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第89話 ロミオとジュリエットかよっ!

『寿志光家』はまさかの超大企業だった!!

そして舞奈の母親が『寿志光グループ総帥』

果たして今後の展開はいかに!?

 またしても驚いたぜっ!!


 まさか舞奈の母親が超一流企業グループの『総帥』だったなんて……


 それが分かった途端に、特に『エグゼクティ部』の人達が舞奈に対する態度が変わったからな。

 舞奈の席だけ料理や飲み物がやたら増えていたし......


 花持部長が言うには『エグゼクティ部』の人達の親の会社のほとんどが『寿志光グループ』の『傘下』らしい。


 同じ『傘下』でも俺の『傘下』とは偉い違いだなっ!!


 ほっ…ほっといてくれっ!!


 いずれにしても全員が自己紹介をするはずだったのに、舞奈の家の事が分かった途端に、そっちの話が中心になってしまい、自己紹介どころでは無くなってしまったよな。


 まぁ、他の先輩達にとってはラッキーだったかもしれないけどな。


 でも皆、舞奈に聞いている事は『会社』についての事ばかりで、俺が本当に知りたい事は誰一人として聞いちゃいなかったな。


 まぁ、俺も聞き損ねたし、皆は舞奈達の事をほとんど知らないしなぁ……


 そうなんだ。俺が気になるのは、舞奈の母親が『総帥』って事なんだ。

 たしか舞奈の母親と美代部長の母親は姉妹で美代部長の母親の方がお姉さんだったはずだ。


 でも美代部長の苗字は『越智子おちこ』だから恐らく美代部長のお母さんは越智子という男性と結婚したんだろうなぁ…。で、家を出て行った。


 そして残された妹、舞奈のお母さんはその後、結婚したが俺の親父と一緒で『婿養子』をもらったんだろうな…。じゃないと、つじつまが合わないもんな。


 そしてここからが問題だ。


 たしか前に美代部長が『名染伊太学園』にいる事を知らなかった舞奈が『叔母様の性格なら言わないでしょうね』って言ってたと思う。


 それはどういう意味なのか…?


 俺の勝手な想像だが、美代部長のお母さんは、妹である舞奈のお母さんに対して色んな引け目があるんじゃないだろうか?


 それと、大金持ちの長女として生まれたプライドも少しはあるんじゃないだろうか......


 だから、自分の娘がこんな『訳の分からない学園』に入学したなんて、恥ずかしくて言えなかったんじゃないのか!? あっ! 学園長、今『訳の分からない学園』って言ってしまってスミマセン!!


「一矢君…。それは少し違いますよ......」


「えっ!? みっ…美代部長!! い…いつからいらしたんですかっ!? っていうか、俺の心の声が聞けるんですかっ!? 美代部長はエスパーか何かですかっ!?」


「クスッ…。いえいえ…、私はエスパーなんかじゃありませんよ。それに先程からずっと一矢君の後ろにいました…。一矢君が窓越しに独り言を言われていて少し気になったものですから……」


「えっ? 俺、口に出していましたか!?」


「は…はい…、はっきりと……」


 あちゃー…!!


 なんてこった…。俺は知らず知らずに声に出してたのかよっ!!

 それも、よりによって一番聞かれたら困る美代部長に……


「ぜ…全部、聞いてました??」


「あ…ハイ…、そうですね……」


「なんか凄く恥ずかしいです…。で…でも美代部長はさっき俺の呟いた事が少し違うっておっしゃってましたよね?」


「そうですね…。私の母は叔母さまに対して引け目などは持っていないと思いますよ。ただ、叔母様や舞奈ちゃんは、そう思っているかもしれませんが……」


「えっ、そうなんですか?」


「はい…。前に母から聞いた事があるんです。母は小さい頃から大人しくて引っ込み思案な性格だったそうです」


 まさに美代部長はお母さんの性格を受け継いだのかっ!!


「逆に妹である叔母様は活発で何事にも物怖じしない性格で誰からも好かれるタイプでした。だから母は…。あっ、うちの母は三姉妹の長女なんですが、小さい時から自分自身も周りの人達も『寿志光家』を継ぐのは叔母様が良いと思っていた様です......」


「そっ…そうなんですか!?」


「はい…。でも父親…、私からすればおじい様ですが、そのおじい様だけは母を跡継ぎにしたいと思っていたらしく、誰も異議を唱える事はできなかったそうです。しかし、母が大学生の頃に運命の出会いがありました」


「運命の出会いっ!?」


「そうです。同じ大学になんと『寿志光家』とは昔からライバル関係である『我芽津家がめつけ』の御子息と恋仲になったそうです。そしてその御子息こそ、私の父です。父は母の全てを愛してくれた優しい人…。母はこの人に一生着いて行きたい、この人と結婚すれば『寿志光家』の跡継ぎにならなくて済むと思ったそうです......」


