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第88話 お前の方がセレブじゃねぇかっ!

 はぁ…。なんてこった......

 まさか楽しいはずの『夏合宿』が『合同夏合宿』になるなんて......


 美代部長は大丈夫って言ってたけど、他の人達は大丈夫なんだろうか?

 『エグゼクティ部』の人達は一応、使用人みたいな形だから少しはマシだけど、『ポジティ部』の人達はなぁ……


 それに、あのテンテン部長がいるからなっ!!


 絶対にあの人のペースに持って行かれるぞ。

 これだけは絶対に阻止しなければ、せっかくの『夏合宿』が失敗に終わってしまう……


「一矢…。一矢…。一矢っ!!」


「えっ? あっ、舞奈か…。どうしたんだ?」


「『どうした?』じゃないわよ。それは私のセリフよっ! さっきからとても難しい顔をして、一体どうしたの? 具合でも悪いの? 変な物でも食べたんじゃないの??」


 おっ、お前と一緒にするなっ!!


「いや、何でもねぇよ。少し考え事をしていただけさ……」


「そうなの? それなら良いんだけど…。それよりも一矢、これ見なさいよ。お昼の料理も凄かったけど、夕食は更に凄い料理がいっぱい並んでいるわっ!!」


「そっ、そうだな。凄いご馳走だな」


「一矢が体調悪いのならアナタの分も食べてあげないといけないかな〜って思ったけど、そうではないみたいだから残念…いや、安心したわ」


 舞奈…今、残念って言ったよなっ!?


「しかし、この料理も伏江先輩が中心になって作ったんだよな? やっぱあの人、凄い人なんだな……」


「一矢君、伏江先輩って誰の事?」


「あぁ、聖香。伏江先輩ってのは『エグゼクティ部』二年で後ろ髪をくくったハーフ顔の人のことさ」


「あぁ、そういえばそんな人もいたわね。『エグゼクティ部』の人達も色んな人がいるのね…」


「そうだな。あの人は顔はハーフみたいだけど話すと関西弁なんだ。まぁ、そこがギャップがあって面白いところだけども…」



「さぁ、そこの赤髪のお嬢さんと桃髪のお嬢さん。飲み物は何にするかな?」


「えっ? あぁ…有難うございます。私はウーロン茶でお願いします」

「わっ、私はオレンジジュースで......」


「あっ、サングラスの人......」


「フフフ…、布津野君…。そろそろ俺の名前も覚えて欲しいなぁ…」


「ス…スミマセン…。えぇ…えっと~…。ざ…ざん?…『ゼンザイ』先輩!!」


「ハッハッハッハ!! 布津野君、君は『普通』に面白いね。今、『ざん』まで言いかけてからの『ゼンザイ』だからね。ほんと、『普通』に面白かったよ。いやぁマジ『普通』に......」


 アンタもお返しに『普通』を強調してるよなっ!?


「スミマセン…。斬麻伊ざんまい先輩でしたよね? 今のは別にワザと間違った訳じゃないですので。それと俺は『突っ込み専門』なんで『ボケ』は苦手だし…」


「ハッハッハッハ!! 知ってるよ。布津野君が『突っ込み専門』って事は既に調査済みさ。それよりも君は飲み物何にするんだい? 『普通』の緑茶で良いのかな?」


 アンタ、やっぱり『ゼンザイ』って言われた事を根に持ってるだろっ!?




「さぁ、皆さん注目~っ!! 今夜の夕食を作ってくれたシェフからご挨拶があるからね〜!!」


「やぁ皆さん、お疲れ様で~す。『ポジティ部』の皆さんは初めましてですねぇ? ほんま長旅お疲れさんでした~。『ネガティ部』の皆さんはビーチで思いっきり遊べましたか~?今夜の料理は昼食の時よりも更に気合い入れて作ったんで、めっちゃ自信ありまっせ~。また後で感想教えてくださいね~。それではごゆっくりしていって下さ~い」


 パチパチパチパチ……


「一矢君…。ホントにあの人、関西弁なのね? あのハーフ顔と喋り方が全然似合わないわ…」


「そうだろ、聖香? ホント似合わないよな。…今日は俺、『エグゼクティ部』の人達数人と話をしたけど、プライドが高くて金持ちなだけで別に悪い人達ではないみたいだわ......」


「そうみたいね。私も少し安心したわ。前妻木先輩から『ネガティ部』との『合同夏合宿』とか聞かされていたけど、まさかこないだまで敵だった『エグゼクティ部』の人達までいるとは思わなかったから......」


「そうだよな。ビックリするよな。それはそうと、オイ舞奈! お前は大丈夫なのか? 急に『合同夏合宿』になっちまったけど......」


「えっ、私? う~ん、そうねぇ…。まぁ、正直言えば『ネガティ部』だけでの合宿が良かったけど、聖香が来てくれたのは嬉しいから、あとの事は我慢するわっ!」


「まっ、舞奈有難う!! そう言ってもらえて私も嬉しいわ! せっかくだから楽しい思い出をいっぱい作りましょうね!!」


「そうね。楽しい思い出になるようにしよう! でも聖香、アナタは『ポジティ部』の人達と仲良くマイクロバスで来たんだから『ポジティ部』の人達とも少しは親しくなったんでしょ? って事は、もしかしたら何かあった時、私よりも『ポジティ部』の人達を選ぶ可能性もあるってことよね? それを考えると胃が少し痛くなってきたわ…」


「まっ、舞奈! 私、絶対そんな事しないから!! しっ、心配しないで!!」


 舞奈の奴、やっぱり『マイナス思考』なところは全然治ってねぇんだなっ!?



