第99話 おっ...俺がですかっ!?(挿絵有り)
さあ、勝負の結果はどうなったのか!?
パチッ パチッ ジュウジュウ パチパチ パチパチ
「皆さん、肉が焼けましたよ――――――っ!! 取りに来てくださ~い!!」
「一矢君、有難うございます……」
「一矢、サンキュー!!」
「一矢君、有難う!! うわぁぁあ!! すっごく美味しそう!!」
「でしょう? この食材は全て伏江先輩が下ごしらえしてくれてますから絶対に美味しいですよっ!! あまりの美味しさに菜弥美先輩の悩み事が全部消えるかもしれませんよ!!」
「ホッ…ホントにっ!? でも、それは困るわ!!」
「えっ!? なっ…何で困るんですか!?」
「いっ…いやあぁぁ……。悩み事が無くなったら、一矢君に相談できないじゃない!! 私としてはソレは困るわっ!!」
「えっ? 俺とすれば菜弥美先輩の悩み事が全部解消されたら嬉しいですけどねぇ……」
「うっ…嬉しく思われても私は困るのっ!!」
へっ?
何で菜弥美先輩は悩み事が解消されるのをそんなに嫌がるんだろうか……?
う~ん……、よくわからん!!
それよりもアレだ。
きっと決勝戦の結果が皆、気になってるんじゃないのか!?
実は決勝戦の結果は『あっけない』幕切れだったんだ。
というのも、ポジティ部顧問の真物先生が体力の限界が来ていたらしく、美代部長が打った『超本気ジャンピングサーブ』を一歩も動くことが出来なかったどころか、真物先生はそのまま倒れ込んでしまったんだよ。
本人曰く、日頃の運動不足が最後の最後で出てしまったらしい……
という事で試合は『美代部長、ルイルイペア』の勝利で終わり、晴れて美代部長はテンテン部長からの執拗なアプローチから免れる事が決定したってわけさ。
あっ、それとルイルイと真物先生も『正式』に別れる事になったんだが、俺としては二人に寄りを戻してもらった方が都合が良かったんだけどなっ!!
そして『傷心』の真物先生はというと、浜辺で一人、『負のオーラ』を出しながら三角座りをして海を眺めているよ……
「オイ、ショウショウ……」
「あっ、ルイルイ……」
「肉、焼けてるぞ。食べないのか?」
「い…いや……、僕はいらないです……」
「チッ、シケたツラしやがって……。まぁ、そんなに落ち込む事ではないだろぉ?」
「何でですか? 普通は落ち込むところでしょう……」
「そうかもしれんが、これだけ何年も会っていなかったのに『まだ付き合っている』と思っていたお前に私は驚いたぞっ!!」
「そ…それだけ僕は君の事が好きだったという事です……」
「まぁ、その気持ちは普通に嬉しいが、約束は約束だ。約束通り、私達は正式に別れたんだ。だからお前も、これからは気持ちを切り替えて新しい人を見つけるんだなっ!!」
「見つかると良いんですけどねぇ……。僕みたいな『根暗』な人間の事なんか誰も好きになってくれるとは思いませんけど……」
「何を言ってるんだっ!! 一時でも私がお前の事を好きになったではないかっ!! まぁ、当時は『ヒトヤン様を忘れる為』にってのもあったんだが……。でも世の中には私みたいな『マニア』が必ずいるぞっ!! 心配するなっ!!」
「『ヒトヤン様を忘れる為』『マニア』ってのは少し引っかかりますが、有難うございます……。私も教師ですから、いつまでも落ち込んでいる訳にはいかないですからね……。でも今日一日だけは落ち込ませてください……」
「まあ、そうだな。今日ぐらいはお前らしく落ち込んでろっ!! でもな、ショウショウ……。今日お前は生徒達に『イケメン』って事がバレたからな。だからこれからは、もしかすると生徒達から積極的なアプローチがあるかもしれんぞっ!!」
「や…やめてくださいよ……。せ…生徒ですよ? 教師が生徒に手を出す訳にはいかないですよ……」
「フフッ、何を言っている!? 今のうちにツバをつけておけという事だ。そして卒業した暁にはショウショウ、どうしようがお前の自由だっ!!」
「なっ…何て恐ろしい事を言うんですか……?? 相変わらず大胆な事を言いますね……。まぁ、僕はそういう自分に無いところを持っているルイルイに魅力を感じたんですがね……」
「私も当時はショウショウに対して同じ様な気持ちだったかもしれないな。いずれにしても、今日の『本気』を出したショウショウはなかなか良かったぞっ!! もう数カ月前に『本気』を見せられていたら惚れ直していたかもしれなかったなっ!! まぁ…残念だったな、ショウショウ!!」
「ハハハ…、そうですね……。とても残念です……」
「 「 「 ショ…ショウショウ先生…、こっちに来て私達と一緒にお肉食べませんかっ!? ♡♡♡ 」 」 」
「ほら来たぞっ!! フフフフ……」
「き…君達、有難うございます……。わ…分かりました。今そちらへ行きますね……」
パチパチ ジュウ パチ ジュウジュウ
っていうか俺はさっきから肉、焼いてばっかだなっ!?
