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第92話 絶対にやらねぇぞ!

 ピピ――――――――――――――――――――――ッッ!!


「よしっ! これで一回戦全て終了だっ!! 負けたゴミクズ共は昼食のバーベキューの準備でもしていろっ!!」


「 「 「 え――――――――――――――――――――――――っ!?」 」 」


「『え―――ッ!?』じゃないっ!! あと、一点も取れなかったダーリンとブオブオは私の為に何か飲み物でも持って来てくれっ!!」


「いっ…一点も取れなくて悪かったなっ!! ほっといてくれっ!!」


 ジロッ……


「わ…悪かったな、モブオ……。俺が足を引っ張ってしまったから……」


「フン……。まぁ、仕方ないよ。お前とペアになった時点で負けは確定していたからな」


 そ…そこまで言わなくても……。それにさっき俺に『足を引っ張るなよ』って言ってたけど、あれは言ってみただけなのかっ!?


「まぁ、とりあえず惨敗した俺達が暑い中ずっと審判をしてくれているルイルイ先生の飲み物を用意するのは当然の事だしな……。ほら、早く飲み物を取りに行こうぜ……」


「あ…あぁ…、そうだな……」


 本当は、残りの試合を見たかったんだけどなぁ……





二回戦第一試合


『美代部長、蘭那部長ペア』対『テルマ、上空芽仙うえからめせんペア』


「き…木西さん……」


「・・・・・・」


「チョッ…チョット木西さん!? 聞こえてるの??」


「…ふぇっ? 私の事……?」


「そ…そうよ。アナタ『木西』って名前じゃないのっ!!」


「そんな名前忘れたわ…。私の名前はテルマだから……」


「アナタの下の名前が『テルマ』って事は知っているわよっ!! アナタ、とても有名人だし……。でも苗字は木西じゃないの。自分の苗字を忘れる人なんていないわよっ!!」


「ゴ…ゴメンなさい…。で…でも私、自分の苗字嫌いだし、忘れたいの……。私のフルネーム変だから……」


「フルネーム? 『きにしてるま』のどこが変なの? 別に『普通』の名前じゃないの。変と言えば、私の『上空芽仙うえからめせん』の方がずっと変よっ!! 『うえからめせん』よ!! 『上から目線』!! 私は見ての通りチビだから、いつも皆の事を下から見ているのに、名前だけは上から見ている様な名前なのよ!!」


「そ……そう言えばそうね……」


「でっ……でしょう!?」


「私がその名前なら、とっくの昔に死んでいるわ……」


「アッ…アナタ失礼な人ねっ!! で…でも私はこの名前をとても気に入ってるわ!!」


「えっ? そうなの……?」


「ええ、そうよ。だってそうでしょう? 大好きなお父さん、お母さんが必死に考えて付けてくれた名前なのよっ!! 好きに決まってるじゃない!!」


「そ…そんなものなのかなぁ……」


「そんなものなのよっ!!」


「で…でも、私は急に自分のフルネームを好きになるなんて無理だから…。上空さん、今日から私の事は下の名前で『テルマ』って呼んでくれるかな?」


「えっ!? 良いの? アナタの事、テ…テ…『テルマ』って呼んじゃっていいのっ!?」


「えっ…えぇ、良いわ…。今日、同じチームになったのも何かの縁だと思うし……。私と『同じ目線』でお話できる人も珍しいし……。それになんか、私の名前よりも残念な名前の人に出会えた喜びもあるし……」


「んっ!? なんか、一部、失礼な事を言っている様な気がするんだけど……。でも、まぁ良いわ。それじゃ、『テルマ』って呼ばせてもらうわね。だから…、テ…テルマも私の事は『芽仙めせん』って呼んでちょうだいね!」


「わ…分かったわ…。め…芽仙……」


「よしっ! これで正式に私達は『お友達』ねっ!?(ニコッ)」


「お…お友達……。私に部活以外の人でお友達が……」


「そうよ!! お友達よっ!! だから『お友達になった記念』で二回戦も勝わよっ!!」



「こら―っ!! そこの『チビコンビ』っ!! いつまで話をしてるんだっ!! 早く試合の準備をしろっ!! (ニヤッ)」



 ピピ――――――――――――――――――――――ッッ!!


