第156話 名染伊太学園最高の突っ込み師だと!?
親父から『名染伊太学園』の歴史や『ポジティ部』の役割、そして何故親父が『ネガティ部』を創ったかなど、俺は一晩でたくさんの情報が舞い込んでしまい、頭の中が混乱していた。
それに『普通』の俺、いや『普通』ではないけど……この際、そんな事はどうでもいいが、今年俺が『ネガティ部』に入部したことは親父や学園長にとってはまさに『理想形』ということも俺を混乱させている。
何故かと言えば、そういった事情を知ってしまった俺が『ネガティ部』の人達とこれまで通りの付き合い方ができるのかどうか不安だからだ。
俺は絶対に意識してしまうだろう。
俺がテンテンさんみたいな性格なら『演技』を貫き通せるかもしれないが、俺はいたって『ナイーブ』な性格だからな!!
『どこがやねん!?』という声が今、聞こえたが本人が言っているんだから間違いないんだよ!!
親父は最後に『今まで通りでいいで』と言っていたが、そう簡単に俺が対応できるのだろうか?
と、あれこれ考えているうちに俺は今、菜弥美部長の自宅の前にいる。
そう、前に菜弥美部長と『家に遊びに行く』という約束を果たしに来たのだ。
インターホンを押そうとしている指がやたら震えているぞ……
さすがに緊張するよな。
女子の家に行くなんて生まれて初めてだし……
でも、いつまでもウジウジしている場合じゃ無いよな。
そろそろ覚悟を決めてインターホンを押そう……
ピンポーン……
「はーい!!」
あっ!! 菜弥美部長の声がしたぞっ!!
うぅぅ……菜弥美部長の声を聞いたら更に緊張が増してしまった。
俺、マジで大丈夫なのか!?
ガチャッ……
「あっ、菜弥美部長……今日はよろしく……」
「誰だ、君は!?」
「へっ?」
「だから君は誰だと聞いているんだ!!」
「あっ……えっと……そのう……」
菜弥美部長が出て来たと思ったら『おっさん』が出て来たぞ!!
あまりに意表をつかれて言葉が出てこない……
「お父さん!! 何でお父さんが出るのよ!! 昨日の夜に言ったじゃない!! 今日は部活の後輩の布津野君が遊びに来るっからって!! 一矢君、とても驚いてるじゃないの!!」
「ごめんよぉぉ、菜弥美ぃぃ!! お父さんも分かってはいたんだけどさぁぁ、つい……つい『威嚇』をしたくなっちゃったんだよぉぉ!!」
おっさん、『威嚇』って何だよ!? ってか、このおっさんが菜弥美部長のお父さんなのか!?
「ごめんね、一矢君……。お父さんが驚かせてしまって……」
「い…いえ、そんな事ありませんよ……。今日はお招きいただきまして有難うございます。そ…それに父さん、初めまして。僕は『布津野一矢』といいます。どうぞ宜しくお願いします……」
「きっ…貴様に『お父さん』と呼ばれる筋合いは無いぞっ!!」
「定番の返しかよっ!? って、あ…すみません……つい、クセで突っ込んでしまいまして……」
「うーん……今の突っ込みはあまりしっくりこなかったなぁ……『ありきたりの返しだなっ!?』の方が良かったんじゃないか?」
「へっ?」
このおっさん、何を言ってるんだ……?
「お父さん、そんな事はどうでもいいから早く一矢君を家に上がらせてあげてよね!!」
「ごめんよぉぉ、菜弥美ぃぃ……とりあえず菜弥美に嫌われるのは死んでも嫌だから、とっとと家に上がるんだ!!」
いや、アンタが上がるのを阻止してたんだろが!!
「おい、心の中で突っ込まずにちゃんと声に出して突っ込まないとストレスが溜まってしまうぞっ!!」
なっ…なんだ!?
このおっさんは俺の心の中が見えるのか!?
「一矢君、とにかく上がってちょうだい。お父さんの相手なんかしなくてもいいから」
「は…はい、分かりました。それではお邪魔しまぁぁす……」
【リビングにて】
「そこのソファーに腰掛けといてね。今、飲み物持ってくるから……」
「は…はい、有難うございます……」
うわぁぁ、これが菜弥美部長の家の中かぁ!!
家も大きいし、家具なんかは全て高級そうなものばかりだな。
なんかこう、めちゃくちゃ緊張するぜ!!
