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【ハイファンタジー】異世界モニター

まずは、一番作者好みの『異世界転移/転生』モノから。

すごくよくある感じです。



「あれ? なんでここに来ちゃったかな」


 気がつくと、俺は真っ白な部屋に寝転んでいた。

 クラスメイトたちはいない。俺だけだ。


 かわりに知らない少年がいる。

 PCモニターのような画面に向かっていた頭を、こちらに振り向かせている。


 訳がわからないまま、その少年を見ていると、彼は大きく息をついて頭を掻きつつこちらに向き直った。

 足は胡座だ。


「全員、向こうの女神に任せたはずだったんだけど、何か間違えたみたいだ。僕のミスだから、僕が責任とらなきゃかな」


 少年は、照れとも苦笑ともとれる表情が浮かべた。

 その容姿は強いて言えば、モンゴロイドではないアジア系の少年の顔だ。

 大きな瞳に整った顔立ちだが、なぜかごく普通の顔に感じる。小麦色の肌が健康的だ。



「ええと……ここは?」


 俺は独り言のように呟いたが、少年が丁寧に返答をくれた。



「ここは僕の部屋、と言えばいいかな。僕は君たちから見て異世界の神になるから、神の部屋って言ってもいいんだけど、僕ってまだ見習いだからさ」



 ……。


 はい? 



 いや、ええと……。


 まず、思い出してみよう。たしか、そう、昼休みの終わり、5時限が始まる少し前ぐらいだった。


 俺は昼寝から起き出して、そろそろと筆箱や教科書、ノートを取り出して、今まで突っ伏していた机の上に並べていた。

 早めに出しておけば、もう少しギリギリまで寝ていても慌てずにすむからな。

 けれども、それは必要なかったと言える。


 教室の中いっぱいに広がった、薄い紫に光る複雑に描かれた紋様は、召喚陣だったらしい。

 クラスメイトたちと一緒に、俺は教室から消え失せた。



 なるほど……俺はどうやら、女神に導かれるはずが、間違って神の部屋にお邪魔してしまったようだ。



「あはは。さすが地球の日本人だね、理解が早い。ゲームとかラノベとか好き?」



 ……なんか、異界の神様のセリフじゃ言わないはずの言葉が聞こえた。

 いや、好きだけど。



「ふふ。だよね。まぁ、僕の場合は今、この世界をそういうのを参考に創ってるからね。剣と魔法のファンタジーな世界だよ」



 そういうと、彼は非の打ち所のない純朴そうな笑顔をくれた。



 えー、それで俺にどうしろと?



「うん、それでね今、地球の神が魂の受け入れ先を募集してたから、相談させていただいて、百数人ほど、そのまま僕の世界に召喚させてもらうことになったんだけど」



 え。



「この世界で生きて、冒険したりいろんなものを作ったりしてほしいんだ」



 ……は。



「あ、地球での魂登録は、ここに来た時点で削除されてるから、戻れないんだ。ゴメンね。

 召喚は3度目だから、以前にきた日本人の痕跡も、ちょっと残ってるよ。米も醤油も味噌もあるから。ぁ、鰹節もあるけど、これは僕が個人的に持ち込んで作らせたから、クオリティ高いよ!」


