表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Parfumésie 【パルフュメジー】  作者: じゅん
重々しく。
121/369

121話

 予想通りなヴィズ。食い下がるようなことはせず、あっさりと引く。


「そう。なら仕方ないわね。それで話は変わって、そっちの香水のクラシック曲だけど……」


「唐突だな」


 一気に話の話題が変わり、ニコルも切り替えに追いつくのに必死。いや、ありがたいけど。


 当のヴィズとしては、自身の興味を優先する。学校の課題などよりも、曖昧で不確定な香水作りの音は刺激的だ。


「あら。別にリサイタルや学校の講義の邪魔になる、なんて思ってないのよ。これはこれで楽しいし」


 むしろ、感性を伸ばすのであれば、楽譜を眺めるよりも、目に見えない部分を考えるのは重要。そういう考えもあるのか、という勉強になる。


 話を振ってもらったということで、相変わらずなにもできないはずのニコルだが、香水作りの先頭に立つだけは立つ。


「ならいっか。聴いて驚け。今回は世にも恐ろしい曲名の『死の——」


「『死の舞踏』? どれ?」


 まだタイトルを言っている途中だが、遮ってブランシュに問うヴィズ。


 その言葉の意味をブランシュは理解している。


「サン=サーンスのほうです。ピアノとヴァイオリンでいけますね」


 本来はもう少し弦楽器がいたほうがいいのだが、このシンプルな構成であればより、ヴァイオリンが引き立つ。


 自分の役割を奪われた形のニコル。


「へ? どれって、なに?」


 そんなにたくさんあるの? と両者の顔を凝視。


 たしかに説明が不足していたことをブランシュは認識している。ついでに補足。


「『死の舞踏』という曲は多数あって、そのうちで有名なものがリストの管弦楽曲と、サン=サーンスの交響詩。さらにサン=サーンスの交響詩を、リストがピアノ独奏用に編曲したものやオーケストラ用。さらにさらにリスト版を編曲したホロヴィッツ版まであります。少しややこしいんです」


「……ふーん」


 よくわからないが、自分が教えられていたのはそのうちの一曲。たくさん人の名前が出てきたことで、ニコルの許容量から溢れ出した。ホロヴィッツは数秒後には記憶から消えているだろう。


 恐ろしくも美しい。そんな名曲を合わせるとなると、興奮からヴィズの指が動き出す。


「その曲であればいけるわ。今から少しやってみる?」


 今までの『雨の歌』『新世界より』とはまた違う、幻想的で破壊的な死神のヴァイオリンを聴いてみたくなった。一刻も早く。


 引っ込み思案なブランシュは、学園内で弾くことを躊躇う。自身は音楽科ではないから。


「……いいんですか? でも、今の時間だとホールを使用されている方もいらっしゃるでしょうし……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