、その時はどちらも間違っていると思っていた」
「どちらも……ですか?」
「あくまで僕は干渉したくなかった。命が関わる場面では、決して中間は無く、全ては白黒で分別していくしかないんだ。それを知っていたからこそ、怖くなったのかもね」
夜斗は首を傾げた。退魔師として、命に干渉しない事はほぼ不可能だ。そしてそれを知っていたからこそ怖いという感情が湧く事がイコールで結びつかないような気がした。分かっているのなら、覚悟ができるはずではないのか。そう考えたらだ。
「きっと君にもいつか解る日がくる。僕達は弱いから、守れるものがとても限られている。だからこそ、一番大切なものは何か。それをしっかり見極めなければならないんだ。いつも退魔師は選択を迫られる。せいぜい後悔しないようにとね。しかし厄介な事に、正論がベストアンサーだとは限らない。ただの正論は時に暴力や暴言にもなり得る。僕達には見極める力が必要なんだ。選択肢を間違えば、全てを失う事だってあり得るんだから」
同じ空間にいるはずの八雲を、夜斗は遥か遠くにいる存在のように感じた。自分には見えないものを視ている。そんな気がしたのだ。これが八年の経験の差だろうか。
「ああ、ごめん。重い話をしてしまったね。でも君も、大切なものを失う気持ちは解るでしょ? 親はもちろん、友達とかさ」
その言葉に耳を疑う。まさか過去の事を知っているのだろうか。冷や汗が頬を伝うのが分かった。
――なんでこの人が親友の事を知っているんだ。
夜斗の思考は完全に目の前の八雲に奪われていた。
「ふーん、ティアを自殺してしまった親友と重ねているんだね。気づけなかった、救えなかった自分への自責の念に苛まれ、今も親友の死を引きずっている。今度こそは……そう思って親友を投影したティアを守ろうとしていたみたいだけど、白髪の男の子に、今回はたまたま助かったけど、次にまた今度があるかなんて分からないんだぞ、と怒られてしまった。 ……うん、その通りだと思うよ。ハッキリ言って、君はまだまだ考えが甘い」
――なんで今日あった事も、俺の過去も知っているんだ?
「亡くなったんだよ、君の親友はもう。それなのに親友の面影を見て、ティアを救えば自分も親友も救われると思ってない? 似ていても違う。ティアは全く違う別の人間だよ」
――そうだ。いつからか俺はティアをティアとして見ていなかったのかもしれない。
「……僕は親を殺した。ティアの七五三の日、母に人外が憑いてしまってね。人外に堕ちてしまった母は、父を殺したんだ。何も知らずに僕が着いた時には、ティアは放心状態で父の体の下敷きになっていた。上半身だけを起こして、自分を殺そうとする母をただ見つめていたよ。動揺していたから逃げられなくなっていたんじゃない。ティアは生きる事を諦めていたんだ。あの時、生きる事を放棄しかけていた。まるで殺してとでも訴えるような目だった」
眉根を寄せる八雲の顔は複雑な表情で、酷く悲しみに満ちていた。まだ迷いのある
「その場には叔父さんがいたんだけれど、実の兄の死に動揺して、しかも義姉を殺す事に覚悟が決められなかったかのように自分が殺される事を選んでいたような顔だった。あのままでは皆死んでいた。だから僕が母を殺したんだ。結果的に親殺しの罪を背負う事になった。自分からも、ティアからも親を奪ったんだよ。……あはは。そんな僕を、ティアは恨んでいるのかな。生かしてしまって、しかも母親を殺してしまって。あの時、どうするのが正解だったんだろうなぁ」
苦々しい表情で、呟くように追懐しているようだった。自嘲気味な笑みを浮かべ、眠るティアを眺めている。
「きっとティアは君の過去も知っている。僕と同じで人から様々な事を読み取れるんだ。産まれた頃から、一秒前までの記憶や想いをね。これを『過去視』というのだけれど、人外に例えて『サトリ』と呼ばれる事もある。しかしサトリとの決定的な違いは、今を読み取る事ができないところ。だから正確には、過去視という。でもまあ、一秒前の事が分かるならそんなに遜色はないと思うけどね。そしてティアはあの性格だからか、能力が僕より高いせいなのかは判らないけど、その人自身になってその人間の過去を追体験してしまう。何百人分もの人生を、何度も何度も追体験するんだ」
