見つけたお堂でお参りを
手を清めた後は、小さな社殿の方へと向かっていった。
夜の社殿はかなりの迫力があるのだが……普通の社殿よりも小さく、けれど綺麗だったのでサナは思わず拍子抜けしてしまった。
「あれ、確か……話によると、廃神社……なはずだよね?」
思わず、首を傾げる。
タクシーのおじさんは、ここは廃神社と確かに言っていたはずだ。
なのに、なんで、こんなに綺麗に残ってるんだろう?
「もしかして、今でもお手入れしてくれる人がいるのかな? だとしたら、感謝しないと……」
と、サナは足を止めて、社殿へと向かう階段を上がっていく。
ぞくっとしたのは、たぶん、廃神社だって聞いたから……ということにしておく。
だって、こんなに綺麗なのに、怖いだなんて、失礼な気がするしと、サナは思う。
ごそごそと、ポーチから財布を取り出し、小銭をいくつかお賽銭箱に入れた。
鈴を鳴らして、ぺこぺこと二礼、ぱんぱんと二拍。そして、一礼。
「羅那くんの負担にならないよう……この依頼、一人で出来ますように……」
改めて、もう一度見上げた。
「だって、羅那くんの隣にずっといたいんだもん……私も頑張らないと!」
むんと両手をぎゅっとして、えいえいおーっとする。
「さあ、願掛けも終わったし、さくっと終わらせちゃうよっ!!」
懐中電灯を持って、更に奥へと向かう。
「確か……この先だったっけ? なんか、迷いそうな予感……」
と、掲示板を見つけた。この神社の見取り図が描かれたもの。
「よかった……うん、この先にある洞窟だね。これなら大丈夫そう!!」
道を確認して、サナはゆっくりと先に進んでいく。
それにしても、気のせいだろうか?
「何か、ちょっと足が重い気がするのは……気のせいかな?」
ぶるっと身震いしてから、サナはそのまま気にせず、先へと歩き出したのだった。そう、洞窟の社へと。
時間は少し遡る。
羅那は、階段の異形をさっさと払って、階段の上を上がっていった。
手水舎も見つけたが、そちらは問題ない。むしろ浄化されていたので、そのまま社殿の方へと向かった。
――なんだ、これ……。
羅那から見た社殿は、酷いものだった。
屋根は崩れ、鈴もなんとかついているという感じ。
お賽銭箱も半分壊れていた。
なんというか、全てが廃神社を物語っていた。
そんな中、サナは気にせず、その社殿に向かい、お参りしていくではないか。
――えっ……サナ、何を……。
止めようとした、次の瞬間。聞こえてきてしまった。
「羅那くんの負担にならないよう……この依頼、一人で出来ますように……」
それだけではない。
「だって、羅那くんの隣にずっといたいんだもん……私も頑張らないと!」
「……っ!!!」
思わず、近くの太い木の影に隠れた。
サナに気づかれないように。
本来ならば、合流すべき状況だろう。
だが……。
「こんなの聞いたら……合流できないじゃないか」
僅かに頬を染めながら、少し嬉しそうに口元が緩む。
本来ならば、こんなこと許されないだろう。安全策を取るなら、即座に合流し、一緒に行くのが様々なことに対応できる。
でも、羅那にはそれができなかった。
自分の為に頑張っている彼女を、止められない。
だから、せめて……。
「嫌な予感が止まらないけど……」
見つからない程度の距離を取りながら、そっと羅那は見守ることを選択したのだった。




