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ミッドナイト・リィンカーネーション ~運命に選ばれた彼と恋をして世界が変わりました~  作者: 秋原かざや


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悪夢の資料室と救済の矢

「私達、毎晩、悪夢を見せられているんです。その、鎌を持った……死神みたいなやつに……」

 葵の告白に羅那は納得した。

 琴葉の病室で見た、あの異形がそんな姿をしていたからだ。

「典型的な死神……まあ、よくあるパターンだね」

「退治できそう?」

「問題ないと思うよ。まずは……君達が用意した呪いの品とやらを確認しようか」

 羅那の提案で、一行は、そのまま旧校舎の資料室へと向かう。

 旧校舎の前で、羅那は思わず、立ち止まった。


『氷の貴公子だってさ』

『この学校に入れたのだって、親の裏金のお陰だろ?』

『その……浅樹君は、僕らとは、生きる場所が、違う……から……』

 いろいろな悪意や悪口がフラッシュバックしてきて、思わず、目を見張る。

「くっ……」

「羅那くん、大丈夫? 顔色が悪いけど……」

 サナが心配そうに見上げて来る。

「あ、いや、何でもないよ。大丈夫。行こう」

 少し気にしながらも、サナは羅那の後を付いていく。もちろん、他の三人も。


「あ、あの……あれ、です……」

 葵が指さしたのは、資料室の一番奥の棚の上。そこに置かれた……禍々しい箱。

 赤いビニールテープでぐるぐるに巻かれている、物凄いオーラを放っている。


「うわあ……これは凄いね。浄化しちゃう?」

「ちょっと待って。できれば、琴葉の所にも一人、送っておきたい。同時に進めた方がいいと思う」

「一人を送る? 誰を?」

「……サナ、君に頼める? けど、今から病院だと、時間がかかるか?」

 うーんと考え出す羅那に、サナはぴんと来た。

「ねえ、羅那くん。瞬間移動的な魔法とかある? あるなら、私を転送して。私なら、結界も張れるし、弓で牽制できるし、万が一のことがあってもすぐに癒しをかけられるよ!」

 どうよと自慢げなサナに、羅那は思わず、瞳を細めて。

「出来るけど……お願いしてもいい? たぶん、向こうにいる奴が悪さすると思うから、琴葉を守ってほしい」

「うん、任されたよ。どーんとサナにお任せだよっ!! ささ、ぐぐいっと!!」

「ふふ、何それ。……じゃあ、頼んだよ。気を付けて」

 そう言って、羅那はサナを琴葉のいる病室の前へと転送させたのだった。


「おお、誰もいない。今のうちだね」

 琴葉の病室の前で、ノックして琴葉の部屋に入る。

「琴葉ちゃん、遊びに来た……よ……!!!!」

 目の前に広がる光景。

 それは、鎌を持った異形が、動けなくなっている琴葉に鎌を降ろそうとしているところだった。

「やらせないっ!!」

 咄嗟に弓を取り出し、すぐさま放つ。

『ギャギャギャ!!!』

 聖なる矢が死神を貫き、死神は後ずさる。

「結界っ!!」

 すかさず、琴葉の前に立ちはだかり、結界を張ると。

「琴葉ちゃん、大丈夫!?」

 そして、動けない琴葉に浄化を与えて、体のこわばりや動けなくなったのを解除して見せた。

「さ、サナ……さん……」

「もう大丈夫。後はきっと……羅那くんがやってくれると思うから……」

 そういって、サナは結界の維持を強めたのだった。



 一方、その頃。資料室ではというと。

「あ、あの……やはり、あの箱は……呪いの箱になっちゃったんでしょうか?」

 葵がそう羅那に尋ねると。

「普段なら、こうはならなかったと思うよ。けど……ここは悪意の吹き溜まりみたいなところだから……そこに悪意の意識が集まって、呪いにしてしまったんだと思う」

 箱を睨みつけつつ。

「君達はそこから動かないで……結界」

 三人を守るように結界を張ると、羅那は慎重にその箱へと近付いていく。

 セオリー通りに行くならば、この箱を消滅させて、この場を浄化すれば、問題ないはずだ。

「このまま大人しく封印して……無理か」

 箱に触れようとしたとたんに、ずもももっと箱を守護するように、巨大な影が……鎌を持った死神が羅那を襲うように出てきた。咄嗟に腰に手にやり、魔双剣を引き抜く。


 ――キィン!!