それに俺の目の前には菜弥美部長のお父さんが、座りながら俺を睨んでいるし……
っていうか、何でお父さんまでここにいるんだ!?
「今、何でお父さんがここにいるんだって思っただろ? でも仕方が無い、だってこの家は俺の家だからなっ!! って、貴様に『お父さん』って言われる筋合いは無いぞっ!!」
「自分で言ったんだろがっ!! あっ、すみません……」
「ハッハッハッハ!! 今の突っ込みはなかなか良かったぞ!!」
何なんだ、さっきからこの人は!?
『突っ込み』に関してやたらとうるさいというか『突っ込み専門家』みたいなことばかり言ってるけど……
「あ…あのぉぉ、一つ聞いてもいいですか?」
「あぁ、いいぞ。言ってみろ」
「さっきから僕の『突っ込み』に対してやたら厳しいというかなんというか……もしかして『突っ込み専門家』かなんかですか?」
「そんな専門家、あるわけないだろっ!!」
ヒエッ!!
「お父さん!! また一矢君を怖がらせてるでしょ!? そろそろちゃんと一矢君に説明をしてあげてよ!!」
「ごめんよぉぉ、菜弥美ぃぃ!! 分かったから怒らないでくれよぉぉ……」
何なんだ、この娘には弱い親父キャラは!?
「謝らなくていいから早く一矢君に説明してちょうだい!!」
「ハッハッハッハ!! 布津野君……いや、一矢君……。さっきからすまなかったね。実は君の『突っ込みレベル』を確かめていたんだよ」
「えっ? 『突っ込みレベル』ですか? 何ですか、ソレ?」
「昨夜、娘から君の名前を聞いて驚いたよ。君はあの旧姓『丘司那一志』の息子なんだって?」
「えっ!? 親父の事を知ってるんですか!?」
「あぁ、知ってるも何も知り過ぎて腹が立つくらいだよ!!」
「えっ? もしかして親父の事が嫌いだったとかですか?」
「べっ…別に嫌いとまではいかないけどな!! まぁ、ヒトヤンには色々と散々な目にはあったけども……」
「うちのお父さん、こう見えて『ツンデレ』なのよ。本当は一矢君のお父さんの事が大好きだと思うわ」
「なっ…菜弥美ぃぃ、そんな恥ずかしいことを彼の前で言わないでくれるかなぁぁ!!」
「フンッ、何を言ってるのよ!! 私にアレだけ『ポジティ部』には絶対に入部するなって言ってたクセに自分が『ポジティ部 部員』だってことを今までずっと隠していたくせに!!」
「そ…それはだなぁ……」
「えっ!? 『ポジティ部 部員』だったんですか!? ってことはうちの親父と一緒に活動していたとかですか?」
「あぁ、そうだよ。君のお父さんと一緒に活動してたんだ。まぁ、かなりヒトヤンには振り回されたけどねっ!! でも、なかなか楽しい学園生活を過ごせたとは思っているし、その頃の経験を小説にしたらそれがバカうけしたからね……。君のお父さんには今は感謝してるよ」
「お父さん、一矢君にもう一つ言う事があるんでしょ? だからさっきから『突っ込みレベル』を確かめていたんじゃないの!?」
「あぁ、そうだった、そうだった。まぁ、俺が君の『突っ込みレベル』を確かめていたのはね、俺が求めている『最高の突っ込み師』に君がなれるかどうかを見極めたかったんだよ……」
「へっ? 『最高の突っ込み師』? 何で菜弥美部長のお父さんがそんな事を気にされるんですか?」
「フッフッフッフッ、何を隠そう俺はね、『名染伊太学園最高の突っ込み師』兼『ヒトヤンの突っ込み担当』と呼ばれていた男、『大石武志』だからさっ!!」
「えっ、え――――――――――――――――――っ!!??」
お読みいただきありがとうございました。
初めて女子の家に遊びに行く事になった一矢
しかし家から出て来たのは菜弥美部長の親父さんだった!!
そしてその親父さんが父一志と知り合いというよりも同じ『ポジティ部 部員』だ尚且つ
自称『名染伊太学園最高の突っ込み師』ということが判明!!
果たして菜弥美部長の父親から一体どんなことが語られるのか?
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
もし菜弥美部長の父親『大石武志』が気になる方はスピンオフ小説『ポジティ部(略)』を是非ともお読みくださいませ(≧▽≦)




