第77話 俺に押し付けるなっ!(挿絵有り)
さぁ、いよいよ『夏合宿編』開始です!!
あっ!でもその前に『終業式』の場面から......
名染伊太学園 一学期終業式当日
「…であるからして、明日からは皆さんが待ちに待った夏休みです。皆さん、なるべく規則正しい生活をしてくださいね。くれぐれも二学期に会った際、色々な意味で、『君、誰?』みたいな事にならない様、十分に気を付けてください……。それと、三年生にとっては大事な時期でもあります。ここで受験勉強を怠ると、後で悔やんでも悔やみきれない事になりますので、計画を立てて、頑張ってください。それではまた二学期に皆さんの元気な顔を見れる事を楽しみにしています」
『色んな意味』って何?
名染伊学園長も名前の通り、『謎めいた』事を言う人だな。
まぁ、あの親父の親友で、『初代ネガティ部 部長』だから『普通の人』では無いとは思うけど……
それに三年生にとっては大事な時期の夏休みかぁ......
まぁ、そうだよな。うちの学園の大半は進学するらしいからな。
美代部長も進学するって言っていたし......
そういえば、美代部長はもう、どこの大学に行くのか決めたのかな…?
いや待てよ!
前に来年開校する『名染伊太大学』か『名染伊太短期大学』か『名染伊太専門学校』のいずれかで悩んでいるって言ってたよな!?
いずれにしても…、この学園…結構、儲かっているんだろうな?
じゃないと、三つの学校の建設を同時にするなんて、普通考えないよな!!
あっ、そっか!!
そう言えば金持ち集団『エグゼクティ部』の保護者がかなりの寄付をしていると言っていたな……
でも不思議だな…。何故、この学園は『高校』からなんだろう…?
普通、私立の学校って小中高一貫の所が多いのにな......
何故なんだろう?
これもまた謎めいているよなぁ……
しかし、そんな事よりも、あの『ドッチボール対決』以降、俺の身の回りは大変だったんだ!!
ホント、勘弁してほしいぜっ!!
さっき言った金持ち集団『花持蘭那部長』率いる『エグゼクティ部』の人達は俺の『傘下』になるって言って聞かないし......
全員、俺より年上だぜっ!!
メッチャ気を遣うわっ!!
それに『四大茶部』の部長さん達に胴上げされていた俺の事をクラスの奴等以外は『名染伊太学園の異端児』って呼んでるみたいだしな。
一体、何がどうなって俺は『異端児』って呼ばれる事になったんだ!?
俺は、そこらへんにいる『普通』の高校生なんだぞっ!!
…あっ!『普通』では無いけどなっ!!
…でも、これもアレなのか?
俺があまりにも『普通』って呼ばれる事を嫌がっていたから神様が俺の願いをついに叶えてくれたのか!?
イヤイヤイヤ~っ!
俺は『異端児』って呼ばれたいなんて一度も思った事無いしっ!!
ん?
あれは二年生トリオだ。どうしたんだろ…?
なんか子龍先輩が変な首の角度で落ち込んでいるのを、二人が慰めている様に見えるぞ…
「皆さん、どうされたんですか? 何かあったんですか??」
「あっ、一矢君! 良いところに来てくれたわ。実は子龍が凄く凹んでいるのよ! 子龍と一番仲が良い、一矢君からも慰めてあげてくれるかな!? 私、子龍の事なんかで悩み事増やしたくないし......」
イヤッ…菜弥美先輩……。向こうがそう思っているだけで、俺は子龍先輩と一番仲良しなんて、全然思ってないしっ!!
「そうなの…。私達が慰めているのだけれど、全然元気になってくれないの…。だから私はそろそろ子龍を見捨てようと思っていたところよ…。そして今、一矢君に押し付ける気分にもなったわ…」(ニコッ…)
イヤ、テルマ先輩…。それはあまりにも冷た過ぎるでしょ!!
それに俺に押し付けるって…。ア…アンタ…、ホント『小悪魔天使』だなっ!?
し…しまいにはギュッと抱きしめちゃうぞっ!!
「し…子龍先輩、どうされたんですか? 首でも痛いんですか??」
「おっ…親分……」
「だっ…誰が親分だっ!!」
「だ…だって…。ぼ…僕も一矢君の『傘下』の一人だから……」
「だっ…だから俺は『傘下』なんて要らないんですよ!! 花持先輩が勝手に決めた事なんですからっ!! 子龍先輩もそんな『傘下』みたいなのに『参加』しないでいただけませんかっ!?」
「流石はボスだ…。僕が落ち込んでいるのをダジャレで元気付けようとしてくれたんだね…? ボス…ありがとう……」
「はぁ~っ!? だ…誰もダジャレなんて言ってねェよっ!! それに今、『ボス』って言ったよな!? さっきは『親分』って言ってたのに!! 全ッ然呼び方が定まってねぇな!?」
だっ、駄目だ!!