 振り下ろしてきた鎌を弾いて、もう一度、身構えた。

『ジャマモノ……イラナイ……スベテ……ナカッタコトニ……コロス……』

「全く物騒な事ばかり連ねて、それでいいと思ってる? そんなことはさせない」

 ぶんと、魔双剣に魔法陣を纏わせ、そして詠唱する。両手で魔双剣を前に突き出し。

「……聖断浄化・セイクリッド・スラッシュ!!」

 蒼白い光が剣を包み、そのまま切りかかり、そして。

『シギャアアアアアア!!!!』

 断末魔を上げながら、死神は消え去った。そのまま、今度は箱も切り裂いて、消滅させた。ついでに用済みな剣も仕舞い込んで。

「あ、あの……これで、大丈夫……なんですか?」

「今回の事件は、さっきの箱が元凶だったからね。ちゃんと滅したし、もう大丈夫」

 くるりと振り返り、安心させるように羅那は笑みを深めた。

「もう悪夢は見ないはずだよ。変なことを考えない限りは、ね」

 でもと……羅那は少し考えて。

「ついでに、ここの浄化はしておくよ。あまり来ない方がいいと思う。ここは良くも悪くも……あまり良い場所ではないから」

 術式展開して、そして、その部屋の浄化を行う。

 部屋の隅で燻っていた影を消滅させたが……たぶん、また現れる様な気がする。

(悪意の連鎖は……そう簡単には消せない……か)

 流石にこれをサナに伝えるのは、酷というもの。だが、ここでの事件はこれで解決なはずだ。

 それでも――今は、目の前の平穏を守れた。それでいいのだから。



 三人を車で家に送り届け、最後に病院にいるサナの所に戻って来た。

「ごめん、待ったでしょ?」

「ううん。琴葉ちゃんと推し談義してたから、問題ないよ! ねー!!」

「ねー、……なのです」

 すっかり仲良くなった琴葉とサナにちょっとだけ嫉妬しつつも、それは顔に出さずに。

「解決したよ。やっぱり、資料室にあった呪いの箱が元凶だった。ちゃんと消滅させたし、部屋も浄化したから、もう大丈夫なはずだ。それともう一つ」

 そういって、胸元から羅那は一通の手紙を琴葉に差し出してきた。

「佐倉葵から、これを預かった。これをどうするかは、君が選んで」

「葵ちゃんから……」

 これから先、どうなるかは分からない。もしかしたら、何も変わらないかもしれないし、何かが変わるかもしれない。

 けれど。

「きっとそれ、大事なものだと思うから、読んでみるといいんじゃないかな? きっと大丈夫。琴葉ちゃんなら、できるはずだよ」

 そっと琴葉の手を取り。

「琴葉ちゃんの好きなサリエル様も、それを願ってると思うから」

 にこっとサナが後押しすれば。

「わかりました。読んでみます。それと……ありがとうございました」

「退院する時は知らせてね! お祝いに駆け付けるから!!」

「はいっ!!」


 こうして、この事件は平和的に終わった。

 解決に導けたのは、良かったと思う。でも、恐らくきっと……。

「羅那くん、どうかした?」

「ううん、何も。サナもお疲れ様」

「いやいや、私は琴葉ちゃんの側で守ってただけだもん。羅那くんこそ、浄化とか大変だったでしょ? お疲れ様ー!!」

 その腕に抱き付いきて、羅那はびっくりしていたが。

「じゃあ、お祝いついでに……回転寿司でも食べに行く?」

「行く行く!! 羅那くんも回転寿司の魅力にハマりましたな!!」

「サナのお陰だよ」

 美味しい回転寿司で、互いの健闘を讃えつつ、二人は、美味しい寿司を食べて、楽しいひと時を過ごしたのだった。




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