 え、ちょっと待って。

 怒涛の説明ゼリフについていけない。


 何、何、


「ちょっ……すみませ、も……少しゆっくり説明して……」


「あ、ゴメン」



 この時になって、やっと俺は、途中から全く声に出さないまま会話していたことに気づき、そして案外パニクっていたことに気づいた。





 彼の説明をまとめると、地球では魂の総量が増えすぎていて、周辺の世界の神に引き取りをお願いしているらしい。

 地球は今、周辺の世界の中で最も成功しているところで、注目と憧れの的だったから、みんな快く引き受けているそうだ。


 中には、地球の文化に感銘を受けている者が、地球っぽい場所を自分の世界の終焉に作るということをしていて、まぁまぁ流行りなのだとか。

 終焉に作れば後に残らず、影響が少ないからだそうだ。


 そのうち終焉でなく、世界の作り始め、人間を住まわせて増やし始める段階で、地球っぽい場所を造る者が出てきて、それが割りと成功したらしい。


 それにあやかって同じことをすることにしたのが、彼というわけだ。


 どうも、人間を増やす段階には、一度神からある程度の文化を無理やり教え込んで、広めるということをするものらしい。

 そのあと、わざと一度絶滅近くまで追いこんで文明を滅ぼすことで、人間たちに独自の文化を考えさせ、それによって人間は自分たちで成長するようになるのだそうだ。


 元々、潰す文明なので、どんなにオーバーテクノロジーになっても関係なく、どんなに羽目を外しても大丈夫なのだそう。


 それでいいのか、と思ったが、地球で時々見つかる超文明的な物はそれの名残らしい。

 なんか地球では15回ぐらい文明を滅ぼしたらしいとか恐ろしい裏話を聞いたが、もう俺は地球の人間じゃなくなるから関係ないな。



 とにかく、見習い少年神は、どうやら俺たちに剣と魔法の世界で、自重なく文化を作り出してほしいようだ。


「自由度の高いVRMMORPGで、βテストうけるつもりでしてくれればいいよ」とのこと。

 それ、ログアウトなしのデスゲームなんだろ? なんでβテストなんだよ。


「ああそうか、どっちかといえばモニター?」


 いや、そういうことじゃない。



「チート能力とかくれるとか? ……あぁ、その前にこの世界ってステータスとかあるやつなの?」


「うん、ステータス式。何度か滅ぼしたあとに消すつもりだけど」


 メニューオープンと唱えるか念じることで、自分のステータスを見ることができ、他人には鑑定系の能力か道具で見られる感じだそうだ。

 わー、ゲームだぁ。


「今も見られる?」


 そう尋ねると、少年は首を振った。


「まだ、能力を記入前だから、見られないね。あぁ、せっかくここに来たんだ。僕の頼みを聞いてくれるなら、特別に自分でキャラメイクしていいよ。」


「えっ、マジ?」


 それって、姿も能力も好きに変えていいってことだよな?

 うっわ、テンション上がる!


「容姿や種族弄ったら強制的に転生することになるけど。能力、スキルは好きに選んでいいよ。ただし、僕の頼みを聞いてくれるなら、だよ?」


 あぁ、そうか……。

 頼みごとの内容によるな……。

 でも聞くだけ聞いてみた方がいい。


「どんな頼みなんだ?」


 少年神は微笑んだ。



「2~3カ月に1度程度で構わない。君が知ったこの世界のことを報告してほしい。所謂、モニターアンケートってとこかな」



 ……。


「へ?」




「難しい?」


「いやいやいやいや」


 俺はブンブンと首を振った。

 逆だ。そんなことでいいの?


「うん。もうひとつ、君や君のクラスメイトたちをモニタリングさせてほしい、っていうのもあるんだけど、それは神としての通常業務みたいなものだし」


「いやいや……その世界に行ってから、何か頼んだ行動をしてほしいとか、そういうのじゃないの?」


「報告、が頼んだ行動なんだけど……うん、君の意思による行動に干渉する気はないよ。まぁ、報告がてらなにか要望があれば、言ってくれれば検討してもいいけど」



 マジか。


「そこまでしてくれるの?」


「それぐらい、僕にとって重要ってこと。モニター越だとイマイチ何が必要なのか分かりにくくってさ」


 あぁ、そうなのか。

 だとしたら……。


 俺は、思い付いた無茶を少年神に言ってみることにした。



「なぁ、俺が転生するの、過去にできたりしないか?」



 もちろん、できないならそれでいい。

 少年神が、きょとんとして首を傾けた。


「16年前に。そしたら、10年以上前から報告できるし、あいつらとも同い年のままだ。別に一緒に行動はしなくてもいいけど、どんな風に動くのかは知りたいしな」


 うん、クラスメイトたちと離れるのは、別に問題ないんだ。

 むしろ、異世界だからこその体験がしたい。

 それでいて、あいつらをサポートできる位置にいられれば最高なんだけどな。そこは自力だな。



 少年神はしばらく考えるように、指を口元に持っていったまま俯いていたが、やがて決心した顔でひとつ、頷いた。


「うん、いいよ。出来ると思う。やってみよう」


 できるのか!

 さすが神! 見習いとは思えない。


 すると、モニターに向かいかけて、途中で気がついたように少年神は別の場所に体を向けた。


 モニターの設置された机の横に、新たな机とモニター、そしてキーボードとマウスが出現する。


「僕は時空操作のプログラムを組むから、その間キャラメイクをしていてくれる? 出来たら教えてね」



 おお……。

 俺は画面を覗きこんだ。

 すごい、いろいろ選べるな……!


 画面に表示されているのは、デフォルトと書かれたマネキンの他、名前、種族、身長体重、所持スキルなどなど。デフォルトは16歳時の姿、とある。



 面白くて、モニターに繋がるマウスとキーボードを、いろいろいじっていたが、ふと質問しようと少年神のほうを見てみると、すごい集中力で、何やら作業に没頭していたのでやめた。


 とりあえず作ってみて、後から質問した方が良さそうだ。



 俺は、なんの疑問も持たず、ゲームのキャラクリをしているノリで、転生後の姿に思いを馳せていた。

 明確にやるとも言っていないのに、流されるまま、まだ見ぬ異世界に転生しようとしているのに気づかないままで。




 *



「これが、俺の過去だ」

「いやいや、頭おかしいゾ?」


 褐色の肌の少女に、冷静にツッコまれた。



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