夜斗は想像した。他人の様々なトラウマを、終わりなく何度も繰り返し体験する事を。自身が抱える親友の死だけでもこんなにも苦しめられているのに、沢山抱え込んでは心が壊れてしまう。
「だから、僕達みたいに罪を背負って自分を責める人とか、負の感情を持った人が近くにいると辛くなるんだよ。それが理由で、僕はティアとの距離をとってきたんだ」
――八雲さんはすごく優しい人なんだ。だからこそ、その憎しみの対象である人外には容赦がない。何かを許せるのは、優しさではなく勇気だから。
「俺、何も知りませんでした。きっと、知らないところで俺のせいでも苦しんでたのかもしれません……」
「本当にティアは何も言わないんだね。小さい頃から変わってないなぁ。楽しい事、嬉しい事は素直に感情表現するのに、悲しい事、辛かった事なんて一切表に出さない。それはきっと、誰よりも一番に人から与えられる負の感情がどれだけ辛いのかを知っているからなんだよ。……強いよね。他の人のトラウマや罪を背負っているのに気丈に振舞って。助けてって言葉も言わない程に強くて……本当は、助けてって言えない程に弱いんだ。人を頼るっていうのは、きっと人を信頼するという事だから。自分みたいに負担に耐えきれなくなるかもしれない仲間の身を案じて、距離をとっているんだ。信じ切れていないんだね。…………うん、これくらいしか読めないかな」
それきり過去視は終了し、八雲は彼女から目線を外した。そして外の風景に目を移す。そして、数秒後にポツリと疑問を口にした。
「大切なもののために強くなれる人と、大切なものがあるから弱くなる人。一体何が違うんだろう」
その疑問に答える事ができず、また数秒の間が空く。しかしその空白にピリオドを打ったのは、意外な人物だった。
「……大切なものを信じられるか、信じられないか……じゃないかな」
夜斗と八雲の視線はティアの顔に向けられた。
「ティア?! アルの言ってた通りだ。本当に今日目を覚ました……。よかったっ……!」
「あはは。いいなぁ、先見の明があるなんて」
「……先見の明?」
「アルは未来が視えるんだよ。私とは真逆の『未来視』だね」
「お、お前ら、皆に黙って……」
「黙ってなんかないよ〜。ただお互い分かっちゃっただけで、事故みたいなもんだよ、ただの事故!」
意識を取り戻してすぐ笑っているティアに、夜斗は大きくため息をついた。彼女は起き上がろうとするが、身体中に痛みが走り起こしかけていた体はガクンとベッドに落ちる。
「痛っ……」
「ティア、まだ起きちゃ駄目だよ」
「八雲……さん」
「なんでさんなの? お兄ちゃんでいいよ?」
「なんか恥ずかしいっていうか……ブランクかな?」
声を出すのも辛いはずなのに、照れ臭そうにまた笑顔を見せた。
「何年ぶりかな」
「……六年だよ」
「そっか」
一息だけ吐き静かに目を瞑った。そして軽く息を吸い込んだ。
「お兄ちゃんと再会できたし、私、崖から落ちた甲斐があったなぁ……って痛ぁ?!」
夜斗と八雲に左右両方からこめかみにデコピンを食らう。
「ティアはそんなだから危なっかしいんだよ! 二度と落ちるな、死んでも落ちるな。危険な事をするな!」
見事にハモる二人の声と迫力に、目をパチクリさせるティア。
「死んだら落ちても死なないよ……」
夜斗の鋭い視線がティアを射抜く。しかしティアは全く動じず、何か言いかける夜斗の言葉を割った。
「頼むから死……」
「――夜斗、私は生きてるよ」
単純な言葉の中にどこか含みを持っているのが判るが、やはりどういう意味なのかは解らない。ただ次の言葉を待った。
「……悠君は言ってるよ。夜斗のせいじゃないって。だからどうか自分を責めないで。頼れなかった自分が弱かったんだって。……今、夜斗の隣にいるんだよ」
「それって、どういう……」
手を差し伸べるティア。夜斗は何も言わずに手を握る。更に手を上に乗せ、夜斗の手を包み込む。
