好きって
日が沈む少し前、夕日がオレンジで、部屋に差し込んでくる光はとても綺麗だ。
こうやって、くつろいでいるうちに理奈に何かあったら?
どうしよう、今何時だろう。
震える手で携帯で時刻を確認する。
「もう、6時か」
「早いね」
「星夜、私、理奈探してくる」
「心配?」
心配に決まってるよ・・・。
「うん」
「行ってらっしゃい」
「行って来ます」
ガチャン
「瑠美姉、理奈のこと心配じゃないの?」
「あの子、ボクシング習ってるから」
「知ってたの?」
「私はね」
「なんだぁ」
「雅の隠し事とかも」
「なんですか?」
「さぁ?」
***
Sweet Emotionを聞きながら、落ち着いてみる。
理奈が見つかりますように。
「灼熱の恋にグラス合わせ
今宵2人何処までも達こう
情熱のままに口づけを
朝が来るまで求めてる」
走りながら歌ったら、息切れするのが早い。
「はぁ、はぁ、理奈ー!」
お願いだから、返事してよっ!
キィ〜
「あれ?光じゃん」
自転車に乗って登場したのは、
「ゆらじゃん」
私に以前好意を寄せていた女の子。
「どうしたの?」
「理奈探してる」
「ああ、それなら、雅さんのさよならLIVEにいたよ?私も行ってたから」
「場所、わかんねぇ」
「私が案内する」
「いいの?」
「LIVEが8時までだから、今は6時半」
「後、1時間半」
「ここから、結構遠いし、電車乗ると高いから・・・後ろ乗って!走りだと、1時間半くらいかかるから、自転車ならその半分だから」
「いいの?」
「勿論!光のためなら何でもするよ?死ぬ以外はね」
「そこまで?乗ったよ」
「じゃあ、掴まって、相当早いよ」
「うん、ねぇ、まだ、私のこと好き?」
「うん、ずっと」
「振られたのに?」
「そんな簡単に諦めれたら後悔しない」
「後悔?」
「なんで、光に告白する前に諦めれなかったのだろうって」
「諦めることって難しいの?」
「うん、簡単な事もたまに、ごく稀にあるけど」
「そっか」
私は、ゆらの背中に頭をくっつけた。
「どうしたの?」
「いや、何でもない」
「そっか」
「ねぇ、私の何処が好きなの?」
「急に聞かれると困るけど、一生懸命な所とか、真っ直ぐな所とか?正直な所も」
「正直な所?」
「うん、光は、馬鹿正直なんだよ」
「そうなんだ」
「そうなんだって?」
この際、馬鹿でもアホでもなんでもいいや
「好きって言ってくれてありがとう、ゆら」
「何?急に?」
「ううん、好きってどうやったらわかるの?」
「その人の事思い出してよる眠れないとか、目が合うと逸らしたり、無防備な姿見るとムラムラしてきたり」
「あははっ、ゆら面白い」
「全部本当のことだよっ?」
「そーなんだ」
「うん、あっ!ついたよ?」
「ここ?」
「うん」
「あっ、ゆらありがとう」
ちゅっ
そっと口づけをした。
「あ、いいよ?///」
あ、でも、頬っぺたに
ガチャ
「大切な人、うたいます」
雅姉だ。
♪諦めないでっていつか聞いた
大切な人の声
今はもう忘れかけてる
優しいあなたのぬくもりを
優しい人の声と
優しい人のぬくもりを
密かに胸にしまって
誰にも届かない心の奥に
現実と夢との区別さえつかない
いつか僕が諦めようとした時
諦めないでの一言で
本当に心救われた
大切な人のぬくもり
忘れかけていた脳が思い出す
夢にみたいつの日か
あなたはもういなくて
そっと口ずさむ
諦めないよの一言を
夢が叶うその日まで
私が言ったことだ。
大切な人か・・・。