この人と絡むと疲れが倍増するぜっ!!
「やっぱり、一矢君に『タメグチ』で突っ込まれると、とても気持ち良いなぁ…。なんか少しだけ元気になってきたよ……」
「さすが、一矢君ね!! やっぱり子龍の相手は一矢君じゃないと駄目みたいね」
菜弥美先輩、何を言っているんですかっ!?
そんな事を言ったら子龍先輩が勘違いするじゃないですか!!
「…で! 何なんです!? 子龍先輩は一体、何を落ち込んでいるんですか!?」
「フゥ…。じ…実は…、こないだの『ドッチボール対決』の時に僕は数年ぶりに女子から声援をもらったんだよ」
「はい。知っていますよ。俺もその声援は聞こえていたんで……」
「僕はその声援に気を取られて、すぐさまボールが顔面に当たってしまった訳だけど、声援をしてくれた女子達の顔はしっかり見てたんだよ……」
何だよ!?
あの時、よそ見をしたからボールが顔面に当たったのかよ!?
部の存続がかかった対決なのに…。バカじゃないのか、この人は!?
「それで今日…。その声援をしてくれた女子達を見かけたんだよ。僕はここ数年、『ネガティ部』の女子以外とまともに話などしたこと無かったけど、このままでは駄目だ。そろそろ自分を変えなければと思って、思い切って彼女達に話しかけたんだ……」
「へぇ…。そうなんですか? 子龍先輩にしては凄く頑張ったじゃないですか」
この人も色々と抱えているんだなぁ......
まぁ、一生『超人見知り』って訳にもいかないしな!!
それに一生『沈黙の四十五度』ってのもメチャクチャ恥ずかしい話だし……
「が…頑張って話しかけたのに…。か…彼女達は僕の顔を見るなり『ギャーッ』と叫びながら僕の前から逃げ去ってしまったんだよ…ウッ…ウー……。ぼ…僕はやはり、みんなから嫌われているんだよ…。ウッ…グスン……」
なるほどな!!
彼女達が逃げ去った理由は分かっているけど、それを今言ってもあまり意味の無い事の様にも思うし......
よしっ、ここはコレだな!!
「子龍先輩。まぁ、彼女達は子龍先輩の事を嫌って逃げ出した訳じゃ無いとは思いますが、その理由はいずれ分かりますよ。それより、俺だって子龍先輩と同じですよ。『ドッチボール対決』以降、クラスの奴以外の人達からずっと変な目で見られているんですから…。俺が近付くと、みんなサッと離れて行くんですよ。それって結構辛いですよね ?俺、子龍先輩の気持ちがなんとなく分かりましたよ!」
「えっ…え―――っ!? 親分が僕の気持ちを分かってくれただなんて…、凄く光栄だよ!! もう彼女達なんてどうでもいいや!! 僕は今日から親分だけを見る事にするよ!!」
「イヤ、俺以外も見てくれっ!!」
「さすが、一矢君ね…。いとも簡単に子龍の気持ちを一変させたわね…。でも一つだけ言っておくわ。毎日、色んな人にジロジロ見られるのも凄く嫌な気持ちになるわよ。逆に私は子龍や一矢君が羨ましいわ…」
テッ…テルマ先輩!!
アナタもジロジロ見られるのには理由があるんだよ!!
それに何故、気付いてくれないかなぁ……
「オイッ!! 『ウジ虫トリオ』に『ダーリン』!! ここで何をしているんだっ!?」
!!…こ…この声は間違いなく……
「ルッ…ルイルイ!! アンタ、担任のくせに終業式にも出ずに一体、何をしてたんだよっ!? それに『ドッチボール対決』の時も居なかったよな!? あんな大事な時に顧問が居ないなんておかし過ぎねぇかっ!?」
「ハッ…ハッハッハッハ!! そんな細かい事をいちいち気にするな『ダーリン』!! 私が何をしていたか何ていずれわかるさ!! それよりも『夏合宿』の日程と行き先が決まったぞ!! まぁ、私にとっては『夏合宿』という名の『ダーリン』との『婚前旅行』みたいなものだけどなっ!! ハァ~ハッハッハッハ!!」
お読み頂きありがとうございます。
いよいよ新章開始です!!
『夏合宿編』...長くなりそうです(笑)




