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【第4章完結】学校1の天才美少女な先輩に即告白・即失恋!だけど諦めきれません!  作者: 天井 萌花
第2章 先輩のことが知りたい編

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第37話 1問も合ってないんだけど!?

 全速力で走って寮に帰って来たルークはドアノブを掴み、小さな声で術式を唱える。

 ブレアにとっては簡単で他人に開けられないか少し心配なレベルらしいが、ルークには丁寧に術式を読まないと開けられない。

 無属性魔法だからできるはずと言われているが、まだまだ修行が足りないようだ。


「すみません先輩お待たせしました!」


「……別に待ってない。」


 やっと鍵が開いて部屋に入ると、ブレアはベッドの上で寝転んで魔導書を読んでいた。

 大きく重い本を机に置かずに読むのは大変ではないだろうかと思ったが、魔法を使って顔の上に浮かせているようだ。

 体育座りのように曲げられた足が邪魔をしてブレアの顔は見えないが、ショートパンツから伸びた脚が付け根まで見えてドキドキする。


「何で突っ立てるのかな。勉強するんじゃないの?」


「はい、すみません!」


 起き上がったブレアは「何で謝るの……。」と怪訝そうにルークを見る。

 すかさずブレア(の脚)から目を離したルークは学習机の前に座る。

 読みかけの本を枕元に置いたブレアもルークの隣の椅子に座った。

 ブレアが机を使わないと言うので元々置いてあった机はルークの学習机になり、椅子だけを新しく追加した。

 その結果1人用の机に2つの椅子が備えられているという少し可笑しなことになっている。


「今日は何しようか。昨日の復習でもしてみて。」


「わかりました。」


 ルークが目の前にある小さな棚から魔法基礎の教科書を取り出すと、ブレアはそれを取り上げてパラパラとめくる。

 練習問題が載っているページを開くとメモ用紙と共にルークに渡した。


「簡単な問題だから、とりあえずこのページを頑張ろうか。5問しかないからそんなに時間はかからないと思うけど、終わったら声かけて。」


 ルークがペンを持ったのを確認するとブレアはまた寝転がって本を読み始めた。


 今ブレアが読んでいるのは新しくリアムに借りた本なのだが、普段とは少し違う方向性の魔導書なので中々新鮮だ。

 全てが新しい情報とまではいかないが、3割ほどはブレアが知らない魔法が書いてあり、読むのが楽しい。

 ページをめくって新しいことを探すのが宝探しをしているようだ。


(この魔法はどういう原理なのかな。試したい……。)


 今すぐ見つけた魔法を試したい衝動に狩られるが、室内ではできそうにないので断念する。

 見たことがなく、しかもいまいち原理のわからない魔法に出会うのは久しぶりで、ブレアの気持ちはかなり高潮している。

 ルークがいなければすぐに外に出て試していたかもしれない。


(この魔法とこっちは相性が良さそうだけど、組み合わせられるかな。)


 一旦気持ちを切り替えて何度かページをめくるとまた新しく興味をそそるものが出てきて……を繰り返している。

 あれも試したい、これも試したい、と夢中になって読んでいたブレアは、ふと視線を感じてルークの方を見る。


「……何。終わったら声かけてって言ったと思うんだけど。」


「すみません。終わったから言おうと思ったんですけど、先輩がすごく楽しそうな顔してたのでつい眺めてました。」


 ルークが微笑ましそうににこにこと笑っているルークに言われると、起き上がったブレアは両手で頬を抑える。

 ぎゅ、ぎゅ、と手のひらで頬を押したブレアは真顔に戻って口を開いた。


「そんな顔してない。」


「してましたよ!ニッコニコでしたよ。めっちゃ可愛かったです!」


「可愛くない。見ないで。」


 ルークから見れば少しだけ口角を上げ、楽しそうに目を輝かせて本を読む姿も、頬を抑えて表情を直す姿もすごく可愛い。

 緩んだ顔を見られていたことが気に入らないらしく、頬から手を離したブレアはふいと目を逸らした。

 指摘されたのが恥ずかしかったのか、頬が少し赤くなっているのも可愛い。


「出来たなら採点してあげるよ。実は先生の仕事手伝ったことあるから丸書くの上手いよ。」


 得意気に言ったブレアはルークの隣に座って赤いペンを持つ。

 採点の丸を書くのに上手い下手があるのだろうか、と思いながら答案に目を落とすブレアの横顔を見ていると、ブレアがゆっくりとこちらを向いた。


「……昨日までずっと僕の話聞いてなかったの?」


「聞いてました。」


「そっか。うん。君がどうしようもなく馬鹿なことは分かったよ。」


 呆れた目を向けられたルークはそんなに悪かっただろうかと不安になる。

 ブレアは持ったばかりのペンを机に置き、答案をルークの前に突きつけた。


「君の頭どうなってるの。1問も合ってないんだけど!?」


「すみません!!」


 流石に全部間違っているとは思わなかったルークは勢いよく頭を下げた。

 ルークが頭を下げるとブレアは答案を叩きつけるように机に置く。


「魔法基礎の基礎の基礎だよ?『木属性魔法の元素は何ですか』って聞かれて『水』って答える人初めて見たんだけど。」


「植物に水をあげたら元気になるので水かなって……。」


「なら日光でも元気になるけど。正解は大地の“地”、覚えて。」


 ブレアが指定したページには簡単な問題が5問載っていたのだが、ルークは5問とも見事に間違えていた。

 丸を綺麗に書くことができても、丸をつける場所がなければ意味がない。

 何よりこの3日間、ブレアが教えてきたことが全く身についてないとはどういうことだ。


「……僕、そんなに教えるの下手かなあ。」


「そんなことありません!先輩は賢くて物知りで、とても勉強になりました!」


「勉強になってないからこんなに間違えるんでしょ。僕に非があるなら正直に言ってよ。」


 ブレアにとってはとても理解できない回答達を見てブレアは大きく溜息をついた。

 ルークの方に目線を向けて軽く睨むように見てくるので、ルークは仕方なく正直に答える。


「非なんてないです!先輩の話はすごく分かりやすいと思うんですけど、先輩が好きすぎて全く頭に入ってこないんですよ……。」


「はぁ?意味不明なんだけど。」


 思い切ってルークが告白するとブレアはより一層顔を歪めた。


「教えてくれる時の先輩が近くてたまに当たるから、ああ先輩可愛いないい匂いするな、柔らかいなって先輩のことばっかり考えて全っ然集中できませんでした!」


「……わざわざ僕が教えてあげてるのに、そんな気持ち悪いこと考えてたんだ。」


 すんっと真顔になったブレアが相当怒っているように見え、ルークは「すみません。」と静かに謝る。

 ブレアはダンっと大きな音が立つほど強く机を叩いて立ち上がった。


「無理!」


「見放された……!」


 見放されても仕方ないと思うが、ルークは悲しそうに机に顔を伏せた。

寝れない、勉強できないって……ダメすぎる((( ;゜Д゜)))

ほっぺぎゅぎゅするブレアさん可愛くないですか?


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