展示中。
作品はおよそ百点集まった。
テーマが玩具なので、幼児や子供が喜ぶものはもちろん、大人でも楽しめるものもある。
数分置きに絵面が変わるいかさまカードや、口に咥えると声が変わるグッズなど、ネタ系は男子生徒に人気だ。
ペット向けの自動猫じゃらしはすでに愛猫家から予約が入ってるらしい。
幼児向けには温度で形を変えるよう呪符でプログラミングされた木のおもちゃなどもある。
玩具とは言い難いが、スープの中の嫌いな具を選別して取りこぼす穴あきスプーンなんてのもあり、一部の生徒にコンテスト後の作成を依頼されていた。
どれもあったら楽しいなって思えるものばかりで私は時間があれば、毎日作品を見に行ってしまう。
もちろん自分たちの作品アピールもがんばった。年配の卒業生には「魔力が切れたら、ただのでかい箱だな。邪魔になるだろう」と言われた。
「箱の装飾も見応えあるようにしました。普通のオルゴールとしても使えます」
パートナーらしき女性には「曲は増やせないの?」と聞かれた。
「何パターンもと言われたらきびしいけど、あと二曲は入れられます。お好きな曲に変えることもできます」
金管部分を担当したデレクがすかさず答える。
このように見に来てくれた人の質問に答えながら新たに気付かされたことや違う視点から見たアイディアをもらう。
それを聞き、「なんでもっと早く気付かなかったんだろう」とか「これをやってみたくなった」とかみんな思うようだ。
講堂中が活気にあふれている。
その中でも六年生の他グループの自動馬車は連日、一番人気だ。
作品は車輪を六つ付けた箱が二つ連結してあり、前方の箱では火と水の魔法で蒸気を発生させている。その蒸気の圧力で車輪を回し、箱が自走するというもの。
「なるほど、魔法による自力走行じゃなく、蒸気を発生させているのか」
「これなら、少ない魔力で最大のパワーが出せる」
「実際のサイズでも応用できるかもしれない」
「ルートを決めておけば大量輸送が可能になるぞ」
特に教授たちの食いつきがすごい。
男子たちもこういうのが好きみたいで話題になっている。
例のフランセットは一人で出品していた。
作品は二十センチほどのドール。フランセット自身を模したような長い金髪で白いドレスを着ている。
このドレスは紙で出来ていて、魔力を流すと色が変わるらしい。
魔力発現できない人は微弱な変化しか付かないか、何も変わらない。
だが魔法学園に通う生徒レベルであれば、流れた魔力に反応してドレスが様々な色に変わる。
「変色の仕組みは?」
「ドレスは新発売の呪符用紙よ。裏に呪符を書いてあるから、最後に固定と言って鍵マークを付けるの」
「色は思い通りには変えられないの?」
「そうね、でもあなたの魔力色に染まると思って。このドールはあなたの分身になるのよ」
その文言は乙女心に突き刺さるようで、女生徒に人気だ。
あんな性格だけど美人だから笑顔を浮かべただけで人目を引くし、その人がドールを持てば、みんな吸い込まれるように見つめてしまう。
「毎日人だかりができてるなぁ」
私の独り言が聞こえたはずもないのに、ぱちりと目が合った。
フランセットはくちびるで弧を描き、私を馬鹿にしたように笑う。
「そんな挑発に乗らないんだから」
私はフランセットの視線を受け流し、講堂をぐるりと回り終えた。
「そろそろみんなのところに戻ろうかな。ん?」
踵を返したら、作品が展示されていない壇上のはしっこの、さらにカーテンで隠れているスペースにマーカス教授とクリフォードがいるのが見えた。




