第12話~露店 その1
ブックマークが100超えとるがな!?ビックリしたよ。PVなるものも20,000を・・・。頑張ります。
俺は今、街のメインストリートにいる。昨日、やろうとしていたことを今日やるのだ。朝一で生産ギルドに行き、露店販売の許可書を貰って来た。露店販売までは生産ギルドで手続きが出来るが、店舗を構える場合は商人ギルドでの手続きが必要らしい。因みに、投擲ポーションとマナポーションの手続きは終了したそうだ。エイミーさんが言うには、
「支部長が凄く喜んでましたよ。久々に登場した新アイテムですからね。あとは商人ギルドとの話し合いです。値段とか量産が出来るかどうかとか・・・色々なことですね!」
とのこと。登録までに時間がかかるなこれは。あと、投擲ポーションとマナポーションの販売は「どんどんやってくれ。」との指示が出た。コイツの宣伝だってさ。そういうことなら、売りまくってやるぜ。今回はある分だけだが、今日売れたら大量生産を視野に入れなければ。そしたら、狩りに採取に忙しくなるぞ!・・・なればいいな。
俺は商品を並べて準備を整えていく。同じように準備をしている人もちらほら見える。まだ朝早いからな。人が集まりだす前に終わらせなくては。
「隣に陣取ってもいいかな?」
そんな時に声をかけられた。俺は手を止め、後ろを振り向く。そこには愛嬌のある顔をした猫耳男がいた。
「好きにするといい。許可書さえあれば、どこで販売しても誰も咎めはしないさ。」
「そうなんだけどさ。礼儀って大事じゃない?どうせなら仲良く売りたいじゃん。」
そりゃそうだ。客が来るまでジッとしているのはつまらないだろうし、だったら隣同士仲良くして、会話を楽しみながら販売をした方がいい。
「それに・・・キミ恐そうだし。難癖つけられたら、僕は泣く自信あるよ。」
「なぁ・・・それが『礼儀が大事』と言ったヤツのセリフか?」
また顔かよ。ちょっと睨みの入った視線を送ってしまう。
「その、マジでごめんなさい!だから睨まないで・・・。」
怯える猫耳男から視線を外し、黙々と準備を・・・、
「お隣失礼しま・・・ヒッ!!」
もう一人来て、勝手にビビりましたよ?失礼な奴等だよまったく。こんなんで俺は商売が出来るのか?両隣の奴等はこっちをチラチラ見ながら、商品を並べている。そんなに俺が恐いなら余所へ行けよ・・・。
「毎度あり!いつもありがとね。」
猫耳男は順調に売りさばいている。もう一人の方は・・・、
「ラビットローブは3000Gだよ。うん、だいぶ値段が落ちたね。」
客と世間話をしながら商売をしている。そんな二人を横目で見ながら、俺は体育座りでボケッとしていた。誰も見てくれないのだ。近付く過程で俺の存在を認めると、両隣のどちらかにそれていく。商品的には負けていないと思うのだがな・・・。俺ってそんなにヤバい奴か?
(エイミーさんがいれば、違ったんだろうな。)
昨日、出会ってばかりの彼女を思い浮かべる。エイミーさんも最初はビビっていたが、一緒に仕事をして仲良くなれた。そして、エイミーさんは可愛い。妹と同じくらい可愛い。可愛い娘が隣にいれば、俺の恐さも少しは和らぐハズだ。凄まじく不本意だがな。
「あのぉ、ちょっといいですか・・・?」
考え事をしていたが、その言葉で我にかえった。目の前には職人風の少女が立っていた。不覚!客が来ていたというのに、物思いにふけていたとは!
「らっしゃい。何か欲しい物でもあったか?」
「あ・・・その、えっとですね。聞きたいことがあるんですけど・・・。」
なんだ、客じゃないのか。
「昨日、総合ギルドの生産ギルドエリアにいましたよね?」
「ああ、いたな。」
「受付のおじさんと一緒に出ていきましたよね?」
「ああ、出てったな。」
「ギルドの支部がどうの・・・って言っていたと思うんですけど。」
「生産ギルドシアル支部に案内されたな。・・・それが何か?」
そんな事より買い物してくれ。つーかなんだ?両隣を含めて俺を凝視すんな!
