サナちゃんと楽しい通販作業
いつものように、サナは朝食を作っていた。
今日は簡単なナポリタン。野菜を炒めて、茹でた麺を入れて、ケチャップを入れて、じゅうじゅうと火を入れていく。
「ふふん、今日も美味しくできそう……!!」
と作っているその時。
――ぴんぽーん!!
「はわわ、インターホンっ!?」
サナが慌てていると、奥からもう一人、姿を現した。
「僕が出るよ。サナはそのまま作ってて」
「あ、ありがとう、羅那くん!」
そう、羅那がサナの代わりにインターホンに出て、対処する。
「……え、これって……」
羅那が出たら、そこに現れたのは、いくつかの段ボール箱を運んできた配達員だった。
「あ、物凄く重いですから気を付けてくださいね!」
「はい。ありがとうございます」
配達のお兄さんにそう告げられて、どれどれと運ぼうと思ったら、その段ボールに記載されている品名を見て、止めた。
『書籍』。
「これって……もしかして……」
と察した次の瞬間。
「羅那くん、ありがとー!! わあ、キタキターー!!」
サナがカッターを持って、箱を切り開く。そこにあったのは。
「同人誌……だね?」
「うんっ!! 今まで出した本の総集編というか、再録? だから、分厚くなって、高くなっちゃったんだよね……おおおおお!! 表紙素晴らしくなってる!! 凄いっ!!」
「それって、通販用の……?」
「うんそう! 既にいろいろと準備完了してるから、ご飯食べ終わったら通販作業する予定だよー」
「で、今回は何冊発送するの?」
「え、なんで、羅那くんにそれ言わなきゃダメ?」
「言ってね? どうせ……サナ、一人でやろうとしてたんでしょ?」
そうちょっぴり拗ねた感じで羅那が指摘すると。
「うう……だって、たったの300人分だし……」
「……かなりの数じゃないか」
思わず、頭を抑える羅那にサナは苦笑する。
「でも、1100人分も発送したときよりは、まだマシだよ! ブラック企業で働きながらだったから、死にかけたけどね……」
遠い目するサナの口ぶりを聞いて、羅那ははぁっとため息を零す。
「それでも多いよ、サナ?」
「そうかなー? まあ、とにかく、これ、私の部屋に持ってくね。よいしょっ!!」
「えっ……ちょ……」
段ボールの一つをよっこいしょとサナは運んでいく。
「えっ……それ、重いって、配達のおにーさんが……」
「うん、愛の重みだよね!」
実はサナ、力は強いのかもしれない。いや、元々竜の血を引いているのだから、力が強いのも不思議ではないのだが……。
「ちょっと待って!! 僕も運ぶよっ!!」
慌てて、身体強化を施してから、急いで箱を持って、羅那も向かうのだった。
「再録って……かなり分厚い本だね……」
ぺりっぺりっと、1冊1冊、ビニール袋に入れていく。ついでに送り状とサンキューカードを入れて。
「うん、今まで作った作品を纏めたら、こんなに分厚くなっちゃって、一冊3500円になっちゃって」
サナの隣で、羅那も同じように本をビニール袋に入れていく。
「羅那くんは手伝わなくても良かったんだよ?」
「無理するから、僕も手伝います。ほら、早いでしょ?」
「うう、ぐうの音も出ないよぅ……」
その後は、本を封筒に入れて、宛名シールを張って、発送する……らしい。
「はい、こっち終わったよ」
「はうっ!! 羅那くん、早いよ!!」
「サナの分も手伝おうか?」
「え、えっと……この封筒に羅那くんが作った本を入れていって」
「了解。入れていくね」
羅那がサナから封筒を受け取って、ほいほいと本を入れていく。
「わ、私ももう少しで、封筒入れに入れるから、頑張るよーーっ!!」
お昼は出前をして、その日のうちに発送作業を無事に終わらせることができた。
「す、すごい……今日中に終わっちゃうなんて、びっくりだよ……」
「サナが大体、前準備してくれてたからだよ。無事に発送終ってよかった……そういえば、まだ何冊か残ってたけど……」
「あ、あれは予備。何かあったとき用だね」
「じゃあ、そのうちの二冊を僕が買っても大丈夫かな?」
「ふえええ、羅那くん買うの!?」
「だって、過去の作品がほとんど収録されてるんだよね? ほら、通販でも数冊売り切れてたから、読みたかったんだよね」
「恥ずかしすぎるよ……あううう……」
そう言いながらも、サナは、結局、後で羅那に渡すことになり。
「けど、助かっちゃったよ、羅那くん……その、ありがとう」
「どういたしまして」
羅那はサナから受け取った同人誌を受け取って、とても良い笑顔を向けるのであった。