「それではウジ虫共、今日はお疲れ~っ!! 乾杯だ~っ!!」


「 「 「 「 乾杯~っ!!!!」 」 」 」




「フシフシ君!! この料理、どれもメチャクチャ美味しいじゃないか~っ!! あまりに美味しくて僕はさっきからテンション上がりまくりだよ~っ!!」


 アンタは常にテンション上がりまくりだろっ!!

 それに『フシフシ』って……


「て…天翔部長、有難うございます…」


「フシフシ君!! そんな他人行儀なっ!! 君と僕の間でそんな他人行儀な呼び方は似合わないよ~っ!! 僕の事は『テンテン』って呼んでくれていいからねっ!!」


「伏江先輩? テンテン部長とは親しいんですか?」


「いっ、いや…。今初めてしゃべったで......」


 なっ、何なんだ、あの人はっ!?




「ところで皆さん。せっかく三つの部が集まったのですから、ここらへんで自己紹介でもやらないかしら?」


「お~っ!! さすがモチモチ~っ!! それは良い提案だね~っ!! それじゃぁ、今回の合同合宿の主役である『ネガティ部』の人達から自己紹介をやってもらおうか~っ!!」


 えぇ―――――――――っ!!??

 俺達からだと~っ!?


 それは勘弁してくれよ~っ!!

 ほらっ見てみろよっ! 

 先輩達の顔が青ざめているじゃないかっ!!

 

 こんな大勢の前で普通の人でも緊張するのに、ネガティブな人達からすれば拷問みたいなもんじゃねぇかっ!!


 なんだか皆さんの心の声が聞こえてきそうだぜっ!!


 どうしましょう…私は一体何を言えばいいのでしょうか......

 こんな『ブス』で『のろま』で何も取り柄の無い私が……


 どうしよう…。う~ん、悩む~......

 どんな自己紹介をすれば良いのかしら? 私の悩み事がどんどん増えていく……


 ジロジロ見るな…。ジロジロ見るな…。絶対ジロジロ見るな……

 そして私のフルネームを聞いた途端に忘れろ…。全て忘れろ…。直ぐに忘れろ……


 うぅ…。恥ずかしい…。恥ずかしい…。恥ずかしい......

 何故今日に限って僕の席のむかえ側がルイルイさんなんだ!?

 か…顔が正面に向いてしまって視界にみんなの顔が入るじゃないか……


 よしっ!

 聞こえなかった事にしよう!!


「それじゃあ、私から自己紹介をさせてもらいますね!!」


「えっ? まっ、舞奈!? お前、大丈夫なのかっ!?」


「だ…大丈夫じゃ無いけど、他の先輩達よりは私の方がいけるかなっと思って…。それにこういうのは一年生からやった方が良いじゃない」


「そ…それじゃあ、俺から自己紹介しても……」


「それじゃダメなのっ!! いつも同じ一年の一矢に頼りっぱなしなんだから、こんな時くらい私も頑張らないと......」


 ま…舞奈…、お前…。俺、ひ…久しぶりに感動して涙が出てきそうだぜっ!!



「それでは私から自己紹介をさせていただきます。私はネガティ部部員で一年生の『寿志光すしこう舞奈まいな』と言います。すっ…好きな事は料理を作る事と食べる事です。皆さん、本日はどうぞ宜しくお願い致します…」


 舞奈、よくやった! よく頑張ったな!!


 ただ、料理を作る事と食べる事が好きだって言ってたけど俺はその比率がめっちゃ気になるけどなっ!!


「す…すしこう......」


 ん? 花持部長の様子がおかしいぞ…


「寿志光…舞奈…」


 アレ??


 なんか他の『エグゼクティ部』の人達の様子もなんだかおかしいぞ!?


「ア…アナタ......。アナタの苗字、す…『寿志光』っていうの…?」


「えっ? あっハイ…そうですが…。どうかしましたか?」


「も…もしかして…アナタは日本で五本の指に入る超大企業『寿志光グループ』の関係者か何かなのっ!?」


「あっ、ハイ…。私のママが『総帥』っていうのをやってるみたいですよ」



 えっ!?



「 「 「 「 「 え―――――――――っ!!!!」 」 」 」 」


お読み頂きありがとうございます。

ついに舞奈の謎が明かされる!?

でもちょっと待ってくださいよ。美代部長と舞奈は従姉妹同士で母親が姉妹でしたよね。

ってことは...まだまだややこしい展開が待ち構えているのかっ!?

次回もお楽しみに!!

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