「やっぱりそうでしたか!どうやったらギルドの支部に行けるんですか?可能なら教えてもらえませんか?」
そんなの職員に聞けばいいじゃないか。何故、俺に聞く。
「総合ギルドの職員さんに聞いても『生産に力を注げばいずれ、行けますよ。』としか言われなくて。」
そのままだよ!生産頑張れば行けるんだよ!・・・何頷いているんだよお前等は!
「職員の言葉通り、生産頑張れば行けるよ。生産スキルのLVを上げて、生産数も上げろ。そうすれば、いずれ案内されるだろう。」
「私、生産スキルの一つはLV10を超えてますけど・・・。生産数もそれなりの数なんですが。」
「なら、それ以外の生産スキルも上げればいいじゃないか。」
「簡単に言いますけど、LV10までいくのは大変じゃないですか。他の生産スキルに手を出したら・・・考えただけでもストレスがたまりますよ。」
「そりゃそうだが・・・。一つの生産スキルに特化したいのはわかる。しかし、複数の生産スキルがあると便利だぞ?」
「便利って・・・だったら、あなたはいくつ持っているんですか?」
微妙にこの娘、イラついてない?イラつきたいのはこっちだっつーの。
「俺は五つを持っているな。その中の四つはLV10を超えている。何を持っているのかは秘密だが。」
「「「えーーーーっ!!」」」
周囲で会話を聞いていた奴等全員、驚いた顔で声を上げた。
「四つがLV10超え・・・どんだけー・・・。」
隣の猫耳男が呆然としている。反対側の娘も目の前の娘、客達も同じような感じだ。大変だけど、そこまで驚くことだろうか?
ティルは首を傾げるが彼はわかっていない。LV10に達するまでは地道にひたすら、生産をしなければいけないことを。ティルは固有スキル〈俺流〉の効果とクエストのお陰で三日、たった三日で四つのスキルがLV10を超えた。しかし、普通はF.E.O開始から今日までひたすら生産しなければならない。もちろん、一つの生産スキルに対してだ。ティルのように複数のスキルを所持して生産する余裕などない。無論、狩りなどもっての他だ。それほど、スキルLVを上げるという行為は大変なのである。因みに今のティルは〈俺流〉に加え、〔職人達の弟子〕効果も合わさり、常人の約三倍ぐらいの速さで生産LVが上がるのだ。ティル自身、称号効果で多少の恩恵があるとしか思っていない。
「今気付いたけど、キミの露店って品数豊富だね。僕の武器オンリーとは全然違うよ。」
猫耳男がこっちの露店を覗き、そう言った。
「今更ですが拝見させてもらいますね。」
目の前の娘の発言に周囲の客達も集まってきた。同業者達も商品を手に取り、まじまじと見ている。そして、
「武器が全部鉄製!?やっと最近、採掘ポイントが見付かって鉄鉱石が出回り始めたばかりなのに・・・。」
「ウサギ皮でこの防御力って凄い・・・。はあっ!?+2!!?」
「探し求めていた盾がある!」
「これってイヤリング?可愛い!・・・えっ、アクセサリーがあるの!?」
「はわわ!ポーション+2!!HP40回復は地味に大きい!!」
うーむ、騒がしいな。ぬ、皆こっちを見たぞ。
「「「これ売ってください!!!」」」
「お、おー・・・。」
俺は相場がわからないから適当な値段で売る。同業者は渋い顔をしている。
「その値段で売られるのはちょっと・・・。」
猫耳男がツッコんでくるが、
「俺は生粋の生産者じゃないから、滅多に販売しない。今日はたまたま、生産しまくって邪魔になるから売りに来ただけ。明日は売りに来ないから。」
「「「えーーーーっ!!!」」」
客達が大声を上げる。うるさいな・・・まったく。
「う~ん・・・それならいいのかな?・・・えっ、生産者じゃないの?」
「基本、冒険者でいくつもりだ。生産出来る冒険者ってヤツだな。」
「これほどの腕を持ちながら、生粋の生産者じゃないのかー。僕達って一体・・・。」
ズーン・・・と生産者の皆さん沈んでいます。俺は悪くないハズなのに罪悪感が芽生える。
「良いことを教えてやるから、元気出せ。俺も親方・・・師匠達に教わったんだがな。〈鍛冶〉と〈裁縫〉を同じように鍛えると、武器性能が加わった防具が作れるようになる。」