刹那、視界が温かい光に包み込まれた。反射的に閉じてしまった目を開くと、彼女の言葉通り、隣に親友の姿があった。
「――――夜斗」
「……悠? ど、どうしてお前ここに?!」
「夜斗が俺をずっとずっと呼んでいたからだよ。……それで、俺から伝えたい事がある。俺の事で夜斗が気に病む事はないよ。俺が弱いからあんな事をしてしまったんだ。夜斗といる事ができなくなってから、一緒に過ごした日々を思い出しては自ら命を絶った事をとても後悔しているんだ。俺が死んでから、必死に悩んでいた事を知ろうとしてくれて嬉しかったよ。ありがとう、夜斗」
夜斗の頬に涙が伝う。いつも眉間に刻まれていた深いシワは形を変えて、子供のように素直に感情を露わにしていた。
それは夜斗と悠とが過ごしていた日々の、遠く儚い面影だった。
「死んでしまってからの方がいろいろな事に気づけた。何よりも、夜斗を苦しめるような事をしてしまって謝っても謝りきれないよ……。それでもあの時は親からも辛い日々からもただ逃げたかったんだ。日に日にエスカレートする父親の暴力に追い詰められていく中で、俺はどんどん冷静さを失っていった。その中でも、かけがえのないものと楽しかった日々があった。学校にいる時だけは、いつも安心して夜斗の隣にいられたんだ。夜斗は絶対に人を裏切らない。何があっても、今まで救ってくれてきたもん」
今までとは一変、悠の表情に影が差す。
「……そんな学校が終わった帰り道は憂鬱だったなぁ。あの家に帰るくらいなら、あわよくば死ねないかなっていつも思ってた。俺が死んだあの日の前日には、再婚相手を紹介されたよ。そして聞いてしまった。子供が産まれれば、もう俺の事なんか要らないんだってさ。もう父親にとって俺は、ストレスのハケ口に使う道具くらいの価値しかない。ただのサンドバックだと思い知ったんだ。これ以上はもう生きたくない。あの日、俺はそう思った。夜斗……何度も言うけれど、これは夜斗のせいじゃないんだ。むしろ、夜斗には感謝しかしていないんだから」
「気づけなくて……ごめん。でもなんで……なんでその事を話してくれなかったんだよ! 話してくれれば、何か解決策が浮かんだかもしれないだろ! 家庭からの逃げ場だって、一緒にどうにかできたかもしれないのに……!」
「何度か話そうとしたんだけど、やっぱり言えなかった。貴重で大切な、唯一楽しい時間を無駄にしたくはなかったんだ。夜斗といる時だけは、辛さを忘れられたから」
「そんなん、解決できたらあの時よりずっと楽しい時間を……沢山、過ごせたかもしれないんだぞ」
「……うん、後悔してる」
「悠の馬鹿野郎が……」
とめどなく溢れる涙。握る拳は震えていた。噛み締める歯が軋む。
「うん、俺は馬鹿野郎だ。……そんな馬鹿野郎の分も生きてよ。俺の事はもういいんだ。もう、終わったんだから」
自虐的にも聞こえる切ない響き。
死者が生者を慈しむ響き。
「だからさ、夜斗。君の大切だと思う人達を、君の守れる沢山の命を助けてあげて」
今までハッキリと視えていた悠の姿が、光の粒になってだんだんと薄れていく。もう時間がないのだろうと察した。
「当たり前だろ……! もう何も失いたくねぇんだ」
「だったら俺じゃなくて、もっと大切な事のために夜斗の時間を割いてよ。……いるだろ、夜斗の周りには大切な人達がさ」
悠はティアを見てそう言った。その視線を確認し、夜斗は首を縦に振る。
「……そうだな」
光の粒が少しずつ天に昇って行く。まるで地上から天へ流れる天の川のようだ。
「ちゃんとお別れができてよかった。夜斗は老衰以外ではこっちに来ないでよ?」
「……ああ、分かってる」
「約束、だよ」
安心して流した悠の涙も光の粒子になった。金色の光はやがて見えなくなり、空の青さが目に映る。ティアが手を離すと、意識が病室に戻ってくる。
「――――ああ、約束だ」
しばらくの沈黙。その末に、夜斗はやっと口を開く。
「……ありがとな、ティア」
「どういたしまして」
涙を流しながらも笑う夜斗を見届けて、ティアの体は大きく揺れた。背中側から倒れると、そのままベッドの上で再び意識を失った。
「……ティア?! おい、ティアッ!」




