1000文字で異世界サバイバル
なろうラジオ大賞参加作品第十弾。
俺が異世界に来てから一ヶ月くらい経った。
交通事故が原因でこの異世界に来たけれど、俺は、俺の肉体を修復した上で俺をこの異世界に転移させた女神から、俗にいうチートスキルとかをもらってない。
というかこの異世界に存在する言語を理解するスキルすらもらえなかった。
おかげで最初に出会った異世界人と意思疎通できなかった。
しかもすっごく怪しまれ石を投げられ近くの森に逃げる事に。
あまりに理不尽だ。
前の世界のルールからは解放されたが納得いかない。
『まさか異世界転移者に試練を与えて楽しんでる? だとしたらなんて悪趣味な』
いや、だからこそ神と言えるかもしれんが。
それはそれとして、せめて女神が悔しがるほど長生きして、前の世界で得た知識でチーレムして、さらには大勢の人に囲まれて天寿を全うしてやる!
『ゼヌゥル』
なんて思った時だった。
俺が、前の世界で得たサバイバル知識を結集して作ったテントの近くに誰か来たようだ。
いったい誰だと思い見ると、そこには先日話しかけた異世界人を始めとする大勢の異世界人が!? 大勢に囲まれたいとは思っていたけどまさか今その願いが叶うとは……ん? なんだ? みんな手に杖みたいn――。
『べヘァ』
次の瞬間。
その言葉が聞こえ。
なんと俺は火だるまになった!?
『うぎゃあああああ!!!!』
俺は転げ回った。
だけど火は消えない。
まさか……まさか俺、は……知ら……ず知……らずのう、ちに……異世界、人を不快、に…………?
「ブラボ~! なんと彼は制限時間寸前まで生き延びました! 私としては彼にはもう少し生き延びてほしかったですがこれはこれで楽しめました。TVの前のみなさんは楽しめましたか? おっと、今夜の『一ヶ月異世界サバイバル』はそろそろお別れの時間です。名残惜しいですが来週またお会いしましょう」
伊勢川会幹部の俺は、自分が担当してるシノギ――異世界転移者を使うTV番組の進行具合をスタジオで見守ってた。
全ては伊勢川会がひょんな事から欧州の某機関を占拠した事から始まった。
その機関はなんと異世界転移を可能とする発明をしてて、おかげで伊勢川会は異世界へ行ける事に。
ちなみにこの番組には物語に登場する神や天使は出ない。
その代わり、そいつらに見えるよう仮装させた、ウチに借金をしてる連中を出演させ異世界転移させる者を騙してる。
視聴者の愉しみのため。
そして彼らの賭け事で得られる金のため。
これからも連中には頑張ってもらわないとな。
いつか伊勢川会シリーズを作りたいものです。