「「「はあっ!?」」」
「論より証拠、俺の装備を見てくれ。」
アーム装備を外し、猫耳男達に渡す。それを見たコイツ等は、
「「「マジか!?」」」
「見ての通り、そんな防具が出来るわけだ。」
一頻り見たあと、アーム装備を返してもらった。
「複数の生産スキルを鍛えるのは大変だが、夢が広がるだろう?」
猫耳男達の目が輝き出す。
「僕達もまだまだってわけか。たった一つのスキルで満足しているようじゃ、ギルドに認められるはずがない。キミのお陰で本当にやるべき事がわかったような気がするよ!!」
やる気が出るのは良いことだ。これで生産ギルドも盛り上がるってことよ。
「それで・・・キミに頼みがあるんだけど。」
「む、なんだ?もう教えないぞ。」
「いや、そうじゃなくて。フレンドになってくれないかな?キミの存在が、これからの僕にいい刺激を与えてくれそうだからさ。」
フレンドか・・・。生産者の何人かが同じように希望してきた。それを俺は・・・、
「フレンドって何?」
その場にいた全員がズッコケた。
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その後、フレンド登録なるもののやり方を教わり、ウォーレン・ディジー・ニノン・ジョッシュの四人とフレンドになった。露店の商品がほとんど売れてしまったのだが、例外があった。投擲ポーションとマナポーションが売れてない。何故だ?
「なあ、コイツはいらんのか?」
俺は箱に入れていた投擲ポーションを手に取り、客に見せた。
「なんだコレ?」
こんなのあったかな?って顔をしている。他の物に目が行き、目立たないコイツには気付かなかったみたいだ。
「コイツは投擲ポーションといってだな・・・。この中で怪我をしている奴はいるか?」
そう声をかけると一人の冒険者が手を挙げた。
「今、山から帰ってきてな・・・。まだ傷を癒していない。」
「なら、そこに立っていてくれ。・・・見とけよ。」
その冒険者に向かって、投擲ポーションを投げつけた。投げつけられた冒険者は、
「何しやがる!!・・・って回復している!?」
「「「なにぃ!!!」」」
また、ハモった。息ピッタリだなコイツ等。
「その名の通り、投げて使うポーションだ。」
「「「・・・・・。」」」
あれ?興味なしか・・・?と思っていたら、
「「「買ったぁ!!!」」」
と一気に売れてしまいましたとさ。そして、俺の作った物は全て売れた。ありがたいことだ。所持金790Gから一気に50万Gになった。俺自身もビックリしたよ。
「今度はいつ店を開くかわからんが、そん時はよろしくな。」
素早く店じまいをした俺は、ウォーレン達と客達にそう言って生産ギルドに向かった。一応、エイミーさんに報告しておこうと思ったのだ。後にティルは幻の露店商と呼ばれ、店を開けばどこからともなく人が集まり、一瞬で店じまいをするようになるのであった。
ステータス
名前:ティル
種族:人間
性別:男
LV:7
HP:120/120
MP:50/50
STR:22/65〔+43〕
DEF:19/62〔+43〕
INT:11
AGL:19/38〔+19〕
DEX:33
MED:17
LUK:19
【SP】:30
【ランク】
冒険者ギルド:ランクE NEW!
生産ギルド:ランクE NEW!
【スキル】
〈鍛冶〉LV18(+3)〈裁縫〉LV19(+6)〈装飾〉LV14(+2)〈調合〉LV16(+6)〈木工〉LV5 NEW!
【控えスキル】
〈投擲〉LV5〈喧嘩殺法〉LV8〈採取〉LV3〈不屈〉LV2〈鑑定〉LV16(+2)
【固有スキル】
〈俺流〉LV14(+2)
【称号】
職人達の弟子
ユニークを狩りし者
見習い商人 NEW!
【装備】
鉄の投げナイフ×150〔STR+3〕
ラビットレザーセット改(特殊)〔STR+28・DEF+40・AGL+15〕
草原狼の首飾り〔STR+12・DEF+3・AGL+4〕
【アイテムボックス】
ポーション×6・ポーション+2×2・投擲ポーション×4・投擲マナポーション×2・etc
【所持金】
500,790G




