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第137話 何だか全員、怪しいよな!

「舞奈!! あんた急に私の腕を引っ張るからとても痛いじゃない!!」


「何を言ってるのよ、紅伊奈!! あんたが札に書かれている内容を言わないからそんな事になったんじゃない!! さっさと言えば良かったのにさ……でも……有難う……」


「えっ?」


「だから~、私の事を『一番の友達』だと思ってくれて有難うって言ってるのよ!!」


「わ…私、他に友達と呼べるような人、いないしさ……」


「でもこれだけは忘れないで!! あんたにとって私が『一番の友達』でも私にとっての『一番の友達』は聖香なんだからっ!!」


「わ…分かってるわよ、そんな事……。だから余計に札の内容が言いにくかったし……」


「フフフ、冗談よ!! 聖香が一番なのは本当だけど……でも、嬉しかったわ。あんたの事はまだ心の底からは好きにはなれないけど、いずれは本当の友達になれるかもしれないわね……」


「そうね。なれるといいわね……」



 あの二人は何を話しているんだろう?


 っていうか俺達『ネガティ部』が『借り物競争』で一着になったぞ!!

 これは幸先が良いよな!!



「あ~あぁぁ……。一着になれなかったら、もうどうでも良くなってきたわ……」


「そうですね、花持先輩……。私もやる気がなくなりました。でも私、『ポジティ部』ですからねぇ……。あまりテンション下げるのも『部のイメージ』を壊す事になりますし……。あっ、そうだ!! 花持先輩さえよければ私と一緒にゴールをしていただけませんか?」


「は? そういえばあんたの札には一体何て書いてあるのよ?」


 ほんとだ!! 俺もそれが気になっていたんだよ!!


「えっ、私のですか? そうですねぇ……。私のは『一番』……」


 いっ……一番……?


「『一番、普通だと思う人』って書いてあります。だから布津野君がピッタリかなぁって思ったんですけどね……。まぁ、どちらかといえば花持先輩も『普通の女子』って感じですから、私と一緒にゴールしてもらえませんか?」


「 「普通じゃねぇよっ!!」 」


「プッ……二人同時に突っ込みって……プッ……」


 なんだか、ショックだなぁ……

 前妻木部長にも未だに俺は『普通の人』だと思われているんだなぁ……


「前妻木さん!! 布津野君はともかくとして私みたいなキャラを『普通』呼ばわりするなんて、失礼じゃないの!?」


 イヤイヤ、あんたも今俺に十分失礼な事を言ってるぞっ!!


「って事は、花持先輩は『異常』もしくは『変態』という事で良いですね?」


「『普通』で良いわよっ!!」


 変わり身、はやっ!!


「それでは布津野君? あなたも私達について来てくれるかしら?」


「えっ? 俺もですか?」


「そうよ。私は花持先輩を、そして花持先輩は布津野君を連れてゴールをすれば二人共問題解決するじゃない」


「なっ、なるほど!! そうですね。さすがは前妻木部長!! 俺、前妻木部長のそういう機転の利くところが大好きなんですよ!!」


(ポッ……)「なっ……何、変な事言ってるの!? 茶化さないで早く行きましょう!!」



『おーっと!? なんだアレは~っ!? 『エグゼクティ部』の花持さんが布津野君の手を引っ張り、そして『ポジティ部』の前妻木部長が花持さんの手を引っ張ってゴールに向かっているぞーっ!!』



「うーん、おかしいな……」


「ルイルイ先生、どうかされましたか?」


「おっ、ブオブオか……」


「なんか珍しく浮かない顔をされてますね? 体調でも悪いのですか?」


「ハハハ、バカな事を言うなブオブオ!! 私はここ十年以上、体調など崩した事など一度も無いんだよ!! まぁ、相手の体調を崩させる事は数え知れずだがな!! ハッハッハッハ!!」