「おっ、何だフツオ? 肉、焼くの代ろうか?」
「いや、別に良いけどさ……」
「遠慮するなよっ!! 俺はよそ者だから何かしないと落ち着かないんだよ」
「へぇ…。お前でもそんな気持ちになるんだな?」
「なっ…なるに決まってるだろっ!! だから俺が代わるから、お前は皆の所へ行って話でもしてこいよ」
「私も手伝うわ、乃武男君!!」
「おっ、聖香ちゃん有難う。助かるよぉぉ…。それじゃぁ、ここは俺達に任せてお前は皆の所へ行って来いよ……」
「おっ…おぉぉ、二人共サンキューなっ!!」
…ってなわけでモブオと交代したのは良いものの、どのグループに入って肉食べようかな?
…っていうか、勿論『ネガティ部』メンバーの所に行きたいんだけど……
何故か皆さん、結構離れた所にいるんですけどっ!?
何で!?
あ、もしかしてアレか……?
あの人達は間違いなくアウトドアとかは慣れてないはずだから、バーベキューとかの時にどうすれば良いか分からなくて、自然と端の方、端の方へと移動していったんじゃないのか!?
いずれにしても、先輩達の所に行かなくちゃ……
……ん?
あっちでは前妻木先輩と花持部長が、テンテン部長を挟んで食事をしているな!!
テンテン部長、何か凄い勢いで肉を食っているぞっ!?
あっ、そっか。そっかぁ〜……
アレは試合に負けて美代部長に言い寄れなくなったから『やけ食い』をしているんだなっ!!
それを二人がとても嬉しそうな表情をしながらテンテン部長のお世話をしている様に見えてしまうのは俺だけか!?
「前妻木さん!! テッ…天翔君のお世話は私一人で十分だから、アナタは違うグループの所でお世話をしたらどうなのっ!?」
「何をおっしゃっているんですか、花持部長? 私は『ポジティ部副部長』なんですよ。部長のお世話をするのは副部長である私の方だと思うのですが……?」
「チッ!! ホント、アナタは見た目通り『正論』を言う人ねっ!? ちょっと空気を読んでもらえないかしらっ!?」
「空気を読む? 一体何の空気を読むのですか??」
「カーッ!! もういいわよっ!! 天翔君、一杯お肉食べてねっ!?」
「有難う~、モチモチ~っ!! 君はホント優しいね~っ!! あっ! ムキムキ~っ、君もそうだよ~っ!! いつも有難う~っ!!」
あ…あそこには近づかないでおこう……
「布津野君、こっちに来て私達と一緒に食べないか?」
「あっ、海藤さん……。は…はい……」
「卯馬君、布津野君に紙皿を渡してあげてくれないか?」
「ハイ、会長…、かしこまりました……」
うわぁぁあ、形式ばった会話だなっ!?
どうしても俺の頭の中で、二人が『膝枕』をしているシーンが出てきてしまうんだが……
「布津野君、どうしたんだ? 何か難しい顔をしているが……」
「えっ? いえ、何でも無いですよっ!!」
ギロッ!!
うわぁぁあ…!!