「それっ!! 美代っ!!」


「はいっ!! 蘭那さん!!」


 バシッ!!!!


 バコ――――――ンッ!!!!


「ギャァーッッ!!!!」


「めっ…芽仙っ!!」


ピッピピ――――――――――――――――――――――ッッ!!!!


「試合終了だ――――――っ!! 二回戦第一試合は11対0で『ミヨミヨ、モチモチペア』の勝利だっ!!」


「芽仙!! 大丈夫!? 身体中、アザだらけになってるけど……」


「だっ…大丈夫よ……。あ…有難う…テルマ…。でも悔しいわ……グスン……。い…一点くらいは取りたかったわ……グスン……」


「美代部長は昔、バレーボールをやってたらしいから仕方がないわよ……。でもこの二試合、とても楽しかったわ…。め…芽仙…、ありがとね……(ニコッ)」


「テ…テルマ……。アンタ、ほんっとに可愛いわね!!」


「なっ……何よ!? 私の顔をそんなにジロジロ見ないでよっ!!」




「蘭那さん!! 二回戦も勝てましたね。蘭那さんのトスが良くて、とてもアタックが打ちやすかったですよ……。有難うございました……」


「あっ…当たり前じゃないのっ!! 私は何をやっても完璧な女なのよっ!! でも…それにしても美代っ!! なんでアンタがアタックしたボールは全て芽仙の方ばかりに行くのよっ!? 全てのボールが芽仙の身体に当たってたじゃない!! それってもしかしてワザとなの!?」


「いえ…ワザとだなんて…。私みたいな『ブス』で『のろま』で『不器用』な人間がそんな器用な事なんて出来ませんよ……。私にもよく分からないんです……」


「まぁ、別に良いわ。芽仙も怪我はしていないみたいだし……。おそらくアナタの心の中に同じ部活仲間を傷つけたらいけないっていう思いがあって、それがアナタの脳に働いて身体が勝手に動いているのかもしれないわね!? しかし、一回戦から22点連続で相手の身体にボールが当たるだなんて……。お…恐ろし過ぎるわ……。ホント今になって同じチームで良かったと思うわ……」


「蘭那さん、凄いですね!? 将来、『心理学』の道に進まれたらいかがですか??」


「すっ…凄くなんて無いわよっ!! こんなの誰だって分かる事だわっ!!」




「オイ、フツオ」


「なんだよ、モブオ?」


「いや、あの美代部長のアタックは凄すぎる。きっと誰もあのボールをレシーブなんてできねェぞ!!」


「そうだよな。もしレシーブが出来る人がいるとしたら…。う―ん…、前妻木先輩か『恐竜の人』くらいだろうな……」


「こらっ!! ダーリンにブオブオ! 早く私に飲物をよこせっ!!」


「うっ…うっせーなルイルイ!! ほらよっ!!」


「フフフ…サンキュー。おっ!ダーリン、どうだ? この缶ジュースを二人で一緒に飲まないか?」


「のっ…飲まねぇよっ!!」


「なんだ。残念だな…。せっかくダーリンと『間接キス』ができると思ったのにな……」


「かっ…か…関節キスだと――――――っ!?」


「おっ、なんだ。関節キスじゃあ不満なのか? 本物のキスの方がいいか? まぁそうだろうな…。今は血気盛んな男子だからな。まぁそう慌てるなダーリン、慌てなくても今夜にはダーリンの唇をいただいてやるから。アーッハッハッハッハ!!」


「いいなぁ……」


 モッ…モブオ、羨ましがるんじゃねぇよっ!!


「ぜ…絶対に俺の唇はルイルイに奪わせねぇ!!!!」


 でも、本当にそれで良いのか……??勿体なく無いか……?

……って、俺は一体何を考えているんだ――――――ッッ!!!!


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