「え―――っ!! マジっすかっ? それって何か『ロミオとジュリエット』みたいな展開ですよねっ!?」


「はい…。まさに『ロミオとジュリエット』状態になりました。おじい様は交際を大反対したそうですし、勿論、相手側の我芽津家も猛反対をしたみたいです」


「で…ですよねぇ…。そりゃぁ反対されますよねぇ......」


「なので両親は大学を卒業すると同時に駆け落ちをしました……」


「マッ…マジっすかっ!?」


「はい…。ただ駆け落ちといっても両親達には協力者がたくさんいたそうですよ。特に寿志光側の協力者は多かったと聞いています。そりゃぁそうですよね。周りの方は母よりも叔母様に寿志光家を継いで欲しかったのですから…。ただ、たくさんおられた協力者の中でも大学の後輩の一人が凄くやり手だったらしく、住む場所から両家との対応など大人顔負けの動きをしてくれたそうです。最終的には両家のおじい様に説教までされて、渋々納得させたそうです……」


 そ…その後輩すげぇなっ!? 弟子入りしたいわっ!!


「でもあれですね。納得した割には何で美代部長の苗字は『我芽津』ではなく『越智子』なんですか?」


「そ…それは納得はしてくれましたが一応、両家から『勘当』という形になりましたので、父は母方の姓を名乗る事になったんです」


「そうだったんですかぁ…。何か俺、凄い話を聞いた様な……」


「その後、両親達は正式に結婚しまして、二人で小さな会社を起こしました。最初は順調だったんですが、私が小学生の頃に父が病気で亡くなってからは母が一人で切り盛りをしていたのですが、数年前に会社は倒産してしまい、今は母がその時にできた借金返済と私と妹の学費を稼ぐ為に必死で働いてくれています……」


 お…お父さん、亡くなっていたのか......

 だ…だから美代部長は新しい水着を買うお金も無いんだなっ。

 オシャレをしたくてもできないのか……


「お父さんが亡くなられてから、両家の人達は何も助けてくれなかったんですか!?」


「いえ、助けてくれようとしましたよ。特に叔母様は…。その頃は叔母様や舞奈ちゃんともこそっとですが、よく会っていましたし…。でも母が断ったんです。一度、勘当された身だから両家の助けはいらないと…。母は少し頑固なところもありますが、結婚前にあれだけ両家に御迷惑をかけたのだから、今更、助けて貰うのは筋違いだと…。『辛い思いをさせるけどゴメンね…』と、私には言っていました。でも私はそういうところの母の性格、嫌いじゃないんです……。それに貧乏生活にはなりましたが母と妹と三人で楽しく暮らせていますので、私は不満など何一つありません……」


 なっ…何て純情で真っすぐな人なんだっ!!

 ますます美代部長の事を守りたくなってきたぞっ!!


「ですので、そういった経緯がありますので叔母様は母が引け目を感じている、もしかしたら『寿志光家』を出て行った事を後悔していると思われているかもしれません……。それと私が『名染伊太学園』に入学したのは母が薦めてくれたんですよ。先程お話しました両親の大学時代の後輩の方が学園の卒業生だったらしくて、そんな凄い方を輩出した学園なら私みたいなネガティブな人間でも少しは良い方向に導いてくれるのではないかと思ったらしいです」


「なっ…なるほど!! じゃぁ別に『訳の分からん学園』に入学させて引け目を感じているから舞奈達に言わなかったって事ではないんですね?」


「も…勿論です。母は『名染伊太学園』の事をとても信頼しています……」


 はぁ…、良かったぁぁ......


 ん? 何が良かったんだ?


 美代部長のお母さんが学園に対して引け目を感じていないところを良かったと思ったのか?

 うーん…まっいっか。あと、んじゃ何故、舞奈はこの学園に入学したんだろう?

 ただの偶然なのか?



「越智子美代!!」


「えっ!?」


「花持メイド長!? なっ…何でここに!? いつからそこにいたんですかっ!?」


「グスン…。私はメイド長じゃないからっ!! グスン…。そ…そ…そんな事より…越智子美代……グスン……」


「な…何でしょうか……?」



「ウッ…ウワァ――――――――――――ンッ!! ウワァ――――――――――ンッ!!」


「なっ…何で花持部長が号泣するんだ――――――――――っ!!??」


お読み頂きありがとうございます。

『寿志光』『越智子』そして『我芽津』色々な謎が解けてきましたね。

少しだけ伏線も盛り込んでますけどね。

まだまだ謎が多い『ネガティ部!』ですが皆さんも色々と謎を考えてみてくださいませ。

私、かなり先の方までストーリー考えていますので(笑)

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