王道行きます
「お父様、私お見合いします!」
夕食時私の突然の発言にお父様はそのいつもの冷たい表情が言葉通り凍りついた。
そしてそのまま固まってしまった。
「まぁジーク様が固まってしまったわ」
珍しいその姿にお母様はお父様の頬をつんつんしているがお父様は微動だにしない。
お兄様はどこか含んだ笑顔のまま何も言わずに食事を続けている。
「けどリーナ、もうルイのことはいいの?…はっ!もしかしてこれは王道の押してダメなら引いてみろ。あんなに俺のことを追いかけまわしていたのに何で急に他の奴と仲良くしてんだよ!ってことなのね」
何やら思いついたようにお母様がお父様をいまだにつんつんつつきながら何か言ってる…
けどそんなことかかまっている暇はない!
ルイ様が私のことに関心がないのなら関心を持ってもらうしかない。いつもそばにあったものが他のものにとられるという危機感は自身の本当の気持ちに気がつく度80%(王都乙女通信調べ)とでているのだ。
間違いない、ルイ様は私の大切さに気が付くはず!
けど…
「何でダメなんだろう。私、お母様によく似ているのに…初恋の人の娘っていうのがだめなのかなぁ……」
成長してくるほどに私はお母様に姿はよく似てきた。
お母様を溺愛しているお父様からの過保護ぶりは年々増してきているが、ルイ様が私にかまってくれることが年々減少してきている。
あんなに素敵な人がいまだに独身な方が不思議なのだ。
早く結婚まで漕ぎ付かねばと私はいつも焦っているのだ。
「私がお母様だったら絶対ルイ様と結婚したのに…」
そんなむなしい妄想をしたってむなしいだけなのに考えてしまう。
元初恋の相手のお母様はにこにこ笑いながらしつこいくらいつついているが、そのまま私に向き合うと少し首をかしげて何かを考えるそぶりを見せた。
「…そうね、もしもジーク様じゃなくてルイと本当に婚約をしたとしても、私は決してルイはお断りだったわ」
「はいはい、お父様一筋ですものね」
出てきた言葉はいつものお惚気のようだった。
「そうじゃないわ、ジーク様に出逢わなくてもルイはお断り」
んっ?何か違うような…
「……えっ、お母様それはどういうことなの?」
あまりな発言に私はお母様に問い返してしまった。
「だってほらルイは…」
「お母様」
お母様が問い返そうとするとそれを遮るようにお兄様がお母様に呼びかけた。
「もうそろそろ食事も終わりに近づいてきましたしお約束の肩もみをさせていただいてもよろしいですか?さぁお部屋に戻りましょう」
「そうだわ、今日はヴァルドに肩をもんでもらう約束だったわーなんて親孝行な息子なのかしら」
お母様はうれしそうにお父様をつつくのをやめるとお兄さまに連れて行かれてしまった。
「ちょっとーお兄様!邪魔をしないでください!!」
答えが返ってこず、もやもやする私と頬が一点赤くなってしまったお父様が残されてしまった。