「いっ…いや、そこは自慢するところじゃ無いとは思うんですが……。それじゃあ何故、浮かない顔をされているんですか?」


「いや、アレだ。今の借り物競争で使われている札は一枚だけ『一番の友達』という言葉が書かれているだけで、残りの札は全て『一番、好きな人』って書いてあったはずなんだがな……。アイツ等の様子を見ていたら、何か違う言葉でも書いてある様な気がしてな……」


「えっ? そうなんですか!?」



『花持さんと前妻木さん、とりあえずゴール!!』


「とっ、『とりあえず』って何よ!? 審判、私達に何か文句でもあるの!?」


『いや、一応ですねぇ……札に書かれている内容と『借り物』が合っているかの確認をですねぇ……』


「布津野君、アナタはもういいわよ。自分の応援席に戻ってちょうだい」


「えっ? いいんですか、前妻木部長?」


「ええ、早く戻ってちょうだい!!」


「わっ…分かりました!! おっ…お疲れ様です!!」


「お疲れ!! ありがとね……」


 一体、何だったんだ?

 花持先輩と前妻木部長がなんだか少し顔を赤くしながら審判と話をしているようだが……



「こらーっ、井羅須戸いらすど~っ!! いや、言い間違えた。こらーっ、レッチー!!」


「津田先輩、別に言い間違えてませんよ!! 別に無理矢理『レッチー』って呼ばなくても良いじゃないですか!?」


「そんな細かい事はどうでも良いんだよっ!! お前は『二流』に成り下がりたいのかい!? それよりもお前は一体、どこに行ってたんだ!?」


「えっ、私ですか!? 私はちょっとお手洗いに……それより細かいのは津田先輩の方だと思うんですが……」


「うるさい、黙れ!! お前はこんな時にトイレなんかに行っている場合か!? そこらへんでやれば良いんだよっ!!」


「人の事、犬みたいに言わないでくださいよっ!!」


「まぁいいから、早く私と一緒にゴールをしてくれ!!」


「えっ、私がですか!? 札には一体何て書かれているんですか!?」


「だから、そんな細かい事は気にするなってさっき言ったよな!?」


「そりゃあ気になりますよ!! だって『一番嫌いな人』とか『一番頼りにならない後輩』とか書かれていて私が選ばれとしたら凄く嫌じゃないですか!!」


「うーん……その逆だ!!」


「えっ?」


「だからその逆だよ!! 『一番好きな人』って書いてあるんだよ!! それで文句は無いよな!?」


(ポッ……)「えーっ!? も…も…文句は無いですけど……嬉しい気持ちもありますが……私……私、そんな『趣味』なんて全然無いですからっ!!」


(ポッ……)「アッ…アタシだってそんな『趣味』は無いよっ!!」


 ―――――――――――――――――――


「という事で審判、いいわね? この事を誰かに言ったらアンタの将来は終わりよ!!」


「ヒエーッ!!」


「花持さん、脅かしてはダメですよ……。お願い、審判さん。この事はくれぐれも私達三人の秘密って事でお願いね?」


「わ……分かりました……。絶対に口外はしません!! 約束します!!」


「ありがとね。今度、うちの部に遊びに来てちょうだい。ちゃんと『おもてなし』させて頂くからね」


(ポッ)「はっ…はい!! 是非!!」


『という事で、文化部対抗借り物競争の結果は一着『ネガティ部』、二着は同着で『ポジティ部』と『エグゼクティ部』、三着は『クリエイティ部』という順になりました!! あとの部はまだもたついているみたいですね~!? ってか、早くゴールしてくれよ~っ!!』



 とりあえず、『ネガティ部』が一着で良かったんだけど……


 でも、何だか俺の知らないところで色々と話が進んでいる様な気がして仕方が無いんだけどなぁ……


 俺って……俺って主役だよなっ!!??


お読みいただきありがとうございました。


ようやく『文化部対抗借り物競争』が終わりました(笑)

そして紅伊奈の札以外は......


という事で次回もお楽しみに(^_-)-☆

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