卯馬副会長が一瞬、俺を睨んだ様な気がしたぞっ!!
こんな状況で、果たして俺は美味しくお肉を頂けるのかっ!?
「オイ、クールメガネ!! 貴様が常に難しい顔をしているから布津野君もそれにつられて難しい顔をしてしまうんだよっ!! なっ、布津野君?」
「つ…津田部長…。そ…そんな事は無いんですけども……」
「まぁ、布津野君!! 海藤の『難しい顔』は気にしないで楽しく肉を食おうぜっ!!」
「あっ、はい…。そうですね、根津部長……」
まさか、このメンバーとバーベキューを食べる事になるとわなっ!!
でも、俺はこの人達に一つ聞きたい事があるんだった……
「ところで皆さんはどうして俺達の『夏合宿』…いや、『合同夏合宿』に来られたんですか?」
「あぁ、それは花持君から連絡があってね…。『エグゼクティ部』と『生徒会』を兼任している二人が『合宿』に参加出来ないのは可哀想だから、せめて二日目には参加させてほしいとね……」
へぇ――――――っ!!
やっぱ、花持部長は見た目と違って後輩思いの良い人なんだなっ!?
なんか、あの人の事がドンドン好きになってきたじゃないかっ!!
あっ…でも好きって言っても、『恋愛感情』の好きって訳では無いからなっ!!
そこだけは全力で否定させてもらうぜっ!!
「では、会長さん達はどうしてこの『夏合宿』に来られたんですか?」
「あぁ、私達かい? それは私達も学園最後の夏休みだからね。何か思い出を残したかったというのが本音だな。我々三年は『受験生』だから秋になれば『部活の部長』も『会長』も引退する事になっているからね……」
「えっ!? 『引退』ですかっ!?」
「あぁ、『引退』だ。実のところ『運動部』の三年は『夏の大会』が終わると、この夏休みで引退するんだよ。ただ『文化部』は基本、引退時期は自由だが『部長』は秋で引退する事になっているんだ……」
「でもアレだぜっ、布津野君!! この『ダブり野郎』は別格だっ!! 他の部員は今現在、『運動部』の助っ人で大忙しだが、この男は年齢制限でどの大会も出場できなくて『超暇』だから私達に付いて来たんだよつ!! 笑えるだろ!? ワーハッハッハッハ!!」
「つっ…津田ちゃん!! ふ…布津野君に別に『本当の事』を言わなくても良いじゃないか――――――っ!!」
ほっ…本当の事なのかよっ!?
「で…でも俺だって役に立っているんだよっ!! 何てったって今日、俺達がここに来れたのも唯一、運転免許を持っている、この俺が運転してきたからなんだからねっ!!」
「ヘェ――――――っ!! そうなんですかっ!? それは凄いですね!! それじゃぁ、『ダブり』様様じゃないですかっ!?」
「ヒッ、ヒェ――――――ッ!! ふっ…布津野君の返しもなかなかキツイじゃないかっ!!」
「キャッハッハッハッハ!! 布津野君!! やっぱり君は面白い奴だっ!! ホント、うちの部に来てもらいたいというか、次の『クリエイティ部』の『部長』になってもらいたい位だよっ!!」
「いっ…いえ、それはお断りさせて頂きます!!」
「ハッハッハッハ!! 分かっているさ。冗談だ、冗談……」
ふぅ…、この津田部長だけは、どこまでが本気なんだか掴み切れないぜ……
まぁ、俺の事を気に入ってくれているのは間違い無いとは思うけど……
「ところで布津野君……」
「はい、何ですか? 海藤会長……?」
「もし君さえ良ければなんだが、次の『生徒会選挙』に『会長候補』として立候補してみないか?」
へっ…?
えっ……えぇ――――――っ!!??
「こっ…この俺が、かっ…か…『会長』に立候補ですか――――――――――――
!!??
お読みいただきありがとうございました。
ついに次回、記念すべき100話をむかえます!
気合い入れて執筆しますのでどうか皆さん楽しみにしていてくださいね。
また感想やレビュー頂けたら嬉しいです。
そして面白ければブクマ、評価点も宜しくお願い致しますm(__)m




